大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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「大田区のごみの処理計画案」に考える

2016年01月05日 | ├.環境・エネルギー・廃棄物・アスベスト

有料化によりごみ削減をという自治体が出始めたころ、区民のみなさんから「『ごみなど、誰もが必要で、自分ではできないたいこと』をやってもらうために税金払ってるのに、なんで有料化なんですか?」と聞いて、公共がいくらで何をすべきか、もっとしっかり考えなければならないと思いました。その後、不法投棄の問題や、有料化でごみ削減にはつながらないなど、ごみを川下対策だけにすることの問題を実感しています。

いま、大田区では、平成23年4月から10年の計画期間で作ったごみ処理計画が5年を経過し、新たな計画案を策定しています。

12月19日大田区役所で行われた説明会に参加し、気づいたことを報告します。

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説明会は二回に分けて行われた二回目。

参加者は、私を含め5人。

【大田区の持つ現状と課題】
・過去10年間で人口が3.2万人増加しており、今後も人口増加に対応した収集体制の構築が必要である。
・人口が増えるが中でも高齢者、外国人が増加するため、それらに配慮した収集が求められる。
・転入による増加も念4、5万人を数えるため対応が必要。
・単身世帯が増える。
・集合住宅が増える。
・事業系ごみの適正処理(有料シールを貼って排出する)

【清掃事業の課題】
・ごみ量は減っている。
・資源は横ばい。
・資源の分別が不十分。

【基本理念・方針】
・2R(発生抑制 Reduceリデュース、再使用Reuse リユース)を推進し、そのうえで再生利用Recycle(質の高いリサイクル)に取り組む。

【計画指標と目標値】
・ごみ量は目標22%→21% 目標未達
・リサイクル率22%→21% 目標未達
・持ち込みごみ量15%→15% 目標達成

・ごみ量は人口の増減に大きな影響を受けるため、総量ではなく、一人一日当たりとする。


大田区の計画案をみて感じたのは

1.大田区の責務・役割がない
2.事業者という言葉があちこちに出てくるが、「ごみを出す排出事業者」なのか「ごみ処理を受託する事業者」なのかあいまい。
3.リサイクルの成果の検証はできているのか
4.TPPなど、経済・流通システムが転換すれば、ごみの排出も変化するが、そこを考慮しての計画か。
 *たとえば食料品の輸入が増え、加工食品が増えれば、食品のごみの形もかわる。家での調理が減り外食や中食が増えれば、調理してでる野菜の皮やくずがへり、包装が増える。産廃・事業系ごみが増え一般廃棄物が減る。こうした変化を踏まえてごみ予測し、自治体が行うべき処理を考える必要があります。

高額な費用をかけコンサル委託した一般廃棄物処理基本計画ですが、民間事業者が受託しやすい「把握」「分析」「計画」になっていると感じました。


「ごみなんて誰でも集めることができる」じゃないか、と思われるみなさんも多いと思いますが、なぜ公で行われてきたのでしょうか。 

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一人でできない「みんなのこと」を一緒に考えるのが「公共」。


その公共分野が、私たちの手から、離れようとしています。


「公務員だと高いし、サービスが悪いから」?
「民間の方が安くてサービスが良いから」?

でも、それなら、なぜ「公共」は存在してきたのでしょう。

「高くてサービスの悪い公共」だとしても、そのしくみで行う意味があったはずです。


市場経済と公共の違いは「営利」か「非営利」かです。
営利とは給料ではなく、そこに投資することで働かなくても得られる利益のことです。


しかも、公共を民間にまかせるには、つぎのようなことを知ったうえで、まかせる必要があります。

①営利企業は利益を最優先する。
②民間は自由競争の中で利益をあげるためサービスが向上し価格が下がるが、公共は地域独占事業が多く競争は起きない、あるいは起きにくい。
③しかも、無ければ生きていけないものが多い。



いったん民間に開放してしまうと、二度と公に戻せない、戻しにくいものはたくさんあります。

ノウハウや技術の継承ができないからです。


ごみ収集は、「不具合が生じたからほかの業者に変えよう」ができにくいシステムです。
大田区のように大量のごみを収集するためには、ある程度の規模の車や人が必要になります。
高くて特別な仕様のごみ収集車や収集ノウハウを持つ作業員を短期間でそろえることは簡単ではありません。

そのうえ、ごみは、現在も直営で賄えない部分は、収集業者が組合や協議会を作り一体化していて、そこ以外に発注先を確保しにくくなっています。
このしくみには良い面もありますが、問題が起きた場合に、では、来年から別の業者へも、直営へ戻すことも難しいわけです。


しかも、民になれば、地域独占事業ですから、契約や委譲のありかたによっては、サービスの質、量、価格まで、実質コントロールされてしまう可能性もあります。

契約更新の交渉する際に、「高すぎるから、サービスが良くないから、、、別の業者に」の切り札の無い交渉で良い交渉はできるでしょうか。


保育、医療、介護、教育、、、。

今起きている様々な問題の根底には、公共の在り方がもっと問われなければならない問題がたくさんあります。

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そうしたなかの大田区のごみ処理計画案です。
パブコメの期間中にレポートする予定でしたがおくれてしまいすみませんでした。


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