電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

荒木源『ちょんまげぷりん』を読む

2010年09月13日 06時03分45秒 | 読書
小学館文庫で、荒木源著『ちょんまげぷりん』を読みました。シングルマザーで某システムエンジニアリングに勤務する遊佐ひろ子と、遊んでもらえない欲求不満からわがままいっぱいに育っている息子の友也の目の前に、江戸時代からタイムスリップしてきたらしい侍が現れます。侍の名前は木島安兵衛。

安兵衛さん、東京の街は勝手が分からず、行き倒れ寸前の状態で、ひろ子と友也のマンションに居候することになります。しかも、硬派の安兵衛さんは、ただ養われるのは不本意と、家事を一手に引き受けると宣言。かくして、サムライ主夫が誕生します。

この主夫殿、まったく手抜きということを知りません。初めのうちこそ色々な失敗はするものの、居間も台所もピカピカに掃除し、持ち前の粘り強さと研究熱心さから、ひろ子も驚くほどの力を発揮します。子どもの遊びの相手も正面から。友也も安兵衛さんに信頼を寄せます。そして、本人がいちばん努力し成果をあげたのがお菓子づくり。二人とも思わずびっくりするほどの上達に、ひろ子の友人の平石佳恵は、テレビのお菓子づくりコンテストに勝手に応募してしまいます。

うーん、いくらテレビや本で勉強し、本人も研究熱心だとはいっても、わずか数ヶ月でお菓子の街を作るというのは、無理があるんじゃなかろうか、とは思うのですが、作者はそんなことはおかまいなしで、テレビ界も戯画化して見せます。このあたり、作者のハチャメチャな想像力は、破壊力抜群です(^o^)/

タイムスリップものといえば、先日の『アーサー王宮廷のヤンキー』(*1)をはじめとして、『つばき、時跳び』(*2)や『時のかなたの恋人』(*3)など、おもしろく読んでいますし、途中からではありますが、テレビで「仁~JIN~」(*4)をおもしろく観ました。さらにこのたび、やや軽めの一冊が加わったことになります。すでに映画にもなっているそうな。楽しそうですね。


(*1):マーク・トウェイン『アーサー王宮廷のヤンキー』を読む(1),(2),(3),(4)~電網郊外散歩道
(*2):梶尾伸治『つばき、時跳び』を読む~電網郊外散歩道
(*3):ジュード・デヴロー『時のかなたの恋人』を読む~電網郊外散歩道
(*4):日曜劇場「仁~JIN~」のこと~電網郊外散歩道

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