電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

生産者が感じる矛盾

2015年06月17日 06時03分40秒 | 週末農業・定年農業
サクランボ収穫の最盛期です。ふだんは週末農業でのんびりやっていますが、この期間は雇人の人たちが来るので、何かと大変です。



そんな中で、生産者としていくつか感じる矛盾があります。まあ、週末農家の愚痴のようなものですが(^o^;)>poripori

(1) サクランボの出荷用のフードパックの詰め方について。「手詰め」という規格では、サクランボの軸が見えてはいけないのだそうです。上から見て軸が多数見えてしまうと「バラ詰め」扱いになって、単価がぐっと下がってしまうのだそうな。そんなふうに脅されると、中身は全く同じサクランボなのに、なんだかなあという感想を持ってしまいます。生産農家に無用の負担を強いて、消費者には割高な価格で買わせる、奇妙な、あまりよろしくない習慣なのでは。いったい、誰がこんな「規格」を考えたものやら?!



(2) 昔と比較して、着果率の低下を感じます。理由は様々に推測されているようですが、その一つに訪花昆虫の減少が考えられており、背景には水田のカメムシ防除等に使われているネオニコチノイド系殺虫剤が疑われているのだそうな(*1)。そうであれば、水田稲作農業と組み合わせて、減反した田んぼをサクランボ畑にしている農家にとっては、ミツバチ群崩壊症候群や在来のマメコバチの減少など、まさに自分で自分の首を絞めている図。しかし実際には、水田のカメムシ防除がやまない原因の一つに、コメの検査体制と等級があり、ここでもわずかな数のカメムシ被害粒の混入を許さない「規格」が姿を見せます(*2)。



「規格」を作り、それに合うものの価格を高くして、合わないものを安く買いたたく。それが品質を維持している面があることは確かでしょうが、一つ一つの「規格」が誰にとってどんなメリットがあるのかは、もう少し問われても良いように思えてなりません。

(*1):ネオニコ系殺虫剤の基礎知識・脅かされる生物多様性
(*2):ネオニコ系殺虫剤の基礎知識・ネオニコチノイドと斑点米


コメント (4)    この記事についてブログを書く
« 長い文章を構成するとき | トップ | 年齢とともに手先は不器用に... »

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
消費者は見た目で買う? (ノラ猫ごんちゃん)
2015-06-17 21:32:44
サクランボの季節ですね。
天皇陛下が来県されました。

陛下が召し上がるような桐箱入りのサクランボを
詰めるには、熟練した技術がいるようです。

一方、ご家庭用のフードパックなら、軸が見えようが、
見えまいが、品質に見合った価格設定の方が、
よいような気もします。

一般的に、消費者は見た目が良いものを購入する
傾向があり、そんなことから矛盾が生じるのかな?
などとと思います。
返信する
Unknown (さちこ)
2015-06-17 22:03:54
こんばんは。

そのような取り決めがあるのですね。
消費者の動向も一因ですね。

返信する
さちこ さん、 (narkejp)
2015-06-18 05:27:06
コメントありがとうございます。そうですね、消費者の動向というのが要因だと思いますが、軸が見えるのと見えないのとで、200gのパックで50円違ったとすると、1.6kg1箱では、生産者の段階では400円の差になります。ところが、消費者に届く時には、いったいいくらの差になっているのでしょう。1000円くらいの差に拡大しているのではないでしょうか。そんなふうに利ざやを稼いで、届けられるのですね。中身は全く同一なのに! (^o^)/
返信する
ノラ猫ごんちゃん さん、 (narkejp)
2015-06-18 05:40:11
コメントありがとうございます。我が家のアホ猫が思わず喜びそうなハンドルネームですね(^o^)/
消費者の動向というのが表向きの理由になるのだとは思いますが、どうも誘導されている面が大きいように思われてなりません。サクランボというのは、子どもが大喜びする親しみやすい果物であってほしいと思いますが、現実には桐箱に収められるような高級路線を走っています。青果物流通業者が軒並み「サクランボ御殿」を建てているのを見ると、マージンが大きいからだろうなあと思ってしまいます。「規格」はその手段なのでしょう(^o^)/
返信する

コメントを投稿

週末農業・定年農業」カテゴリの最新記事