電網郊外散歩道

本と音楽を片手に、電網郊外を散歩する風情で身辺の出来事を記録。退職後は果樹園農業と野菜作りにも取り組んでいます。

佐藤由美ピアノリサイタルでショパン、メンデルスゾーン、シューマン、リストを聴く

2018年09月02日 06時04分42秒 | -独奏曲
午前中ようやく雨が上がったかと思ったら昼過ぎにまた降りだすような不安定なお天気でしたので、桃の収穫を途中で諦め、妻からチケットをもらった「佐藤由美ピアノリサイタル」に出かけました。14時開演、東根市のさくらんぼタントクルセンターのホールです。ここは、横26席×14列の計364席、補助席を出しても400席に見たないような小さな多目的ホールです。ステージ上にはピアノが一台のみ。花も飾りも一切無し。でも、反響板が左右、天井と奥に傾斜をつけてセットされ、音の面での配慮はなされているようです。



当日のピアニスト、佐藤由美さんが紺色のドレスで登場します。プログラムに記載のプロフィールを見ると、愛知県一宮市出身、東京芸大大学院修士課程修了、日本モーツァルト音楽コンクール第1位、6年前から東日本震災地で「愛知からの音便りコンサート」を毎年開催されているのだとか。どうやら、行動的な女性のようです。

プログラムは、ショパンから。

ショパン ワルツ 第1番 変ホ長調 Op.18 "華麗なる大円舞曲"
     ノクターン 第2番 変ホ長調 Op.9-2
     スケルツォ 第2番 変ロ長調 Op.31

途中に曲目を解説するトークを交えながら進むのかなと思ったら、違いました。主催者代表挨拶として、白髪の老婦人が登場、今回のリサイタル開催のいきさつを紹介します。なんでも、この方が電車の中でピアニストと隣席になり、京都から東根市蟹沢の某寺に移住してきたことなどをお話したところ、この春にお寺での演奏会を開くことになったのだそうです。実際にお寺で演奏会が開かれたのですが、残念ながらそこでは電子ピアノしか用意できなかったそうで、タントクルセンターのホールにはグランドピアノがあるということですぐに申し込み、ピアニストはロサンゼルスの演奏会に旅だった、ということだったそうな。で、お寺の檀家の方々が中心になり、いろいろ準備をして、ようやくリサイタルの開催にこぎつけた、ということのようです。なるほど! 久々にショパンの音楽をナマで楽しみました。

続いて、メンデルスゾーンです。

メンデルスゾーン 無言歌集より "ヴェネツィアの舟歌"
         同 "狩の歌"
         幻想曲 嬰ヘ短調 Op.28 "スコットランド・ソナタ"

大好きな無言歌集から二曲を聴くことができただけでなく、スコットランド・ソナタの実演を聴けたのは、田舎在住の素人音楽愛好家にとってはたいへん嬉しいことです。

休憩の後、こんどはシューマンです。

シューマン 子どもの情景 Op.15

うーん、これも良かった〜! 日頃から録音では日常的に接している音楽ですけれど、都会の巨大なホールではなく、演奏家の息遣いまで聞こえるような小規模なホールで間近に実演に接すると、シューマンの音楽の持つ繊細な魅力が感じられて、良かった〜! 後で役割があるらしい小さなお子さんが少々ぐずったのは、まあ、それも子どもの情景の一部ということで(^o^)/

最後は、リストです。ピアニストご本人が、自分は手が大きいほうだと話していましたが、スラリとした長身の上に恵まれた指をお持ちとはいえ、リストの曲はそうやすやすと演奏できるものとはいえないわけで、ピアニストが「三曲とも障害物競争です。応援よろしく!」というのも頷けます。

リスト パガニーニ大練習曲 第3番 "ラ・カンパネッラ"
    愛の夢 第3番
    メフィスト・ワルツ 第1番 "村の居酒屋の踊り"

わーお、お客さんからブラヴォーが飛び出しました。ほんとに立派な演奏で、クラシック音楽などにはあまりご縁が薄いと思われる方も少なくなかろうに、聴衆を思わず興奮に引き込む力は、さすがにリストです。

うーん、実に魅力的なプログラムと演奏に、大満足で帰途につきました。帰路はまたもや降りだした土砂降りで、農作業は諦めて音楽三昧を選んだのは正解だったようです。

【追記】
佐藤由美さん、交通事故に遭ってかなり深刻に悩んだ時期もあったみたいです。
ピアニスト佐藤由美の公式ブログ〜ゆみのすけ音楽会
でも、制約はあっても、元気に音楽を演奏できるようになったのは何よりのこと。できればシューマンの「謝肉祭」とか「ピアノソナタ第1番」とか、また聴いてみたいと思いました。

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