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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

猛暑を逃れて菅平高原の大松山へ。ゲレンデのジャングルに突入。穴場です(妻女山里山通信)

2015-08-07 | アウトドア・ネイチャーフォト
 最高気温35度という猛暑を逃れて菅平の大松山へ撮影登山に出かけました、私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。東側の四阿山や根子岳と違い2000mもないので、それほどの涼しさは期待できませんが、それでも盆地よりは遥かにましです。さすがに信州でもこの猛暑では里山はきつい。本書では、人気の蓼科山、黒斑山、水ノ塔山、東篭ノ登山、四阿山、根子岳などの亜高山も掲載しています。他のガイドブックでは未紹介の魅力的なコースもあります。コースガイドや高山植物の写真も豊富です。ぜひ書店やAmazonでお求めください。

                                             [国土地理院電子地形図25000使用]
 本書では、アルペンコースとアルプスコースを登る2つのルートを紹介しているのですが、ゲレンデは真夏はところにより背丈ほども草が生い茂ってしまうので登れません。いや、登れないことはないのですが、かなりの藪こぎになります。ということで、今回はゲレンデの保守点検用の林道を登ることにしました。地図の夏用コースと書いてあるのがそれです。右のカットは地図の矢印の辺り。正面に続く林道を登っていきます。
 ところが、地図のT字路のところで左に行かなければいけないのに、うっかり右へ行ってしまいました。まあ、こちらを言っても林道歩きで稜線出合いには出られるのですが。面倒なので、ホワイトピークコースを登ることにしました。アサギマダラが上へ上へと誘うものですから。
 間違わなければ、真夏でも一時間もあれば着くでしょう。私は間違えてゲレンデを登ったので、もう少しかかりましたが。

 ゲレンデには、キンポウゲ科のカラマツソウ(落葉松草、唐松草)が咲いていました。見上げるとシシウドがゲレンデにたくさん咲いています。マルバダケブキやオオバギボウシなども。
 ホワイトピークコースの草丈の低い所を選んで登って行ったのですが、右のようにシシウドや、キオン、ヒヨドリバナで背丈を超えるジャングルに突入しました。しかも、上に行くに従って急になります。クマイチゴのヤブに突入すると痛いのなんの。ノアザミも避けなければなりません。10m登って小休止、撮影の連続でした。

 それでも、時折ヒヨドリバナで吸蜜するアサギマダラを撮影しながら、なんとか上の道路にたどり着きました。右は、その棘が痛いクマイチゴの果実。これをたくさん集めて口に頬張り、舌で潰して汁を吸って種だけを吐き出します。甘く酸味が強い味ですが、木苺の中では、これとモミジイチゴが一番美味しいと思います。朝露を浴びて冷えた木苺は、本当に美味しく自然の滋味でした。痛いのを我慢した褒美ということにしておきましょう。

 ようやっと山頂へ。もやっていて、四阿山と根子岳は見えません。涼しい風が時折吹くのが心地よかったですね。本当は、写真の右下に見えるリフトの降り場、地図ではガイドマップと書いてある所に来るはずだったのですが。あそこからここまでは、走れば5分、ゆっくりで20分もあれば着きます。白い花の群生はヤマハハコ。その下のピンクはヤナギランです。実は麓のペンションの庭から合宿中の吹奏楽の演奏がずっと聞こえているのです。登り始めはグラウンドで練習する運動部員の声も聞こえました。とても菅平らしい光景です。
 高原野菜の白いマルチが見えます。畑によっては収穫に追われていいました。サラダ菜とかレタスなどですね。私は少量ですが無農薬無化学肥料で作っているので買うことはありませんが。今朝はそれをむしりとって来て、自家製ベーコンとハムエッグにして、ミニトマトを挟んでサウザンアイランドドレッシングで、くるみの入ったカンパーニュに挟んでサンドウィッチに。アマゾンのアサイジュースを飲みながらブランチしました。馬鹿旨です。

 途中や山頂辺りで見た花です。まずラン科のネジバナ。この二つを見ても分かるように、右巻きと左巻きと両方あります。亜高山の花というわけでもなく、妻女山山系でも見られます。別名はモジズリ(捩摺)。すごく小さいので、見落としがちです。次はコオニユリ。多くはありませんが、あちこちに小さな群生がありました。
 右はヤナギラン。山頂近くにはまとまった群生があります。艶やかな高原の花で、昆虫たちもよく吸蜜に訪れます。日本では高原の花ですが、アラスカやイギリスでは野原の花です。

 左はモンキチョウのメスでしょう。中は長野県の天然記念物のミヤマモンキチョウのメス? でも翅の模様がなんか変ですね。交雑種でしょうか。翅の縁のピンク色も薄いし、後翅の白斑も二つですね。一番右は、中のミヤマモンキチョウのメスに誤認で求愛するモンキチョウのオス二頭? なんだか間違って受け入れて交尾してしまうこともあるのでしょうか。ゲレンデは、帰化植物が入るので、モンキチョウとミヤマモンキチョウが混在するのでしょうか。仲間に蝶の研究家がいるので聞いてみようと思います。ということで後日聞いたらクサイということです。ただ捕獲は禁止されていますが、捕獲して詳細を調べないと分からないということです。

 こちらは、ノアザミで吸蜜するウラギンヒョウモン。左のカットでは、ノアザミの粘る総苞に捕まったコバエが見えます。前々回の三峯山の記事でも書きましたが、食虫植物でもないのに、なぜこういう特徴があるのか不思議です。右は高原の線香花火シシウド。数多くの虫が吸蜜に訪れます。聖山のものは高さが4mもありましたが、大松山のものは2mぐらいが最大でした。

 これがモンキチョウのオス。メスはかなり白っぽいので区別は容易です。中はアキアカネ。山頂付近の空は、これで埋め尽くされていました。右はトラマルハナバチ。舌下が長いので、蜜源が深くにある花を好みます。ハナアブの仲間は、他にも何種類か見ました。やはりネオニコ空中散布は、何よりの自然破壊だと分かります。家庭用の殺虫剤も使ってはいけません。ペットのノミ取り剤も危険。いずれ必ず健康被害が出ます。しかも個人では因果関係が証明できないので泣き寝入り必至。

 午後になって、やっと四阿山(右)と根子岳(左)が姿を表しました。この山域のカルデラや米子大瀑布からのコースも本では紹介しています。やや経験者向きですが、非常に楽しいコースです。健脚向きには、カルデラ周回23キロのハードなコースも紹介しています。山が好きで体力のある人にはぜひ挑戦して欲しいコースです。尾根筋とカルデラ内では、全く異なる自然が見られます。米子硫黄鉱山の跡地も歴史マニアや廃墟マニアには必見のコース。詳細は本をお読みください。
 雷鳴がとどろき始めたので下山することにしました。

 その途中で立ち寄った菅平高原自然館の湿原遊歩道へ。そこで見た植物です。まずキンポウゲ科のシキンカラマツ(紫錦唐松)。可憐で可愛い花です。真ん中はシラネセンキュウ。こういう風に丸くなるものと、妻女山山系の様に割りと平面的なものとがあります。里山と亜高山では、若干違うのでしょうか。亜種と考えていいのでしょうか。
 右はオトギリソウ科のトモエソウ。花びらが卍形をしているのが特徴です。根子岳に登るとオトギリソウ(弟切草)に出合えます。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、里山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの2つ前。3つ前。4つ前の記事をご覧ください。家庭用の殺虫剤や除草剤、ノミ取り薬も危険です。

『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林(税込1728円)が好評発売中です。長野市や松本市の平安堂書店さんでお求め頂けます。東京は銀座の長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO しあわせ信州シェアスペース」にも置かれるそうです。最近は、首都圏から信州の里山に登りに来る人も多いですから。Amazonでも買えます。でも、できれば地元の書店さんを元気にして欲しいです。パノラマ写真、マクロ写真など668点の豊富な写真と自然、歴史、雑学がテンコ盛り。分かりやすいと評判のガイドマップも自作です。この夏は、信州の里山を歩いてみませんか。
 本の概要は、こちらの記事を御覧ください
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