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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

信州麻績村の聖山はアサギマダラの楽園だった。その100倍ぐらいアブが大発生でフリーズ(妻女山里山通信)

2015-08-03 | アウトドア・ネイチャーフォト
 週末はフィールドワークで前回登った麻績村の北西にそびえる聖山へ撮影登山。いや北側の聖パノラマホテルからの超楽ちんコースなので、撮影ハイキングです。しかし、驚きました。アブが大発生。撮影で車を停めると大量のアブに取り囲まれ車にも体当たり。降りようとすると、最低3、4匹は車内に飛び込むほど。これには本当に参りました。経年変化の範疇なのでしょうが、妻女山山系の千曲市側のようにネオニコ空中散布で全滅よりは遥かにましです。
 前回紹介した麻績村の聖湖から北へ別荘地を抜けて三和峠を越えて、長野市旧大岡村の聖山パノラマホテル(公営国民宿舎)にやってきました。ここはお勧めです。安いしロケーションが抜群。料理もいいみたいです。地元なので泊まったことはありませんが、こことか麻績村の信州牛が堪能できる「シェーンガルテンおみ」とか信州新町のサフォークのジンギスカンで有名な「さぎり荘」とか超絶穴場です。信州には群馬県境の近くのリゾートのようにホットスポットがある場所もあります。ここは、ガイガーカウンターで測りましたが比較的安全な場所です。

 聖山パノラマホテルの広大な駐車場の南東に聖山遊歩道の入り口があります。このコースは、私の『信州の里山トレッキング 東北信編』川辺書林にも載っています。現在は廃止されてしまったスキー場のゲレンデをつづら折れで登り、尾根に乗ったら左へ昔のパノラマコースを登っていきます。約40分ぐらいでアンテナのある聖山に着きます。ファミリートレッキングにも最適なコースです。

 とにかくあちこちにアサギマダラがいました。これは珍しいことにクガイソウで吸蜜するカットですが、多くはヒヨドリバナやヨツバヒヨドリで吸蜜していました。しかし、この撮影中もアブが体の周りを何匹も飛び回り、時には刺す(吸血する)のでもう大変です。アブやハチには、子供の頃から刺されまくっているので免疫ができているのか、特にアブは刺されてもなんともありませんが、煩いです。もちろん自然写真家ですからアブの写真も撮りますけれどね。頼むから今日は放っておいてくれよって思うのでした。

 クガイソウで吸蜜するアサギマダラ三態。2000キロ以上の海を渡ってくる蝶です。アサギマダラという名称は、白っぽく透けている部分の色が浅葱色だからなんです。長距離を飛ぶからでしょうか、その舞い方はゆっくりと優雅で、思わず見入ってしまいます。

 ゲレンデ跡は色々な花の宝庫でした。シシウド(猪独活)とヤナギラン(柳蘭)の群生。中はヤナギランのアップ。山火事の後や伐採地にいち早くでるので、英ではファイヤーウィードと呼ばれます。アラスカでは最もポピュラーな花で、山火事の後に群生することから、復活や再生のシンボルとされています。信州の高原でも、非常に艶やかに華やかに目立つ植物です。
 右はキバナノヤマオダマキ(黄花山苧環)。苧環とは糸を巻く道具のことで、昔うちにもありました。私はこのオダマキという言葉を聞くと小田巻蒸しを思い出してしまうのです。大阪の船場が発祥のうどんが入った茶碗蒸しですね。以前、ズワイガニを頂いて小田巻蒸しにしたことがあるのですが、絶品でした。レシピはこちらです

 ゲレンデを登って尾根に乗ったところに以前のリフト降り場があり、アルプス展望台となっています。残念ながらこの日はガスって見えませんでした。眼下に聖山パノラマホテルが見えます。夏季キャンプに来た低学年の小学生たちと出会いましたが、撮影したばかりのアサギマダラの写真を見せて、オニヤンマもたくさんいるよと教えると喜んでいました。山頂のアブには閉口したでしょうけど。

 山頂から反対側の南面の麻績村を俯瞰したところ。かなり靄(もや)っています。後から高齢のご夫婦が登ってきましたが、やはり大量のアブに閉口。旦那さんの白いシャツに留まるアブを、奥さんが何匹も叩き潰していました(笑)。殺生はいかんよなんて言っていられないほどのアブの大群でした。

 そんな山頂に咲いていた花たち。まずフシグロセンノウ。ナデシコ科ですが、蕾がポンッと咲く瞬間を見たことがあります。徐々に咲くのではなく巻いていた細い蕾が瞬間的にポンッと咲くのです。驚きました。
 中はジャコウソウ。山頂で出会った女性が、私が知っているジャコウソウとは違うと言われていましたが、それは亜高山に咲くイブキジャコウソウのことでしょうね。
 右はオヤマボクチの蕾。信州の飯山の富倉そばのつなぎとして有名ですね。蕾も綿毛が巻いていて、なんだかグルグル回っているみたいです。

 ヒヨドリバナで吸蜜する艶やかなクジャクチョウ。夏の信州では里山から高原まで見られる艶やかな蝶です。中はアサマシジミのメス。たくさんいました。右はヨツバヒヨドリの大群生地で吸蜜するアサギマダラ。胸部の水玉模様も可愛いですね。しかしアブが煩い。「アブの生態とその防除法」。やれやれ。

 聖山の撮影を終えて聖湖に戻る途中でのカット。前回登った三峯山の箱庭みたいなカット。展望台のある山頂の右奥は冠着山(姨捨山)。実は、このカットの撮影後、そうだ冠着山に登ろうと思い、一本松峠、古峠経由で鳥居平へ。冠着山にも登りました。

 その冠着山の北アルプス展望台からの聖山。アンテナのある辺りが山頂です。今回登ったのは、あの山頂の向こう側。右手の三和峠から風越山を経由して登頂するコースも、私の本では紹介しています。自然が堪能できる良いコースです。
 やはりネオニコ空中散布がなければ、里山は美しく虫たちで賑やかなのです。危険極まりないネオニコチノイド系農薬についての記事は、ブログの2つ前。3つ前。4つ前の記事をご覧ください。

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