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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

妻女山陣場平の貝母が咲き始めました。ヤマエンゴサク、タチツボスミレ、ハナヤスリ、ヤマハコベ。オオズキンカブリタケ(妻女山里山通信)

2024-04-11 | アウトドア・ネイチャーフォト
 妻女山陣場平の貝母が咲き始めました。貝母(ばいも・貝母百合・編笠百合)は、奈良時代に中国(唐)から伝わったという薬草(毒草)です。万葉集に一首あるといわれています。
「時々の 花は咲けども 何すれぞ 母とふ花の 咲き出来ずけむ」丈部(はせつかべ・はせべ)真麻呂(万葉集)
 これが貝母のことであるという説があります。丈部真麻呂は、遠江国山名郡(現在の静岡県袋井市)で徴兵され九州に派遣され国境警備にあたった兵士・防人(さきもり)でした。
 意味は、季節ごとに花は咲くのに、どうして今、母という花は咲かないのだろうか(咲くのだったら摘み取って共に行くのに)。
 貝母の開花情報は当ブログやX(旧ツイッター)、インスタグラムで紹介していきます。

 和名の編笠百合の名前の理由は、花の中を覗くと分かります。4月の茶花です。

 貝母は下から咲いていきます。大きな株だとてっぺんまで咲くのに一週間ぐらいかかります。見頃は今週末から二週間ぐらいでしょう。

 今年は3月に何度もなごり雪が降り気温も低めだったので、草丈は昨年よりやや低めです。

 南側には草丈の低い群生地が。7月に北風で種が飛んで発芽したものです。種からの場合は一年目は片葉のみ。花が咲くまでは、5〜7年かかります。

 陣場平の片隅にはヤマエンゴサクの群生地があり、咲き始めました。貝母が満開の頃には紫の絨毯の様に咲き乱れます。

 ヤマエンゴサク(山延胡索)は、ケシ科キケマン属の多年草で、別名は、ヤブエンゴサク、ササバエンゴサク。花後に種を飛ばすと地上部は枯れてなくなり、その後は翌春まで地中の地下茎で過ごすスプリング・エフェメラルの一種です。

 ハナヤスリ(花鑢、花鈩)。そう見えないかも知れませんがシダ植物です。陣場平の入り口に群生地があります。

 小さなタチツボスミレなのか、別種なのか、交雑種なのかよく分かりません。堂平大塚古墳へ下る林道沿いや道の真ん中に咲いています。

 シュンラン(春蘭)。シュンランは、単子葉植物ラン科シュンラン属の蘭です。洋蘭として人気のシンビジウムの仲間。妻女山山系では貴重な植物。

 ウバユリ(姥百合)の若葉。ユリ科ウバユリ属の多年草です。標高の高い里山や高原に行くと、高さ2mぐらいになるオオウバユリが見られます。

 ヤマハコベ(山繁縷)。たくさん咲いていますが小さいので目に留まらないかも知れません。花弁が10枚に見えますが、5枚で切れ込みが深いのです。

 タチツボスミレ(立坪菫)の群生地。スミレ科スミレ属の多年草です。もっともありふれたスミレ。カタクリなどと同じアリ散布植物です。

 タチツボスミレのアップ。妻女山では葉に斑入りのものや茎に毛があるものも見られます。赤い斑入りで毛があるものはアカフケタチツボスミレ。

 妻女山の某所にある枝垂れ桜。花びらが細いのが特徴です。桜は実は400種類ぐらいあるのです。

 上杉謙信矢尻の泉から上信越自動車道の薬師山トンネル。レンギョウが鮮やかに咲いています。

 翌12日は晴れて気温も上昇。10人ぐらいのグループや2人連れ、東京からの女性も。貝母も一気に咲き出しました。オオズキンカブリタケ(大頭巾被り茸)がいくつも発生しています。アミガサタケの仲間です。食菌ですが、水溶性の微毒があるので、一度茹でこぼしてから調理します。ロケット燃料と同じ成分が含まれるとかで、気を付けないと調理中に具合が悪くなる人もいるそうです。醤油には合わず、バターやクリームに合うので、クリーム煮、リゾット、パスタなどに向いています。

 オオズキンカブリタケは、クマノミズキの周りに数多く発生しています。クマノミズキからは樹液がたくさん出始めました。貝母のつぼみも白っぽくなって咲く準備ができています。

 貝母の花の撮影は、スマホの場合は自撮りモードですることをお勧めしています。満開の頃には周りのヤマザクラ、カスミザクラ、オオヤマザクラも咲き始め、さながら桃源郷の様になります。シロヤブケマンやクサボケも咲き始めます。

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