心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

オキシトシンで自閉スペクトラム症小児の社会的スキルは改善せず

2021年10月18日 | 発達障害
10月13日にNew England Journal of Medicineという世界で最も権威ある医学雑誌に、「オキシトシンの点鼻により自閉スペクトラム症小児の社会的スキルに改善は認められなかった」との研究報告が掲載されました。

対象は3~17歳の290人の小児で、24週間にわたって毎日、オキシトシンまたはプラセボの点鼻スプレーが投与されました。オキシトシンの忍容性はよく、副作用はほとんどありませんでしたが、プラセボ群と比較して、効果面で有意差はありませんでした。

過去に本ブログでも自閉スペクトラム症に対するオキシトシンでの治療の可能性について触れたことがあり、期待を持って注視していましたが、今回はとても残念な結果となりました。

今後、自閉スペクトラム症の中核症状に改善が得られる他の薬剤の開発が強く期待されます。

(院長 森)

COVID-19流行により世界のうつ病などが増加

2021年10月11日 | ブログ
10月8日に発刊されたランセットという権威ある医学雑誌に、「世界のうつ病や不安障害の有病率が30%近く上昇」することが報告されました。

もし新型コロナウイルスの流行がなければうつ病の割合は10万人あたり2,471人だったと予測されていましたが、流行のせいでその割合は10万人あたり3,153人へと28%上昇しました。

また、不安障害は流行がなければ10万人あたり3,825人だったと予測されていましたが、流行のせいで10万人あたり4,802人へと26%上昇しております。

新型コロナウイルスの感染流行で精神的に変調をきたしてしまった人々への支援や治療など、精神医療の強化は世界的な急務となっています。当院でも微力ながら、少しでも皆様のお役に立てると幸いです。どうぞお気軽にご相談ください。

(院長 森)