心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

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オキシトシンで自閉スペクトラム症小児の社会的スキルは改善せず

2021年10月18日 | 発達障害
10月13日にNew England Journal of Medicineという世界で最も権威ある医学雑誌に、「オキシトシンの点鼻により自閉スペクトラム症小児の社会的スキルに改善は認められなかった」との研究報告が掲載されました。

対象は3~17歳の290人の小児で、24週間にわたって毎日、オキシトシンまたはプラセボの点鼻スプレーが投与されました。オキシトシンの忍容性はよく、副作用はほとんどありませんでしたが、プラセボ群と比較して、効果面で有意差はありませんでした。

過去に本ブログでも自閉スペクトラム症に対するオキシトシンでの治療の可能性について触れたことがあり、期待を持って注視していましたが、今回はとても残念な結果となりました。

今後、自閉スペクトラム症の中核症状に改善が得られる他の薬剤の開発が強く期待されます。

(院長 森)