心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

うつ病と躁うつ病

2011年04月29日 | 気分障害

うつ病と躁うつ病は、合わせて「気分障害」という疾患カテゴリーに分類されています。しかし、実はうつ病と躁うつ病は全く異なる疾患であり、したがって治療法も異なります。薬物療法に関して言えば、うつ病には抗うつ薬を、躁うつ病には気分安定薬と呼ばれるお薬を中心に投与します。「うつ状態」で病院を受診した場合、本人は「うつ病」と思っていても、実は「躁うつ病」だった、ということも少なからずあります。なぜなら、過去の躁状態(ハイテンション)が比較的軽い場合、本人は「元気で仕事もバリバリできて、非常に調子がよかった」とあまり困ることがなかったため、過去の躁状態を自覚することが難しいからです。

躁うつ病は、最初、躁状態で始まるのか、うつ状態で始まるのかは、およそ半々といわれています。よって、「うつ状態」で発病し、最初は診断が「うつ病」でも、途中で「躁状態」が出現し、診断が「躁うつ病」に変わり、治療方針が変更になることもあります。

巷ではストレス社会を反映し、「うつ病」ばかりにフォーカスが絞られがちですが、「うつ状態」で受診した患者さんは、「うつ病」なのか「躁うつ病」なのか、これまでの経緯をよく聞き、慎重な診断・治療ならびに注意深い経過観察を要します。


取得資格

2011年04月29日 | プロフィール

よく若くみられがちですが、平成18年に精神保健指定医、平成19年に日本精神神経学会認定精神科専門医および専門医指導医の資格を取得しております。先日は、ある患者さんに「実習の学生さんですか~?」と言われました。蛇足ですが、高校3年生の時に英検準1級を取得しました。ですが、最近はめっきり英語を話す機会がないので、以前のように話せるかどうか自信ないです


認知症と高齢者のうつ病

2011年04月28日 | 認知症

うつ状態の時は一時的に記憶力や注意力、判断力などが低下するため、高齢者のうつ病の場合、一見、認知症になってしまったかのようにみえることがあります。このような状態を「仮性認知症」といいます。これは本当の認知症ではなく、うつ病を治療して回復すると、仮性認知症は改善します。両者の区別は難しい場合もあるので、慎重な判断や治療を要します。


認知症の診断

2011年04月28日 | 認知症

認知症には、いろいろなタイプがあります。家族からの聞き取りや本人の診察(表情や歩き方、態度、話し方、動作なども診ています)、神経心理学的検査(記憶や見当識などを調べる検査)、頭部画像検査(CTやMRI)を行い、その結果を総合して診断をつけます。家族からの聞き取りは、普段の家庭での様子を知るために、診断に重要な手がかりとなります。ですので、同居のご家族がおられましたら、初診時にはなるべく同伴のうえ、ご来院下さい。


一般外来について

2011年04月22日 | 一般外来

当院では、不眠や不安、気分の落ち込み、対人緊張、パニック障害、躁うつ病、統合失調症、不登校など性別・年齢問わず、心療内科・精神科領域の疾患全般に対応いたしております。どうぞお気軽にご来院下さい。初診の方は、事前に予約して頂けると待ち時間が短いです。


災害ストレス外来

2011年04月20日 | 専門外来

3月11日に発生した「東日本大震災」に被災された皆様に謹んでお見舞い申し上げます。当院では、「災害ストレス外来」を開設いたしております(担当:森。詳細は当院ホームページをご覧ください)。どうぞお気軽にご来院ください。


自己紹介

2011年04月19日 | プロフィール

はじめまして。この度、平成23年4月1日より新クリニックにて診療を始めました。今年で精神科医師になり、11年目になります。微力ながら、地域の皆様の心のケアのお力になることができればと思っております。

当院では薬物療法のほかに、様々な心理療法にも取り組んでいます。

私は学生の頃から脳の科学に興味を持ち、大学3年の頃にはすでに精神科医になろうと決めていました。なので、学生の頃からいろいろな精神医学関連の本を読んで勉強していました。

最初は、精神薬理学(いわゆる薬物療法)に興味を持ち、精神科のお薬に関する勉強をたくさんしました。しかし、卒業して実際に診療をするようになると、薬物療法だけではよくならない患者さん達に出くわすようになりました。今振り返ると、それは当たり前といえば当たり前の話です。人間の精神やこころをお薬だけで全てコントロールすることなど、土台無理な話です。

誤解がないよう補足しますが、私は薬物療法を否定しているわけではありません。精神疾患によっては、薬物療法は必要不可欠です。しかし残念ながら、薬物療法のみではなかなか改善しない精神疾患があるのも事実です。

そこで、その「薬物療法のみではなかなか改善しない精神疾患」をなんとかよくするために、精神科医になって4年目頃から、他にもいろいろな治療法を勉強し始めました。いわゆる、「心理療法(精神療法)」です。県外にも頻回に足を運び、様々な研修会やトレーニングに参加して勉強してきました。

 
これまでに修了した、トレーニングや研修会です。

・日本EMDR学会認定EMDRトレーニングPart1およびPart2

・日本EMDR学会主催ワークショップ(テーマ:子どもへの忠実なEMDRプロトコルの適用, 解離とEMDR)

・日本精神神経学会主催, 精神医学研修コース(うつ病の認知療法)

・日本認知療法学会主催ワークショップ(テーマ:強迫性障害の認知行動療法, 弁証法的行動療法)

・日本精神病院協会主催, こころの健康づくり対策研修会(PTSD対策専門研修, 通常コースおよびアドバンスコース)

・日本トラウマティック・ストレス学会主催ワークショップ(性的虐待の心理療法)

・国立精神神経センター精神保健研究所主催, 発達障害支援医学研修

・よこはま発達クリニック主催, 自閉症スペクトラムワークショップ(発展講座)

・厚生労働科学研究グループ主催ワークショップ(ブリーフ・インターベンション)  

・東京認知行動療法アカデミー主催ワークショップ(テーマ:対人関係療法, 神経性過食症の認知行動療法, マインドフルネス, アスセプタンス&コミットメントセラピー)

・日本臨床催眠学会主催研修会(初級および上級)

・日本エリクソン・クラブ主催, エリクソニアン催眠ワークショップ(初級および上級)

 
振り返ると結構いろいろな研修会に参加してきましたが、医学は日進月歩、それは精神医学も例外ではありません。現状に満足することなく、今後も引き続き薬物療法、心理療法ともに自己研鑽に励み、少しでも患者さん方のお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。