心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

日本初の原発性腋窩多汗症治療剤

2021年06月24日 | ブログ
昨年11月に科研製薬株式会社より、日本初の原発性腋窩多汗症治療薬が発売されました。エクロックゲルという名前の塗り薬となります。

心療内科と腋窩多汗症はあまり関係がないかと思われるかもしれませんが、実は多汗症の方はうつ病などの精神疾患を併発したり、日常生活に支障をきたすこともあり、精神面への影響も少なくないのが現状です。

多汗症の治療薬としては、これまではプロ・バンサインという内服薬がありましたが、便秘や口渇、瞳孔散大、排尿障害などの副作用が起こることもあり、必ずしも使い勝手はよいとは言えませんでした。

今回の塗り薬は、適応の身体箇所は腋窩(脇の下)のみですが、腋窩多汗症の方には新たな治療の選択肢ができ、恩恵が得られるかと思われます(ただし、残念ながらワキガには効果はあまり期待できません)。腋窩多汗症でお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

(院長 森)

双極性障害講演会 参加報告

2021年06月18日 | 気分障害
6月16日(水)に長崎市内で双極性障害の講演会が開催されました。特別講演では「双極性障害の現状と未来」との演題のもと、順天堂大学医学部精神医学講座主任教授  加藤  忠史先生がご講演されました(コロナ禍のため、加藤先生には東京からオンラインでご講演いただきました)。

加藤先生は日本における双極性障害研究の第一人者で、これまでに多くの発見や報告を世界に向けて発信されてきました。今回は、双極性障害のこれまでの研究成果や効果的な治療薬の使い方などについてご教示いただきました。なお、僭越ながら講演後のディスカッションでは、パネリストとして私も参加させていただきました。

今回は大日本住友製薬株式会社が1年前に発売した双極性うつ病治療薬[ラツーダ]の発売1周年を記念し、企画した講演会でしたが、このラツーダという治療薬はこれまでの双極性うつ病治療薬と比較して効果、安全面ともに優れている点が多く、ラツーダ発売以降、多くの患者さんが恩恵を受けています。

ただ、未だ双極性うつ病の治療薬は限られているのが現状ですので、今後も新薬の登場が期待されます。