心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

EMDR Weekend1トレーニング無事、終了!

2018年05月22日 | 専門外来

5月18日(金)~5月20日(日)の日程で、長崎市内にて九州では初となるEMDR Weekend1トレーニングが開催されました。36名の定員に対して、長崎県内からは15名程の臨床心理士および精神科医の先生方が参加されました。西九州(佐賀・長崎)はトラウマ治療の過疎地で、EMDRを実践できる治療者が全く足りておらず、今回、長崎にて本トレーニングを開催して頂き、本当に有難かったです。

遠路遥々、本トレーニングのために来崎頂いた日本EMDR学会のトレーナーやファシリテーターの先生方には心から感謝いたしております。当院の臨床心理士2名と私も現地コーディネーターとして、陰ながらトレーニングのお手伝いをさせて頂きました。

今回のトレーニングを機に、今後は長崎でも定期的なEMDR勉強会の開催を計画し、トラウマ治療の必要な患者さんが長崎県内の各地でEMDRが受けられるように、長崎県でのEMDRの普及に務めていきたいと思っております

なお、現時点での長崎県内でのEMDR治療者は、日本EMDR学会HPの治療者リスト( https://www.emdr.jp/emdr%e6%b2%bb%e7%99%82%e8%80%85%e3%83%aa%e3%82%b9%e3%83%88/%e4%b9%9d%e5%b7%9e%e3%83%bb%e6%b2%96%e7%b8%84%e3%83%bb%e6%b5%b7%e5%a4%96%e5%9c%b0%e5%8c%ba/ )に掲載されておりますので、ご参照ください。


発達障害評価尺度;MSPAが実施可能になりました

2018年05月08日 | 発達障害

当院の臨床心理士 久冨が先月、京都で行われましたMSPA(発達障害の特性別評価法;Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)の研修会に参加し、当院で新たな発達障害評価尺度であるMSPAの実施が可能となりました。なお、もう一人の臨床心理士 森 ゆみも今月末に行われるMSPA研修会に参加予定です。

MSPAは従来の評価法に比べ生活現場でのニーズを重視した評価尺度で、2016年4月からはMSPAによる評価に医療保険が適用されることになり、医療や療育、教育現場などでの活用が期待されています。MSPAでは、当事者のみならず家族や教師といった異なる立場の多様な支援者が特性の個人差を視覚的に理解できるよう、こだわり・睡眠リズム・反復行動といった要素が5段階でレーダーチャートに示されます(下図)。

MSPAは発達障害者の特性を視覚的に表すことができるため、当事者と周囲の双方から、個々の特性に対して相互的に理解できるようになることが期待されます。「どのような生活現場でどのような支援が必要とされているのか」ということを多職種にわたる支援者で共有することは、支援の迅速化やうつ、不安障害などの2次障害の予防にもつながるでしょう。

まだ長崎でMSPAを実施できる医療機関は少ないのが現状かと思います。今後は当院の心理検査にMSPAが加わることで、さらに充実した発達障害への支援や治療を行っていきたいと考えております。