心療内科 新(あらた)クリニックのブログ

最新の精神医学に関するトピックスやクリニックの情報などを紹介します

作業療法ジャーナル6月増刊号

2011年06月24日 | ブログ

6月20日に発刊された作業療法ジャーナル6月増刊号に、私が執筆いたしました総説論文が掲載されております。タイトルは「社会的認知とコミュニケーション」で、主に“顔と表情の認知”と“心の理論”について、脳科学的視点から概説しております。ヒトは、いかにして他者と心理的相互コミュニケーションを図るのか、などを書いております。本原稿を書きながら、ヒトの脳の複雑さや奥深さを改めて実感したものです。


ジプレキサ

2011年06月17日 | 抗精神病薬

統合失調症のお薬の一つに、ジプレキサというお薬があります。今年の6月で発売10周年となりました。私が研修医1年目の6月に新発売されたお薬です。当時、多剤が投与されていた治療抵抗性の統合失調症の患者さんにジプレキサを使用したところ、最終的にお薬をジプレキサ1剤にすることができ、約20年ぶりに自宅への退院が可能となった患者さんのことが思い出されます。


このように、ジプレキサは統合失調症に高い効果を期待できる薬剤の一つです。ただ、10人に2人くらいの割合で、食欲増進→体重増加がみられ、中止せざるをえないこともあります。


長崎県発達障害研究会

2011年06月15日 | ブログ

昨日行われた長崎県発達障害研究会に参加してきました。ADHDや自閉症、アスペルガー障害についての講演がありました。発達障害の疾患概念は比較的新しく、今後も診断基準が少しずつ見直されていく予定です。


それぞれの疾患で、社会生活上の障害となっている部分に関しては様々な分野からのサポートが必要ですが、一方でうまく長所を伸ばすことができると、社会適応も十分に可能です。むしろ、なかには天才的な能力を発揮するケースもあります。


私はコンサータ錠登録医師ですので、ADHD治療薬の一つであるコンサータの処方が可能です。ADHD支援の一助になることができればと思っております。


メマリー

2011年06月11日 | 認知症

6月8日にアルツハイマー型認知症の新薬、「メマリー」が発売されました。従来のアリセプトというお薬と併用することで、よりいっそう、認知症の進行を遅らせることができるといわれております。当クリニックでも処方可能です。


お薬だけが認知症の治療では決してありませんが、認知症の進行を少しでも遅らせることができれば、その分、介護する家族の負担を軽減でき、患者本人のQOL(生活の質)やADL(日常生活動作)の維持にも役立てるのではないかと期待しています。


節酒外来

2011年06月04日 | 専門外来

当院では新たに節酒外来を設け、ブリーフ・インターベンションを行っております。ブリーフ・インターベンションとは、「短時間介入」あるいは「簡易介入」と日本語訳されることもありますが、定訳はありません。1980年代前半よりWHOを中心に開発・研究され、以後、その有効性が実証されてきています。


一言で表すと、1回に約5分~15分で、合計3回のセッションで行う節酒のための行動カウンセリングです。社会的課題である生活習慣病、飲酒運転、うつ・自殺問題に潜む多量飲酒者対策の切り札となることが期待されます。


対象者は、

・お酒の飲みすぎで健康に心配がある方

・お酒の飲みすぎで検診等で肝機能の異常や高血圧、糖尿病などを指摘され、飲酒量を減らすように指導されている方です。


なお、ブリーフ・インターベンションはアルコール依存症の治療法ではありません。アルコール依存症の方は、断酒が推奨される治療目標となります。