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アルマ望遠鏡が偏波観測で世界最高感度達成! 磁場が大きな役割を果たしている天体現象の解明へ

2016年07月26日 | 宇宙 space
アルマ望遠鏡では通常の科学観測と並行して、
観測性能を実証する“科学評価観測”も行われています。

その評価観測で得られたデータの解析から、
アルマ望遠鏡がミリ波の偏波観測において世界最高感度を有していることが、
確認されたんですねー


磁場の観測

波の振動方向の分布が一様でなく、
一方方向に限られている電波のことを偏波といいます。

偏波の観測は、
宇宙空間における“磁石の力(磁場)”を調べるための重要な手段になります。

なので、太陽表面の黒点やフレアと呼ばれる爆発現象、星・惑星系の誕生、
超巨大ブラックホールからの高エネルギージェットなど、
磁場が大きな役割を果たしている様々な現象の謎の解明に活用されることが、
期待されているんですねー


偏波観測性能の実証

今回、偏波観測性能の実証がアルマ望遠鏡で行われました。

実証のための観測に選ばれたのは、
りょうけん座の方向約73億光年の距離にあるクエーサー“3C 286”。

その理由は、“3C 286”の中心に超大質量ブラックホールがあり、
非常に高エネルギーのジェットが放出されているからでした。

このジェットの形成に、
磁場が大きな役割を果たしていると考えられているんですねー

アルマ望遠鏡で観測したクエーサー“3C 286”。
等高線は電波強度、紫色の短い棒は偏波の向きを表す。

今回の観測では、ジェットの根元付近から放射される、
電波の偏波強度と偏波の向きを測定。

すると、過去に行われた、
より長い波長であるセンチ波による観測結果よりも、
アルマ望遠鏡が観測した1.3ミリのミリ波の電波のほうが、
偏波の割合が高いことが分かりました。

ミリ波のほうがジェットの根元から放射されると考えられているので、
今回の成果は、ジェットの根元に近づくにつれて、
より強く、方向がそろった磁場があることを示すものになったということです。

この結果は、クエーサー近傍の磁場構造を探る手がかりになるんですねー

一般に観測される電波の総強度に対して、
偏波の強度は数%以下と非常に弱いものになります。

なので、偏波を精度良く観測するには高い感度が必要になり、
アルマ望遠鏡の偏波観測の性能が非常に高いことを、
今回の観測をもとに確認することが出来たということです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽の磁力線の可視化に成功。

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