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地球から流出した酸素が月にまで届いている?

2017年02月13日 | 月の探査
月周回衛星“かぐや”による観測から、
太陽活動によって地球の重力圏から流出した酸素が、
月に到達していることが直接確かめられました。

このことは、月表土の複雑な組成を理解する上で、
画期的な知見になるそうです。


プラズマがシート状に存在する領域

太陽風や宇宙線から私たちを守ってくれる存在。
それが地球の周囲にある磁場“地球磁場”です。

地球磁場は、太陽と反対方向(夜側)では彗星の尾のように引き伸ばされ、
吹き出しのような形をした空間“磁気圏”を作ります。

そして、その“磁気圏”の中央部には、
熱いプラズマがシート状に存在している領域があります。
太陽、地球磁気圏、月の位置関係の概念図。

今回の研究では、
月周回衛星“かぐや”が取得した月面上空100キロのプラズマデータを解析。

すると、月と“かぐや”がプラズマシートを横切る場合にのみ、
高エネルギーの酸素イオンが現れることを発見したんですねー


“かぐや”がとらえた酸素イオン

今回の研究の元になったデータを取得した“かぐや”は、
2007年9月に打ち上げられ、2009年6月まで観測を続けた日本の大型月探査衛星です。
日本初の大型月探査機“かぐや”

これまでに地球の極域から、
酸素イオンが宇宙空間へ漏れ出ていることは知られていました。

でも、“地球風”として38万キロ離れた月面まで、
酸素イオンが運ばれていることが、観測的に明らかになったのは世界初のこと。

検出された酸素イオンは、
1-10keV(キロ電子ボルト)という高いエネルギーを持っていて、
これほどのエネルギーがあれば、
酸素イオンは金属粒子の深さ数十nmまで貫通することができるようです。

今回の研究結果は、
長年謎だった月表面の複雑な酸素同位体組成を理解する上で、
非常に重要な成果になります。

植物による光合成で生成された酸素、
つまり地球の生命活動によって作られた酸素が、
月にまで運ばれている…

地球の生命活動が、遠く離れた月に直接影響を与えているんですねー

月と地球は力学的だけでなく、
化学的にも影響を及ぼしあっているんですね。


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