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超大型ロケット“スペース・ローンチ・システム”の開発が正式決定!

2014年09月10日 | スペースシャトル ~ SLS, オリオン
これまでNASAが検討と設計を進めていた“スペース・ローンチ・システム”、
このロケットの開発が正式に決定しました。

“スペース・ローンチ・システム”は、史上もっとも強力な打ち上げ能力を持つロケットで、
これが完成すれば、小惑星や火星への有人飛行が可能になるんですねー
決定事項を正確に言えば、
“スペース・ローンチ・システム”の70トンバージョンの開発のため、
2014年2月から計算して計70億2100万ドルの予算を投じるというものでした。
そして最初の打ち上げ日は、2018年11月以降としています。


“スペース・ローンチ・システム”は打ち上げ能力70トンのロケットと、
130トンのロケットの大きく2種類が開発されることになっています。

まず最初に開発されるのは70トン構成の機体で、
大型の無人探査機を火星や小惑星に送ったり、
宇宙飛行士を乗せたオリオン宇宙船を地球低軌道や月、
地球近傍小惑星に送り込むことが可能になります。

2030年ごろには130トン構成の機体がデビューする予定で、
いよいよ火星や小惑星への有人着陸が視野に入ることに…
130トン構成が実現すれば、史上最大の打ち上げ能力を持つロケットになるんですねー


“スペース・ローンチ・システム”のコア・ステージと呼ばれる第1段部分は、
基本的にはスペースシャトルの外部タンクを流用し、改修されたこのが使われます。

さらに、ロケットエンジンもスペースシャトルに使われていたRS-25Dが装備され、
その両脇には、やはりスペースシャトルで使われていた固体ロケット・ブースターを流用、セグメント数を増やしたものを装備します。

コア・ステージの上部には、ミッションの目的や打ち上げるものの大きさ、質量に応じて用意された何種類かの上段を搭載することになります。

これらのバリエーションは、
それぞれブロックIやブロックIAといった呼び名が付けられていて、
さらに有人宇宙船を搭載する型や、貨物のみを搭載する型にも分かれています。


すでに“スペース・ローンチ・システム”の初期バージョンを造るための要素は、
整いつつあります。

例えば、ロケットとオリオン宇宙船との結合に使われるアダプターは、
すでに開発が終わっていて、
今年の12月に予定されているデルタIVヘビー・ロケットによる、
オリオン宇宙船の打ち上げで同じものが使われます。

また、“スペース・ローンチ・システム”の飛行4回分に当たる、
16基のRS-25ロケット・エンジンは、
すでにNASAステニス宇宙センターにあり、
この秋から始まる燃焼試験を待っている段階なんですねー

“スペース・ローンチ・システム”の両脇に装備される、
5セグメントの固体ロケット・ブースターも、
ATK社による燃焼試験が行われています。


“スペース・ローンチ・システム”は次に、最終設計審査が待ち構えています。
これを越えれば、いよいよ1号機の生産が開始されるんですねー

予定通りに計画が進めば、
2018年11月に、無人のオリオン宇宙船を載せた1号機を打ち上げ、
試験飛行が行われる予定です。

また、その2年後には友人のオリオン宇宙船の打ち上げがあり、
そして2030年代までに、火星への有人飛行が実現する計画になっています。

ただNASAには、
“スペース・ローンチ・システム”を開発するために必要な予算はあるのですが、
実際に使用するための予算は、まだ与えられていないんですねー

なので「2030年代に火星へ行く」という構想は、
今のところ夢物語でしかないのかもしれませんね。


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