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星の形成を妨げている? 超大質量ブラックホールから吹く風

2016年06月07日 | 宇宙 space
星形成が行われておらず、
中心部の超大質量ブラックホールから時おり風が吹き出している銀河。

こういう特徴を持つ“レッドガイザー”と呼ばれる銀河の観測から、
星形成を妨げる原因になっている銀河内でのガスの加熱が、
超大質量ブラックホールからの風によって、
引き起こされていることが明らかになりました。


材料はあるのに星を作らない銀河

近傍の宇宙では、
若い青い星が少ないため赤く見える、星形成が行われていない銀河が、
大半を占めています。

でも、こうした星形成が不活発な銀河の中には、
星形成に必要なガスは十分存在しているのに、星形成が行われていない銀河もあります。

いったい、どのようなメカニズムで星形成が停止しているのか?
が天文学者を長年悩ませてきた謎なんですねー

今回の研究では、銀河観測を行うプロジェクト“MaNGA”で、
“Akira”というニックネームの銀河を観測。

アパッチポイント天文台にある、
口径2.5メートルのスローン財団望遠鏡に取り付けた新型の分光装置を用いています。

“Akira”は“レッドガイザー”と呼ばれる、
新しく発見されたタイプの銀河の典型例にあたります。

若い星が少ないため赤く、
銀河中心の超大質量ブラックホールから時おり風が吹き出すという、
特徴を持っています。
銀河“Akira”(右)と“Tetsuo”(左)のイメージ図。
“Akira”の重力により“Tetsuo”のガスが“Akira”の超大質量ブラックホールに引き込まれる。
これによりブラックホールからの“アウトフロー”が生み出されて“Akira”のガスを温め、
新たな星形成が妨げられている。


ブラックホールから吹く温かい風

観測の結果とらえられたのが、
“アウトフロー”と呼ばれる風により銀河内のガスが温められる様子でした。

“アウトフロー”とは、
超大質量ブラックホールに物質が落ち込む際に解放されたエネルギーによって、
周囲のガスが高速で外向きに広がって吹く風です。

“Akira”の超大質量ブラックホールからの“アウトフロー”は、
“Tetsuo”というニックネームのさらに小さい銀河との相互作用によって、
生み出されているようです。

“アウトフロー”によってガスが高温になると、
ガスが収縮できないので、新たな星が作れなくなるんですねー

今回の研究結果は、星形成に必要な材料となるガスが銀河に十分あっても、
中心の超大質量ブラックホールからの“アウトフロー”によって、
銀河内のガスが温められ、星形成が妨げられるという説を示すことになりました。

今後、観測データの解析を引き続き行うことで、
“レッドガイザー”自体の性質や、“レッドガイザー”が銀河の進化全般に、
どのように関係するのを明らかにするそうです。


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