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地球の水は小惑星が運んできたのかも…

2014年12月19日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
彗星探査機“ロゼッタ”
彗星探査機“ロゼッタ”の観測により、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水が、
地球のものとは異なることが分かりました。

これは地球の水は、彗星ではなく小惑星から運ばれてきたということなのでしょうか?


彗星や小惑星が水を運んできた

46億年前に生まれたころの地球は、
ひじょうに高温で、水が存在したとしても、すべて蒸発してしまったと考えられています。

現在、地表を広く覆う海の水は、
「冷えた後の地球に、彗星や小惑星などの小天体が衝突し、
もたらされた」という説が有力なんですねー

ただ、彗星と小惑星のどちらが、主な水の供給源だったのか、
といった詳しいことは良く分かっていませんでした。

この問題に大きな手がかりをもたらしてくれると、期待されているものがあります。


チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星がカギをにぎる?

それは、今年の8月からチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測を行っている、
ヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”です。
水を含むガスやチリを噴き出す
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から噴き出す水のデータを分析したところ、地球の水と大きく異なることが明らかになります。

水の起源が同一かどうかを知るには、
水に含まれる“重水素/水素”の比率が測定されます。

これは、普通の水素より中性子1個分だけ重い重水素の割合が同じであれば、同じ起源を持つと見なすことができるからです。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水は、
この重水素比が地球の水の3倍も大きかったんですねー

太陽系の天体における重水素の比率。
“木星族彗星”は地球に比較的近い傾向を見せていたが、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星はそれに当てはまらなかった。


地球の水は小惑星が運んでくれた

これまでに調査が行われた11個の彗星では、
重水素比はまちまちでした。

唯一地球と同じ結果が出た、
ハートレー彗星と同じ“木星族彗星”であるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が、
大きく異なる数値を見せたのは興味深いことでした。

“木星族彗星”とは、
太陽からもっとも離れたときに木星軌道付近に来る短周期彗星の総称です。

海王星の外側のカイパーベルトで形成されたものが、
内側に移動してきたものと考えられています。

でも、今回の結果からすると、
“木星族彗星”が生まれた場所は、思ったよりもバラバラなのかもしれません。


“木星族彗星”はカイパーベルト(左)でできたものが、
太陽系の内側に引き寄せられたもの、
“オールト雲彗星”は天王星や海王星付近でできたものが、
太陽系の彼方に追いやられたものと考えられている。


今回の観測結果から、
“木星族彗星”の水が、必ずしも地球の水に近い重水素比ではないことが分かり、
「地球の水の起源は小惑星だった」という説が、少し有力になったんですねー


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