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木星最大の衛星ガニメデにも地下海が存在する

2015年04月05日 | 木星の探査
土星の衛星エンケラドスに続き、木星の4大衛星の1つになるガニメデにも、地下の海の存在を示す、新たな研究成果が発表されました。

これで、太陽系内で生命が存在するかもしれない場所が、またひとつ増えたことになります。
木星の周りを公転する衛星ガニメデ。(イメージ図)
木星の周りを公転する衛星ガニメデ。(イメージ図)
ガニメデに地下海が存在する可能性は、長年にわたり指摘されてきました。
今回その存在が、ハッブル宇宙望遠鏡によるオーロラ観測によって初めて確認されたんですねー

ガニメデに磁場が存在する可能性があることは、1995年に木星に到着したNASAの無人探査機“ガリレオ”によってすでに知られていました。
ガニメデのオーロラ。ガニメデ本体は探査機“ガリレオ”、オーロラはハッブル宇宙望遠鏡による紫外線像。
ガニメデのオーロラ。ガニメデ本体は探査機“ガリレオ”、オーロラはハッブル宇宙望遠鏡による紫外線像。
今回の発見でカギになったのは、ガニメデの周囲で発生するオーロラの変化。

この変化をハッブル宇宙望遠鏡で観測した結果、ガニメデの海の存在に関する、これまでで最も有力な証拠が得られることになります。

オーロラが観測されたのは、ガニメデの北極と南極の周囲の領域。

オーロラは衛星や惑星が持つ磁場の影響で生じる現象なので、その動きの変化を観測することで、地殻の下に存在するものが分かってきます。

そして研究チームは、木星自体の磁場とガニメデの磁場との相互作用が、オーロラの揺れ動きを引き起こしていることを突き止めることになります。

オーロラの揺れが、本来予測されていたものより小さいことが分かり、ガニメデ内部にある伝導性の液体…
おそらく塩水により二次的な磁場が発生し、これが揺れを軽減。

要は、オーロラの動きに、ガニメデ内部の塩水が作り出す磁場が影響していたんですねー
地下の塩水によって発生した磁場が、木星の磁場によるオーロラの揺れを弱めている。
地下の塩水によって発生した磁場が、木星の磁場によるオーロラの揺れを弱めている。
今回の成果の一つは、宇宙望遠鏡が衛星内部に関する推察を行うための“強力なツール”になる可能性があるということ。

水星よりも大きいガニメデの状態については、2022年に打ち上げが予定されている、ヨーロッパ宇宙機関の木星探査ミッション“JUICE”の探査機によって、さらに詳細な情報が得られることになるはずです。

ただ、探査機が木星に到着するのは2030年… かなり先になるんですねー


ハッブル宇宙望遠鏡の観測によって、塩分を含み導電性を持つ海の存在が、ガニメデの地殻下に確認されました。

なので、“JUICE”計画の探査機をガニメデの周回軌道に送り込めれば、非常に興味深い科学ミッションになるはずです。

ガニメデの海の深さと水温に関する情報は、まだ、ほとんど得られていません。

現時点での研究チームの推測は、ガニメデの海は深さが地球の海の10倍、大半が氷でできている厚さ150キロの地殻の下に埋もれているということ。

地下海の水温については、「水が液体の状態を保てるほどの温度」としか分かっていなそうです。


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