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推進剤に余裕が無くても大丈夫(^^) ファルコン9ロケット3度目の着陸に成功!

2016年05月12日 | 宇宙へ!(民間企業の挑戦)
5月6日のこと、スペースX社のファルコン9ロケットが、
洋上に浮かぶ無人のドローン船へ無事着陸したんですねー

ドローン船への着陸成功は2度目。

ただ今回のファルコン9に搭載されていた衛星は、
200キロも高い静止トランスファー軌道へ送り届ける必要があり、
多くの燃料を消費するだけでなく、降下速度や機体の発熱も増えたんだとか…

そのため、かなり難しい着陸になったようです。
通信衛星“JCSAT-14”を搭載したファルコン9ロケット


完璧な成功

打ち上げられたファルコン9ロケットには、
日本のスカパーJSATの通信衛星“JCSAT-14”が搭載されていました。

ファルコン9は5月6日の14時21分(日本時間)に、
フロリダ州にあるケープカナヴェラル空軍ステーションを離昇し、
順調に飛行し2分41秒後に第2段機体と分離。

その後、第1段機体は大西洋に向かって降下していきます。

第1段機体は大気圏に再突入後、
洋上に浮かぶ無人のドローン船の真上でロケットエンジンに再点火し、
甲板の上に舞い降りたんですねー

一方の第2段機体も順調に飛行を続け、
打ち上げから約31分後に衛星を分離し、計画通りの軌道に投入。

その後、衛星からの信号も届き、状態が正常だと確認されます。

ロケットの打ち上げ、第1段機体の着陸、衛星の軌道投入と全てが成功したんですねー
洋上で回収された第1段機体


JCSAT-14

“JCSAT-14”は、日本の衛星通信会社スカパーJSATが運用する通信衛星です。

現在同社が運用中の“JCSAT-2A”の後継機として、
日本全域、アジア、オセアニア、ロシア、太平洋地域に、
通信サービスを提供することになります。

衛星の製造はアメリカのスペース・システムズ/ロラールが担当。

打ち上げ時の質量は約5トンで、
東経154度の赤道上空3万6000キロの静止軌道で運用されます。

設計寿命は15年が予定されています。
ファルコン9から分離された通信衛星“JCSAT-14”


ロケットをどこで回収するか

スペースX社ではロケットの低コスト化を目指し、
一度打ち上げたロケットを回収して、再び打ち上げに使うための試験や開発を、
数年前から続けてきました。

そして昨年末には第1段機体を陸上へ、
今年の4月9日には洋上のドローン船への着陸に成功させるんですねー

今回で着陸成功は3回目になり、洋上へは2回目の成功になりました。

発射した場所に近い地上にロケットを戻すには、
分離後の第1機体を上空で反転させ、
それまで飛んできた飛行経路を戻るようにして飛ぶ必要があります。

設備の整った地上施設で、
すぐに点検や修理などができるという利点はあるのですが、
推進剤を多く使うことになります。

でも分離後の第1機体が落ちていく先に、
回収用の船を配置しておけば、着陸に必要な推進剤は少なくて済み、
その分打ち上げ能力の向上に充てることができます。

また、船自体に点検や修理のための設備を積んでおけば、
陸まで戻る時間で整備を行うことができます。

そのまま船上から再打ち上げを行うことも可能になるかもしれませんね。


難しい条件での成功

ファルコン9ロケットの回収には、大きく3回のエンジン噴射が行われます。

水平方向の速度を落とす、
あるいは発射場まで戻る(反転)ために行われる“ブーストパック噴射”、
大気圏再突入時の速度を抑えるための“再突入噴射”、
最終的に着陸するための“着陸噴射”です。

でも今回の打ち上げでは推進剤の余裕が少ないので、
“ブーストパック噴射”が実施されませんでした。

この場合、
前回の成功時よりも速い速度で船に向かって降下するため、
制御が難しくなるんですねー

実際、今年の3月5日にも、
今回と似た条件と方法で回収が試みられたのですが、
ロケットを制御し切れず、船への着陸に失敗しています。

そのためスペースX社や同社のイーロン・マスクCEOは、
事前に「今回は回収は難しいだろう」という見方を述べていたそうです。

でも、その予想は良い方向へ裏切られることになりました。


新しいブースト方法

今回の着陸では3月5日との違いもありました。

通常“着陸噴射”には1基のエンジンが使われます、
でも今回は、3基のエンジンを使い、一気に降下速度を落としたんですねー

この新しい方法が功を奏したと見られていて、
これにより今後、ロケットを回収できる頻度も上がるかもしれません。

スペースX社では、
今月下旬にタイの通信衛星“タイコム8”の打ち上げを予定しています。

さらに今後、2~3週間おきにファルコン9の打ち上げを行うと共に、
回収試験も続けられます。

そのうちの何機かは、
ひょっとすると回収した機体が使われるかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ ついに成功! ファルコン9ロケットが洋上の船に着陸


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