夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ポスターガール』と『IVAW 明日へのあゆみ』、2本立て。

2012年05月08日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
前述の『はさみ hasami』を観たくて駆けつけたシアターセブンでしたが、
ちょうどその後の上映だったこちらも観ることに。
どちらもイラク帰還兵のドキュメンタリーで、各地で上映会がおこなわれています。

『ポスターガール』は、新鋭サラ・ネッソン監督の作品で、
第83回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門にノミネートされました。
軍人の家庭に育ち、幼い頃から軍人になりたかったロビン・マレー。
願いが叶って彼女は軍人となり、機関銃手としてイラクへと赴いたものの、
帰国後、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩みつづけます。
本作はそんな彼女が“アート”によって自分を表現する場を見つけるまでを追っています。

イラクでは、彼女を含む3名の女性が戦闘服に身を包み、
銃を片手に誇らしげに立つ姿を表紙にした陸軍広報雑誌が刷られました。
ロビンは、そのときはただ任務を全うすることに精一杯で、
悪いことをしているという気持ちはいっさいなかったのだと言います。
帰国してから、ことあるごとに頭をよぎる民間人の顔。

おぞましいフラッシュバックは、映像であっても目を背けたくなるほどで、
これを実際に目の当たりにしたら、いったいどうなってしまうのか。
神経に異常を来さないほうがおかしいと思えます。

やがて、心の傷をアートで癒し、表現するように。
兵士たちによる作品展には行ってみたいなと思いました。

『IVAW 明日へのあゆみ』は、日本人の木村修監督による作品。
“IVAW”とは“Iraq Veterans Against the War”の略で、「反戦イラク帰還兵の会」のこと。
イラクから帰還した兵士であるアーロン・ヒューズが再びイラクに赴き、
「許しを請うことはできないけれど、責任を取りたい」と、
民間人に銃を向けたことに対して向き合おうとします。

戦争に投じられた大金。それによって次々と起きた社会のゆがみ。
しわ寄せはあらゆるところに向かい、職を失った人も多数。
民主主義を市民の手で勝ち取ろう、戦争では民主主義を勝ち取ることはできない。
IVAWはそう叫びます。

たまたま時間が合ったから観ただけだったので、予備知識なし。
特に『ポスターガール』のほうが衝撃的でしたが、
この日は『IVAW』の木村監督ご本人も会場にお見えになっていて、逸話いろいろ。
こんな作品でこんな言い方をすると悪い気がしますが、「みっけもん」でした。

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