夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『北京ヴァイオリン』

2004年04月20日 | 映画(は行)
『北京ヴァイオリン』(原題:和イ尓在一起)
監督:チェン・カイコー
出演:タン・ユン,リウ・ペイチー,チェン・ホン,ワン・チーウェン他

国内で、海外で、どこででも見かける中国人。
そのけたたましさといったら、
たまに「勘弁してくれ~」と言いたくなることもあります。

しかし、中国の映画を観るたびに、その人間の心の大きさに驚き、
中国が好きになります。

中国の田舎町に住む父親と息子のチュン。
母は息子が2歳のときにヴァイオリンを形見に他界。
父は息子にヴァイオリンの才能を見いだし、
ヴァイオリンを続けさせたい一心から毎日必死で稼いでいる。

息子が一流のヴァイオリニストになる日を夢見る父。
北京で開催されるコンクールに出場するため、
全財産を帽子にしのばせ、息子とともに故郷を出る。

お金がモノを言う都会では、いくら優秀でも貧乏人は上位に入賞できない。
案の定、チュンは5位にとどまる。

トイレで偶然「チュンが優勝して当然だった」と話す、
ヴァイオリン教師の言葉を耳にした父親は、
この教師をつかまえ、チュンに指導してくれるよう頼みこむ。
音楽に対する真っ当な耳と心を持っていても
金に釣られることなく自分のやり方をつらぬく教師は学校でははみ出し者。
こんな教師とチュンのレッスンが始まる。

中国版『リトル・ダンサー』(ホンモノは2000年のイギリス作品)と称されたこの作品。
母と子の愛もいいですけど、がんばる父と子の愛にはやっぱり泣かされます。

監督は『さらば、わが愛/覇王別姫』(1993)のチェン・カイコー。
ハリウッドに進出して撮ったエロエロ・サスペンス、『キリング・ミー・ソフトリー』(2000)では
何を血迷っとんねや!と思いました。
やっぱりこの監督には中国を撮ってもらわんと。

はみ出し者の教師がチュンに最初にかける言葉、
これはヴァイオリンにかぎらず、すべてのことに共通では。

その1「一生懸命やれ」。
その2「やるからには楽しんでやれ。それができないならやめろ」。

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