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『バーク アンド ヘア』

2012年12月17日 | 映画(は行)
『バーク アンド ヘア』(原題:Burke & Hare)
監督:ジョン・ランディス
出演:サイモン・ペッグ,アンディ・サーキス,トム・ウィルキンソン,
   アイラ・フィッシャー,ジェシカ・ハインズ,ビル・ベイリー他

2010年のイギリス作品で、先月初めにDVDレンタル開始。

1827年から1828年にかけて起こった「バークとヘア連続殺人事件」を基にした、
「ある一部分を除いては実話」なのだそうです。
サイモン・ペッグ主演の一応コメディでありながら、
基が基だけにちょいグロくて、あんまり笑えません。

1828年のイギリス、スコットランドのエディンバラ。
医学にめざましい進歩を見せる都として名を馳せつつあるが、
このところ、解剖を施せる「合法的な死体」が不足。
というのも、解剖学の権威であるモンロー博士が、絞首刑となった死体を独占し、
エディンバラ医学校で教鞭を執るノックス博士には一切死体が回ってこないのだ。

どうしても解剖できる死体がほしいノックス博士のもとへは、
墓から掘り出した死体を売りにくる「業者」もいるが、
なにしろいつ埋められたかわからない死体だから「鮮度」が劣悪。
ノックス博士とその助手は困り果てている。

さて、金がない男ふたり、バークとヘア。
露店で万病の薬と偽ってチーズのカビを売ろうとするが、すぐバレる。
ヘアが間借りさせている住人の家賃収入を見込んで帰宅すると、
なぜか荒れているヘアの妻が、「住人が急死して家賃が取れなくなった」と言う。
埋葬するお金など出せるはずもなく、死体をこっそり処分することに。
死体を無理やり酒樽に詰めて転がすバークとヘア。

途中、酒場で一杯やっていると、死体高価買い取りの噂が。
さっそくふたりはノックス博士を訪ねる。
すぐに商談が成立し、以後も鮮度のいい死体を届ける約束をする。
しかし、そんなに都合よく死体が手に入るわけがない。
バークとヘアは金のために殺人を犯すようになり……。

鮮度の悪い死体にまずゲンナリ。解剖のシーンも決して楽しいものではなく。
けれどもこれが実話だと聞くと、あまり笑えないとは言え、
おどろおどろしい事件をよくもこんなコメディにしたものだと感心します。

死体で金が稼げるようになったがために、
貧乏人には入れなかった飲み屋へもかよいはじめたバークとヘア。
そこでバークはある女性に一目惚れ、彼女に貢ぐにはまた死体が必要。
最初は躊躇した殺人にも次第に抵抗がなくなり、
倫理観がどんどん下がってゆくのがおもしろいですね。

この事件のせいというのかおかげというのか、
イギリスでは1832年に解剖に関する立法がなされ、
「合法的な死体」がきちんと供給されるようになったのだそうな。
過去の映画化作品も観てみたいけれど、ちと怖い。

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