鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

『錦:宮尾登美子・著』

2009-08-31 21:04:05 | Weblog
横なぐりの雨。台風の余波。

・・・どうも、宮尾先生らしからぬ著書ですね・・・。
織物業を携わる事に決めた男と三人の女達の物語なんですけどね・・・。

デビューの頃のあの粘りつくような文章は、薄れて、男性が主人公ってことなので、随分と書きづらかったのかもしれませんね。
物語の展開が、速すぎて、緻密に書き込んで行く・・・ということが少しお留守になってしまったのかな・・・と勝手に思っています。
初期作品『一弦の琴』なんて、要約してしまえば、数行で終わる物語を、あれだけ長編に仕立てた技量に小説を読み始めた小娘?だった私は、驚愕したのですが・・・。

アスペルガー症候群的な集中力で、古代の錦の再現にかける吉蔵と正妻・妾そして、報われぬ恋を一生貫いた使用人の仙の三人の女達。
あのドロドロした嫉妬や修羅場・・・そんなものが、随分、希薄になってきたな・・・宮尾文学って、そういう情念の世界に生きる女達が、醍醐味だってのが多かった訳ですが・・・。

綺麗にまとまっているカンジのするのは、実在の人物をモデルにした小説だからってことでしょうか?

それとも、しばらく宮尾文学とは、ご無沙汰していたんで、ちょっと、メン喰らったというか・・・。

それでも、あの一気に読ませる力量は、当代一の女流作家さんの凄みというか・・・。
もう80歳を既に越えておられるのに、すごい気力だなといつも思います・・・。

一弦琴(一弦の琴)、香道(伽羅の香)、日本画(序の舞)、茶道(松風の家)と日本の格調高い芸術文化を小説にかかれる反面、花柳界・娼妓(鬼龍韻花子の生涯、陽暉楼)など社会の底辺で、お金で売られた哀しい女達のドラマを描き、そして、歴史小説(宮尾本平家物語、天樟院篤姫、東福門院和子の涙)といった幅広い教養が、ベースにないと書けないような作品を次々に発表されたまさに、小説の神様に守護され、才能と活躍の場を約束された百年にひとりの作家さんだと思う訳です・・・。

去年から、ずっと第一巻を読んだまま、続きを読む機会がなくて、停滞している宮尾本・平家物語も、この秋にナントカ読破できるといいな・・・と思っています。

ほんとに、ここ数年、仕事の環境とかも激変で、落ちつかなかったし、こんな時だから、読書で心を遊ばせたいと思うのです。

以前は、十年一日のごとく、何もなく、平穏だけれど、刺激のない生活での読書は、結構、満たされていたものだったけれども・・・。

ここへきて、読書スタイルが変化しているせいか、宮尾作品に関しても、読み方が変化したのかもしれないな・・・なんて思うし、この先、またどういうふうに変化するのかな・・・とも思いますが・・・。

普通の生活②

2009-08-30 21:01:18 | Weblog
普通の生活②

台風接近・・・。朝は、上天気だったものの、お昼過ぎから、シャワーのような雨が降ったり、止んだりで・・・。明日は、交通機関に影響がないとよいのですが・・・(ワタシは、車通勤だけれど、道路の冠水とか無いといいな・・・。カネは、貯まらないけれど、水は、溜まる会社にお勤めなんで・・・)。

昨日、インターネットのプロバイダーさんから、レンタルしているモデムを、交換せよってことで、新しいモデムが届きました。
モデムと電話機を接続しなおせばいいだけのような事が書いてあるんで、んじゃ・・・ちゃちゃっとやっちまうか・・・と接続を始めたのはよかったのですが・・・。

やっぱりね・・・!そんな予感は、あったんだけどね・・・。
こういうもの(パソコンとか・・・)の更新ってさ、絶対に、上手くいかないんだよね・・・。

接続してさ、電源入れてさ、おまかせセット・アップCDの指示どおり、ポジティヴにやった訳です。

まぁ・・・順調というか、そこまでは、よかったんですけどね。

このパソコンを初期に購入したときに、無線LANが、つながらなくてね・・・1週間くらい。
・・・で、今回も、無線LANの設定をやり直さなくていけない・・・という事態にたどり着くまで、2時間くらいかかっちまいましたよ・・・。もともと、これ今までも、トラブルが多くてね・・・。
・・・で、プロバイダーさんにお客さまカスタマー・サービスに電話。

回答・・・無線LANの契約は承っておりませんので、お客さまがご購入になったメーカーさんへお問合せ下さい・・・。

家電量販店で、無線LANパックと称したものをそのまま、購入したので、LANも一緒なのかと思っていましたが、違うようですね・・・。

押入れの中から、無線アダプタ用のCDを探し出して、再インストールするものの、アダプタが存在しませんとさ・・・。メーカーさんのお客さま窓口は、休日ってことで、お休みのようなのです。使えね~な・・・。

そんなこんなで半日・・・。
なんだか、もうイヤになってきたので、とりあえずの応急処置で、ネット・ショップで、20MのLANケーブル買っちゃいましたよ。
自宅の茶の間に置いてある電話機から自室まで、天井を這わせるとして、20メートルもあれば、足りるかな・・・って、メジャーで大雑把に計ったのですけどね・・・。

こんなんだったら、モトのままの古いモデムでいいからさ・・・。
モトにもどんないかな・・・と思います。でも、今更、モトに戻すのに、またまた、時間と手間が、かかりそうだし・・・。

ああ・・・通常のトラブルの無い普通の生活って、なんて心地がいいんだろう・・・なんて改めて思いました。

よい香りは、魔を祓う・・・?

2009-08-29 21:05:25 | Weblog
午前中から、ガンガン晴れて、まだ夏は、終わらないみたい。

このブログで何度も書いてしまっていますが、手元において、時々、パラパラ捲って楽しむ本が、『世界香水ガイド☆1437』です。
ネットの香水ショップをのぞいたりするものの、香りは、とても抽象的で、説明だけでは、どんな香りなのかまるで想像できないし、好き嫌いが極端に激しいので、買ってみて、ちょっとでも気に入らないと、我慢してつけるということができないので、私のお気に入りは、増えないのですけど・・・。

今迄、どちらかと言えば、ヨーロッパ(特に、フランス、イタリア)以外の香水なんて、たぶん、全部、駄作だろうな・・・侮っていたのですがね・・・。
ココに来て、アメリカのメーカー『ESTEE LAUDER(エスティーローダ)』にお気に入りを見つけました。
価格もヨーロッパのモノに較べて、リーズナブルなのに、トワレ以上に濃ゆいパルファンだし、なんと言っても、香りに清潔感があって、これなら・・・とおもうのが『PLEASURES(プレジャーズ)』。
ミニ・ボトルで購入してみたのだけれども、気に入ったので、ポータブルケース付の30ml入りを購入しました。

ミニ・ボトルは、試したい種類がないので、デパートの実店舗にいって、サンプルを貰ってくるのが一番いいのだけれども、地元だとショップがないし、あまり地元で買い物をしない私は、前述の『世界香水ガイド☆1437』で、やはり『ESTEE LAUDER(エスティーローダ)』の5つ星にランクインしている『KNOWING』をついでに、ネットショップで購入することにしました。

・・・でもな・・・実際、香りを試してみたわけじゃないしな・・・。
気に入らないかも・・・と思いつつ、買ってしまってから、ネットで調べてみると・・・。
『所謂・・・授業参観の香り』という評価が出ておりました。
・・・ようするに、オバさんの香りといったことなのでしょう・・・。ソワレ(夜)向き。
『・・・もしかしたら、失敗したかもしれない・・・』
そう思いながら、自宅に配送されるのを、待っておりました。

昨日、帰宅すると、届いておりました・・・。これが、本日の画像。

開封して、スプレーしてみると・・・。
(ああ・・・こんな感じか・・・)

ベースがシプレー(苔・オークモス)なんで、ワタシ、コレ好きでした。
確かに、大人向け(おばさん)な感じなんだけれど・・・。

夏には、ちょっと重いかな・・・と言ったカンジなので、秋本番になったら、使おうとおもっています。

よい香りは、魔を祓う力が、あるというし・・・。聖域では、お香を焚く習慣があるのは、そういうことだと聞きました。

香水も、よい運気を呼んでくれるといいのですが・・・。
このところ、なんか、どん底続きだしな・・・。




パンケーキの焼き方

2009-08-28 20:54:23 | Weblog
夏、完全復活。

私は、ここ数十年、朝食を採ったことがありません。
朝は、まるっきり食欲がないし、何も食べられないので、お茶だとか、水だとか、液体ばかり、摂取してから出勤しています。

でも、午前10:00~11:00の間って、なんか微妙・・・。
昼食には、早過ぎるし、何か、ちょっと食べてしまうと、本来の昼食が食べられなくなってしまうので、甘みのない珈琲だとかお茶だとかで、凌ぐわけです。

相当、昔の話だけれど、所謂、ファミレスで、早朝のバイトをしたことがあるのですが、朝は、モーニング・セットが主力。
卵の焼き方、ジュースの種類、トーストかパンケーキか・・・と価格の割りに、オーダーが細かくて、覚えるのが大変だったのね。
それで、お客さんに、モーニングプレートを運ぶとき、いつも不思議に思っていたのだけれども、『パンケーキ』の厚みが、ほとんどない・・・ってことなんですよね。

市販のホットケーキ・ミックスは、焼いているうちに、20~30mmくらいの厚さに膨れ上がってくるのに、ファミレスのパンケーキは、そうでもない・・・。あまり、楽しくないって言うか・・・。

もともと、『ホットケーキ』と『パンケーキ』って、違うものなのだろうか・・・。
原材料は、ほとんど同じで、ベーキングパウダーの分量が違うだけのような気もするんだけれど・・・。

・・・それじゃあ、自分で、作ってみようってことで、小麦粉・ベーキングパウダー・ミルクと卵なんかを用意して、分量は、適当に作ってみたのですが、自作のほうは、パンケーキに近かったです。ただ、膨らみは、市販のホットケーキ・ミックスと同じくらいに膨らみましたが・・・。

私は、短気なんで、パン・ケーキ(或いは、ホット・ケーキ)の片面を焼いている時、表面にプツプツを空気穴が開くのを待っていられず、ひっくり返して、よく失敗をしていました。
ホット・ケーキミックスの作り方の解説で、表面に空気穴が現れるまで、待て!と書いてあるにも関わらず・・・。
小学生の頃、お友達の家に遊びにいったとき、高校生だったお姉さんが、ホット・ケーキを焼いてくれたのだけれど、そのお姉さんは、フライパンに、タネを流しいれたら、オモムロに、鍋蓋をしてしまったのに驚いたわけです。ジッと見つめているんじゃなくて、覆いをかけちゃう。

それで、数分・・・。

表面には、多数の空気穴が・・・。
そこで、ひっくり返して、片面を焼く・・・そうすれば、上手くやけるんですね・・・。

いまは、ホットプレートで焼くのかな・・・???

短気は、よいことがないようです。

7日間で創造された世界に住んでいると・・・。

2009-08-27 21:51:11 | Weblog
また夏が戻ってきたような日中の暑さ。

日曜日の腰痛は、半日で解消した・・・というお話は、昨日のブログで書いたのだけれども、手足とか、まぁ、身体を覆う皮膚に軽く損傷を与えると、気にならなくなるまでに、大体、7日間くらいかかるようです(私の場合ですが・・・)。風邪とかも引き始めて、そろそろ終息かな・・・と思われるのに大体、7日間。
この間も不眠も7日目には、ほとんど解消したし、打撲して、内出血とかして、青アザになった場所が、元通りになるのも7日間くらい・・・。

そんなことを考えると、傷や病気の一応の回復をみるのに、大体7日間かかるということでしょうか・・・。

あくまで、ワタシの場合ですが・・・。
ボーダーラインの7日間を越えると、ほぼ慢性化して、それ以後、なかなか回復しないって場合が多いですね・・・。

この7日間という時間の単位は、なかなか意味深なような気がしています。

今日の御題にもしていますが、世界も7日間で創造したというし、もしかすると7日間というサイクルには、ヒトが介入できない何かが、あるような気がしています。
・・・7日間で、創造した世界だもの・・・どこかに手落ちだったあるさ・・・???
ひとの心は、どうだろう?
これも7日のうちで、創造されたものなのかな?
だから、心に傷を受けても(程度にもよりますが・・・)、大体、7日間寝ないで心配していると、ふっと、どうでもよくなってきたりして(・・・お悩みの程度にもよります。これは、ホントにワタシの場合)、考えることが麻痺してしまう感じもしてます。面倒だとか、もうどうでもいいとか・・・。ようするに投げやりというか、諦めというか・・・大した悩みでもないせいか・・・)。

7日間の間に炎症(爆発)して、痛みを伴い、やがて沈静化する・・・ひとつのサイクルが完了するのが、7日間という一応の目安・・・。

数字の7とブルー(青色)を嫌うひとは、少ない・・・。
そんなことも言われていますね。
ラッキーセブン・・・。

北斗七星、七つの海、虹の七色・・・イメージが貧困なんで、これくらいしか思い浮かばないけれど・・・。
なくて七癖、七難隠す、七人の敵?七転び八起き・・・ってのは、8の方がよさそうだな・・・。

すみません。
もっと、深遠なことを書こうと思っていたのですが、まったく、落ちないまま、終わりです。

普通の生活

2009-08-26 21:05:35 | Weblog
晴れたり、曇ったり・・・。

不眠もどうやら落ち着いてきたようで、このところ、今迄の寝不足を埋めるように、また、眠り猫に逆戻りの感があります・・・いいんだか?悪いんだか・・・???
でも、やはり、きちんと食べられて、きちんと眠れるっていうのは、在り難いものだと思いました。

そう思い始めた矢先、今度は、腰痛。
朝、まだ起きるには、早いかな・・・と思って、寝返りを打とうとしたところ、左側の腰にかけて、激痛。
あまりの痛さに暫く、固まっておりました。

・・・以前、腰椎症という病名を貰い、11日間の入院とあいなりましたが、そのときは、モロ、背骨。

今回のは、痛む場所から考えると、どうも筋肉みたいなんですけどね。

(痛みどころが、筋肉だとすると、そう長く痛む事もないか・・・しかし、激痛だよなぁ・・・)
と固まった状態で、考えてみました。
普段は、意識しないものの、動かすと痛いというのは、動きに対して制限が加わる訳で、これはこれで、辛いものがあります。左側に寝返り打てないので、ジッと天井を見ているしかないのだけれど。

このまま暫く、安静にしているか・・・ってことで、今週の日曜日は、床の中で、動く事も余り出来ずにいたのですが、やはりこのままってのもな・・・と思い立ち、ナントカ、起きて、薬を収納してある抽斗を漁ると、ありました・・・ありました・・・以前、病院で、もらった湿布薬—―経皮吸収型鎮痛消炎貼付剤・アドフィードハップ40(外用薬)・・・長い!
これでも貼って、様子をみよう・・・。悪化の一途を辿るなら、明日病院へ行こう。今日は、休日だし・・・。
方針を決めて、歩くと痛む腰をナデナデしながら、湿布薬をはって、再び、床の中。

・・・ええっと・・・。今日は別に何処行くアテもなし・・・やる事と言えば・・・。

(ああ・・・!あまりの痛みで忘れていたが、演劇チケットの予約が、12時からだったよな・・・。電話とメモ用紙とペンと会員IDと・・・。)

再び、起き上がり、周辺を捜索。
電話予約をする気力があるので、まだ大丈夫か・・・。
昼迄、まだ5時間近くあるし、目覚ましかけて、眠ろう・・・と思うものの、動くと痛むので、同じ姿勢で、横になるものの・・・。
しばらく、うとうとして、おそるおそる起きてみる・・・。ゆっくり左側に寝返りを打ってみると、痛みは、ほとんど消失と言っていいくらいまで、治まっている・・・。

回復が早すぎ・・・。一体なんだったんだろう・・・???あの激痛は・・・。さっきまで、歩くのも大変だったんだよ?

そんなこんなで、普通に生活できるのが一番と感じた日曜日でした。

『狭き門より入れ』③~世界を構築する深遠なる謎解き

2009-08-25 21:01:41 | Weblog
風既に秋。夕方は、肌寒ささえ、感じる。

一昨日からの続き。

登場人物の中で、たったひとり、最後迄、正体のわからない人物がいる。世界の仕組みを知る男・キシだ。謎を問いかけ、アマノを試す。
もともとは、人間だったのだろうか?
何故、この世界の更新に関わっているのか一切語られていない。
存在的には、人間っぽくなくて、希薄なのに、手塚とおるさんが演じると妖しく美しい超自然な存在として、輝く。

キシとは・・・『岸』・・・彼岸のことだろうか?

敢えて、この人物?の過去を設定しないことによって、観客は、想像を膨らませる。

この人物は、謎の全てを知る・・・未来は、わからないと言いながら、アマノに希望の光を灯す。
シニカルに笑いながら・・・。
それは、崩壊する世界を愛していたからだろうか?
それとも、そんなことは、キシにとってどうでもいいのだろうか・・・。

この世界の創造主は誰だろう・・・???
(もちろん、この舞台上では、脚本・演出の前川知大さんでしょうけれども・・・)

現在、この現実の世界を創造したのは、誰なんだろう?
こういう未来を予測したのか或いは、全く、想定外の現状なのだろうか?
・・・いろいろな事件や事故のニュースを見たり、聞いたりするたびに、そう思うし、電車の中で、ひとを不快にさせる品性のない行動を平気な顔でやってのける人たちを見るにつけ、そう思ってしまったりする。

この舞台の創造主は、無関心が一番の罪だ!とハカリに言わせ、世界は、願いより祈りを必要としている!とキシに言わせている。

世界の為を思って、更新を行っても、誰も幸せになんかならない・・・。
更新に不要な?人間を排除しても、世界は、変わらない・・・ホンの少しだけ、マシになるだけかも・・・。
そんな予感さえ感じさせる。

更新に不要な人間なんていない!
どんな人間でも、必要だから、生まれてきた・・・そう信じていたい・・・。
でも、大抵は、幻想なんだけれども・・・。

~あなたは、更新される世界に必要な人間ですか?その資格がありますか・・・???~

『狭き門より入れ』②~世界を構築する深遠なる謎解き

2009-08-24 21:04:54 | Weblog
湿度の低い乾いた暑さ・・・。夕方から雷雨。
昨日の続き。

新世界へ転位できるひとは、60%、残り40%のひとは、旧世界に取り残され、3年後の崩壊のリミットまで、この世界で生き続けなければならいない・・・そのことを知らされたアマノ。

友人のハカリは、生前?通り魔により、妻子を殺され、この狂いはじめた世界に歯止めをかけようと奔走する・・・。
ハカリは、アマノに、自分の今の仕事を手伝ってくれるよう誘う。

ハカリの上司???ともいうべきキシは、世界の更新のメカニズムを知る男。このひとは、神?なんだろうか・・・???
この舞台で、この世のひととは、一線を画す不思議なキシ役を演じるのは、手塚とおるさん。
スレンダーな身体に、黒いテーラード・ジャケット風の衣装を、格好よく着こなして、身のこなしは、天使のようだ。椅子の上に膝を抱えて座ったり、やはりこの世のひとでない超自然的な役(たとえば、死神?とか・・・)を演じさせるともう他の追随を許さないくらい上手い。
ほんとに、不思議なオーラを放つ役者さんだ。

海だとか水の事故で無くなった人間で、遺体の発見できなかったひとは、この世のものではない他の世界で生きていけるんだろうか・・・?
そういう言い伝えがあるのかどうか・・・わからないのだけれど、そんな小説を読んだことがあったな・・・とふと思った。

世界の更新を知ってしまったアマノを追い越すように、時間は、過ぎて行く。

人の往来の激しいコンビニのドアが、現世界と新世界を分かつゲートになっている。
最後の審判が始まった・・・。

新世界へ移行するひと、旧世界へ残る人は、世界が分かれるとき、双方の存在の記憶が消されてしまうという。
どちらの世界に振り分けられても、かつて一緒に存在していたひとの記憶はなくなり、当然のように生活していくという・・・。
アマノは、それを拒む。
・・・忘れてしまったら、また同じ、過ちを人類は、繰り返す・・・。

悩めるアマノを好演する佐々木内蔵介さん。社内の不正を内部告発したがために、人事部のリストラ担当に異動させられてしまい、結局、退職という選択をするはめになってしまったサラリーマンをクールに演じている。規模は、違えど、ヒトを選別するという仕事を受持つキシ(手塚とおるさん)と好対照。

この物語、奥が深い。

『狭き門より入れ』~世界を構築する深遠なる謎解き

2009-08-23 21:02:18 | Weblog
くもりがちな一日。

昨日は、先週に引続き都内へ。
PARCO劇場へ『狭き門より入れ』を観劇に。
自宅を出たのが、3時半くらいで、夕方は、秋の気配。

コンビニエンス・ストアを舞台に、現世界の終焉と新世界への移行の物語が展開していく。

さて、あなたは、新世界で生き残る事が出来るでしょうか・・・???

人口の約60%が眠りについたまま、目覚める事ない不思議な新型ウイルスの蔓延する現在。
会社を辞めて、実家のコンビニエンス・ストアに帰る途中のアマノ(佐々木内蔵介さん)は、踏切りで、8年前に死んだ友人とそっくりな男に助けられるものの・・・友人・ハカリ(中村亀之助さん)は、海で海難事故に遭遇し、遺体もあがらないままだったのに、突然、アマノの前に姿を現す。

最後の審判は、3日後。
新世界へ行けるひとと、このままだと3年後に破滅する旧世界へ取り残されるひとが選別される。
その選別のゲートを管理する門番が、アマノの父親だった。しかし父親は、病に倒れ意識不明。

アマノの実家であるコンビニには、アマノの弟・ユウジ(有川マコトさん)と万引きで捕まったウオズミ少年(中尾明慶さん)とアマノがリストラしたトキノヤさん(浅野和之さん)がいた。

アマノ、ウオズミ、トキノヤは、新世界への刷新を知る事になる。

全てを知る男・キシ(手塚とおるさん)は、謎をかける。

新世界へ行くには、ある条件をクリアしなければならない・・・。

コレまで、世界は、何度更新されたのだろう・・・。
人間を選別するメカニズムを知るキシとハカリ。
選別される側に立つアマノ、ウオズミ、トキノヤ。

世界を構築する謎解きの物語は、展開していく。

ほんとうに、面白かった。久々にドキドキした作品に回り逢ったような気がした。

さて、あなたは、条件をクリアして、新しい世界で、生き延びる事ができるでしょうか???・・・そんな深遠な謎を、作者で演出家の前川知大さんは、観客につきつけているようだ。

明日に続きます。

『甲子園の空に笑え!:川原泉・著』

2009-08-21 21:04:11 | Weblog
くもりがちで、蒸し暑い一日。

臨時休業中の出勤のため、静かに仕事が出来るのが嬉しい。

そろそろ、高校野球もクライマックスでしょうか?

私は、野球は、どこが面白いのか、実は、よくわかりません。
でも、漫画だとかドラマになると面白いんですよね。

まあ、古いところしか存じ上げないのですが、『巨人の星』も『侍ジャイアンツ』も、プロ野球選手への第一関門としての甲子園がある訳です。
『ドカベン』なんかは、モロ・高校野球でしょうかね(最初しか見てないのでその後、どうなったのか確認できないのですが・・・)。
あと・・・なんだろう・・・。高校野球が舞台の漫画って・・・。

少女マンガの狭い狭い領域の中で、異色なのが、今日の御題・・・川原泉さんの『甲子園の空に笑え!』
設定が、普通の野球マンガとは、全く違っていて、田舎町に赴任してきた新人の生物の女性教師・広岡真理子先生が主人公。
この田舎の高校は、豆の木学園。
野球部もギリギリの部員で、毎日楽しく練習をしているんですね。
部員は、少女マンガ的な可愛らしい男の子ばかり・・・。
大人しいおっとり系の男子ばっかりで、厳しいスポーツの世界とは、無縁で、まったり日だまりのよう。
お家が農家で、農繁期には、練習は、なし。おうちのお手伝い・・・そんな可愛い生徒達が、何故かわけのわからない運に恵まれて、甲子園出場を果たす・・・という想定外のストーリー。
少女マンガにおける殆ど、唯一の『高校野球』モノだと思いますが、後続で、こういうスポーツマンガを描いている漫画家さんているのかどうか・・・(漫画から離れて、もう、数十年だし・・・)。

この『甲子園の空に笑え!』の続編とも言うべき、『メイプル戦記』が刊行されますが、これは、日本初の女性(+オカマ一名)のプロ野球集団・スィート・メイプルズへと展開してゆくのですが、このプロ野球集団のヘッドになるのが、豆の木学園・野球部監督・広岡真理子先生なのです。

川原さんの画力には触れまいと思います。
キャラクターに見分けがつかないこともこの際、ご法度です。
(ファースト・セカンド・サード・ショートのポジションは、四つ子の兄弟で、全て同じ顔をしている。メイプル戦記でも、同じ顔の四つ子の姉妹が割り当てられている)

しかし・・・ホント・・・面白い。

日溜りの暖かさ。メンバーが9人しかいないチームの選手達に、広岡先生は、心の中で呟く。
『今日も幸せだといいね・・・。笑っていられるといいね・・・。楽しいといいね・・・。(ウロ覚えなんでちょっと違うかもしれませんが・・・)』

勝負だけのスポーツ漫画と違って、なんて優しく暖かいんでしょう・・・。