17年、彩図社。高木瑞穂著。わたかの島。
この本を読むきっかけは、先日アップした衝撃ノンフィクション
「ある行旅人の物語」のAmazonレビューを読み、
これも近い本と書いた人がいたので中古で購入。
近い、とは「ある~」の千津子の生活に近い意味なら
少しわかる。が、近くはなかった。
わたかの島、三重県に属し、300人くらいの小さい島。
上手ければ泳いでも渡れる距離?船で3分くらい。地図で確認した。
江戸時代から遊郭があった?
1960年代から、この島の産業が売春を軸になりたっていた。
著者は女性、取材はフリーの男性ジャーナリスト。
暴力団関係との取材もあり、女性では無理だったろう。
元ヤクザも、何人か登場し詳しく語る。
何枚も当時の写真がある。
1977年中日新聞、少女12人をここで保護の記事。
同じく77年元警部補、売春防止法、児童福祉法違反で逮捕の記事。
92年朝日新聞、98年北國新聞、99年中部読売新聞、
00年中日新聞、中部読売新聞、10年中部読売新聞
どれも売春関連で逮捕などの記事。
初めは興味深く読んだが、同じような取材が続き
それほどインパクトはなかった。
こんな島があったのか・・そして今も密かに売春をしているのでは・・
この島には娯楽産業しかない。教育、文化系は皆無。
小さな島に置屋、パチンコ、賭博、スナック、居酒屋、ストリップ劇場、
ホテルなど、遊興レジャーセンターのようだった。
多い時は300人以上の女性が男を待っていたらしい。
どこでもいけば女性を紹介してくれ、
ショート、ロング、一晩など選べる。
初めはお酒を飲みつつ、そこで女性を見て選ぶ。
アジア系、フィリピン、タイ、韓国など不法滞在の
女性も多かった。
いきなり売春ではなく、それがいいのではとあった。
元は四国からの女性が多いらしい。近い奈良にも売春地域があった、
泳いで逃げた女性もいたなど。
真実かはともかく、いろいろな情報が書かれている。
警察も目をつぶり、元警部が置き屋の経営者などになり
バブル崩壊まで、それで島は成り立っていた。
ヤクザ、暴力団も名は明かさず、取材に応じている。
初めの頃は女性が逃げないように、監視体制が厳しく、
今のホストクラブの売掛金のようなシステムと感じた。
男の借金を返すため、高い着物を買うため。
逃げられないような組織となっていた。
他に行く場所もない女性は、仕方なく売春をしていた。
だんだんと感覚がなくなるとある。
バブルの期間が最盛期、2000年以降は下火になり人も減った。
デリヘルの方が稼げると、女性たちも去った。
~~こんな小さな島で、堂々と売春が行われていて驚いた。
1957年に禁止法ができたにもかかわらず、警察など権力側も
同じ仲間となり、島の生活を維持していた。
不可解でもあるが欲望の渦に、巻かれていたのだろう。
下火になり、未来の島へとイメージを変えようとしてもいる。
元々なにもないので、簡単にはいかない。
古くさびれた建物がまだ残っている。