リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.282 )
「投資としての消費」 をもたらす方法、誰もが質の高い住宅に住み、住宅価格上昇の効果を享受する ( 構造改革の ) 方向性が、語られています。
「土地の有効利用促進 ( 住宅を広くする )」 ・ 「住宅の資本財化」 は、日本の内需拡大策です。日本を内需型の社会に変えるために必要な構造改革である、とリチャード・クーが主張している政策です ( 「内需拡大策としての週休 3 日制」 参照 ) 。
それには ( 内需型社会への転換には ) 、土地の値段が安くなければならない。日本は、土地の値段が高すぎて、( 大多数の人々にとっては、予算の都合で ) 安っぽい家しか建てられない。土地の値段が下がれば、住宅部分にお金をかけることが可能になる。そうすると、住宅の質が向上し、徐々に住宅価格は上昇し始めるのではないか。そうなれば、
広くて快適な住宅になるうえに、
「投資としての消費」 による内需拡大 ( 好景気 ) が期待される
というのです。
土地の価格が下がれば、景気が悪くなる、と考えるのが通常だと思います。リチャード・クーのこの主張は、地価の下落を 「逆手にとった」 対策であり、いま、日本が必要としている政策ではないかと思います。
「お金を得ることにつながる」 なら、それを投資と呼ぶか、消費と呼ぶかはともかく、需要が拡大すると見込まれます ( 「じつは、アメリカ人も堅実だった」 参照 ) 。この政策は、ぜひとも推進すべきではないかと思います。すなわち、
建築規制を緩和するなどにより、住宅の質を向上させる政策を推進すればよい
と思います。そうすれば、中古住宅価格も上昇し始めると期待されます。
うまくいけば、内需が拡大し、景気がよくなります。うまくいかなくとも、住宅の質は向上します。
クー 家の上モノの価値が下がらずに、どんどん上がっていく仕組みに変えないといけません。しかも家の価値を高めるためにお金をかける。家をリフォームすることは消費でもあるけれど、投資でもあるという社会に変えていけば、日本人はずっとリッチな生活ができます。それこそ、そんなに働かなくてもいい。
村山 日本の場合、親から譲り受けた家があるかどうかで、その人の生活が大きく違ってきます。家さえあれば、いまの四国だったらものすごく楽な生活ができます。
なぜ住宅の価値が上がらないかという一つの原因は、土地の価格がどんどん上がっていったからだと思います。例えば東京に一戸建てを買った場合、購入価格の半分以上が土地価格です。その土地が年々上がっていって一〇年、二〇年経ったら、住宅はどうでもいいとなってくる。土地の値上がりだけでもう充分元をとっているから上モノはどうでもいい、ということです。
クー 私は別の意味で同じ結論なんです。日本の場合、あまりにも土地の値段が高いので、上モノにお金をかけられないということです。だから建売の住宅建設業者は、高い土地の上にできるだけ安く建物を作らないと、一般の人は買えなくなってしまう。それで間取りは不自然になるし、つくりは安っぽくなってしまいます。その結果、築二〇年もしたら本当に魅力のない建物になってしまう。
村山 投資としての資金配分を考えた場合、どちらが値上がりするかが問題になります。値上がりする部分に投資をしておいたほうが絶対に得なわけですから。そうすると住宅はどうせ値下がりするとみんな思っているから、土地の部分に重きを置くようになる。郊外で安い土地に立派な家を建てるよりも、無理してでも都心の高い、これから値上がりしそうな土地に家を建てるというほうが投資行動としては合理的です。
クー いままではそれで良かった。しかし、これからはもうそういうわけにはいかない。
村山 そういう意味で、私はいまが家の価値を見直すいいチャンスだと思う。土地の値段が高くて、どんどん上がり続けている限り、家の価値は上がらない。だけど、これ以上土地の値段は上がらない、下がっていくということになってくると、初めて家そのものの価値が見直されるということです。家に投資するほうが意味があるわけですから。
クー そうなっていけばいいですね。つまり、ここでしっかり建てられた家はメンテさえしっかりすれば半永久的にその価値を維持するという価値観が出てくることが望まれます。
村山 何年もかかるでしょうけれど、そうすれば一般の住宅水準が上がります。住宅を建てるコストが年々上がるとなれば、それならいまのうちにいい家を建てておいたほうが得だねということになる。それだけお金をかけてもいいということにもなります。
(中略)
村山 アメリカではよほどの都心でない限り、土地はあまり関係ありません。
クー サンフランシスコでだいたい土地と家で半々ぐらい。高級住宅地といわれる所だと、建物の高さとか外装とか、あれはいけないとか、これはいけないとかいろいろ制約がありますが、そうでない所では、だいたい土地の価値が三分の一、上モノが三分の二です。日本はまったく逆ですからね。
村山 総額の三分の二が土地代に持っていかれるとなったら家を小さくするしかなくなります。
「投資としての消費」 をもたらす方法、誰もが質の高い住宅に住み、住宅価格上昇の効果を享受する ( 構造改革の ) 方向性が、語られています。
「土地の有効利用促進 ( 住宅を広くする )」 ・ 「住宅の資本財化」 は、日本の内需拡大策です。日本を内需型の社会に変えるために必要な構造改革である、とリチャード・クーが主張している政策です ( 「内需拡大策としての週休 3 日制」 参照 ) 。
それには ( 内需型社会への転換には ) 、土地の値段が安くなければならない。日本は、土地の値段が高すぎて、( 大多数の人々にとっては、予算の都合で ) 安っぽい家しか建てられない。土地の値段が下がれば、住宅部分にお金をかけることが可能になる。そうすると、住宅の質が向上し、徐々に住宅価格は上昇し始めるのではないか。そうなれば、
広くて快適な住宅になるうえに、
「投資としての消費」 による内需拡大 ( 好景気 ) が期待される
というのです。
土地の価格が下がれば、景気が悪くなる、と考えるのが通常だと思います。リチャード・クーのこの主張は、地価の下落を 「逆手にとった」 対策であり、いま、日本が必要としている政策ではないかと思います。
「お金を得ることにつながる」 なら、それを投資と呼ぶか、消費と呼ぶかはともかく、需要が拡大すると見込まれます ( 「じつは、アメリカ人も堅実だった」 参照 ) 。この政策は、ぜひとも推進すべきではないかと思います。すなわち、
建築規制を緩和するなどにより、住宅の質を向上させる政策を推進すればよい
と思います。そうすれば、中古住宅価格も上昇し始めると期待されます。
うまくいけば、内需が拡大し、景気がよくなります。うまくいかなくとも、住宅の質は向上します。