言語空間+備忘録

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じつは、アメリカ人も堅実だった

2009-11-10 | 日記
リチャード・クー&村山昇作 『世界同時バランスシート不況』 ( p.30 )

 アメリカ人はこれまで、住宅を「貯蓄」と考えてきた。アメリカでは、住宅はメンテナンスさえしっかりやっておけば半永久的な資本財であり、土地だけでなく建物も価格が上昇するものであると考えてきた。実際に同国の住宅価格は、土地だけでなく上物を含めて二〇〇六年まで七〇年間一回も下がらず、上昇を続けてきたのである。それだけに彼らは住宅の資産価値を高めるために数年ごとにペンキの塗り直しや屋根のふき替えなどに莫大なお金を使ってきた。アメリカの統計で消費と計上される多くの支出は実は住宅のメンテナンスに使われる「投資」であり、実際に人々もその種の支出を消費だとは思っていない。米国の住宅の価値が半永久的なものであることは、同国の中古住宅市場が新築の三・五倍もあることに端的に表れている。同じく住宅を資本財あつかいしてきたイギリスは中古住宅市場が新築の七・八倍になっている。その一方で日本は住宅を耐久消費財あつかいし、築一五年で上物はタダ同然としてしまう。その結果、日本では中古住宅市場は新築の六分の一の規模でしかない。
 つまりアメリカ人にとって住宅そのものが貯蓄の代替物であり、住宅価格が自分たちの当初想定したものより上がれば、その分彼らは貯蓄しなくて済むということになる。そしてこのことが二〇〇六年までアメリカが好況にあった最大の理由であった。
 ところがここにきて、彼らが前提としてきた住宅価格の上昇がおかしくなってきた。上昇どころか、どんどん価格が下がってきて、全国平均で既に三割以上下がってしまったのである。これは単に個人の資産が目減りしたというだけのことではなく、アメリカ全体の実体経済に計り知れない影響を与えることになる。


 アメリカでは ( イギリスも ) 、住宅を資本財として扱っており、中古住宅市場が大きな規模になっている。したがって、アメリカ人にとって住宅は貯蓄の代替物であり、彼らは、投資として、住宅のメンテナンスにお金を使っていたが、統計上、これは消費として計上されていた、と書かれています。



 これを読むと、「アメリカ人は、後先考えずに消費しまくっていた、しかも借金で」 という見解が、的外れであることがわかります。



 統計上、アメリカ人の行っていた

   「消費」 は、じつは 「投資」 だった

のであり、彼らは彼らなりに、計画的に 「消費」 を行っていたのであり、彼らは、堅実だったことがわかります。



 また、じつは投資だった、とはいえない、本物の消費についても、彼らが堅実だったことがわかります。アメリカ人にしてみれば、
  • 70 年間、住宅価格が 1 度も下がらず、上昇を続けてきていたこと、
  • 中古住宅といえども、きちんとメンテナンスをしていれば、高く売れること

から、住宅価格の上昇は、預金通帳の残高が増えているのと、実質的には同じだった ( すくなくとも同じ感覚だった ) と考えられます。したがって、

   どうせいつか売るのだから、価格上昇分は、借り入れて ( ただちに現金化して ) 消費してもよい

と考えるのも、自然なことだったと思われます。これを、堅実ではない、とまでは言えないと思います。



 したがって ( アメリカ人は堅実なので ) 、現在、アメリカの貯蓄率が上昇しているのも当然だと考えられますし、その結果、消費が減っているのも、当然だと考えられます。

 アメリカ人は、借金による消費を好む。いまは貯蓄率が上昇し、消費が減退しているが、人間の性質は簡単には変わらないので、そのうち状況は元に戻る ( 借金による消費が再開される ) 、という予測もありますが、

 アメリカ人も馬鹿ではなく、堅実である以上、この予測は外れると思われます。すなわち、すくなくとも住宅価格が再び、継続的な上昇を始めないかぎり、消費は元には戻らないと考えるのが、自然ではないかと思います。
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