言語空間+備忘録

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ワークシェアリング

2009-07-06 | 日記
加藤紘一 『劇場政治の誤算』 ( p.115 )

 日本の非正規労働者は今一七〇〇万人を超え、働く人の三人に一人というところまできています。二〇〇四年に行われた派遣労働者法の改正は、小淵内閣のときから進み始め、今度のアメリカ発の金融危機が起こる前から「この改正は、いざとなったら解雇自由、労働者を部品として弾力的に切り離せる仕組みだ」と用心されていたのですが、まさにそれが今、現実に起こっています。
 この現状こそ、新自由主義に基づく規制緩和、竹中平蔵氏や、経済財政諮問会議の元メンバーである八代尚宏(やしろなおひろ)氏らの、非人道的な許しがたい失政によるものです。
 もしいま、一七〇〇万人の非正規雇用者も解雇が簡単でない状況にあったら、どうなっていたでしょう? 企業はおそらく、全労働者を同列に扱いながらレイオフをしたり、一時的に家庭待機にしたり、当然のことながら少し賃金を下げたでしょう。そうしないと会社が成り立っていかないからです。結果として、ワークシェアリングが広がっていたのではないかと思います。

(中略)

 しかし現実には今、一部の正規の人たちが守られ、非正規が首を切られ、工場宿舎から退去を命ぜられています。政府・地方自治体の緊急雇用対策があるので、その宿舎には解雇後一、二ヵ月は居残れるかもしれません。しかしそれも、永遠ではない。
 本来なら連合は、一〇年前にワークシェアリングの議論をもっと推し進めるべきだと私は思っていましたが、それができませんでした。労働者派遣法の範囲が工場労働にまで拡大されたときにも、連合は反対しませんでした。要するに連合は正社員の、それも労組を作れるだけの規模のある企業の正社員の利益しか代弁していません。連合自身が、正規労働者の利益擁護団体になっていたという、本源的な反省が今渦巻いています。
 これからしばらくは、残念ですが失業者は増大していくでしょう。

(中略)

 〇九年三月一九日の日本経済新聞の一面に、『緊急雇用対策 日本型ワークシェア促進』という記事が掲載されました。政府と日本経団連、連合の三者が、労使による日本型ワークシェアリングの導入を支援するために協力しあうことで合意したのです。
 その骨子としては、政府が雇用調整助成金を拡充することや、就職できない長期失業者に生活支援をする。正規・非正規労働者を問わず雇用維持を支援する。職業訓練、紹介を強化するためハローワークの組織・体制を充実させる。失業手当を受け取れない労働者の職業訓練期間中の生活費を支給する。「ふるさと雇用再生特別交付金」に労使も拠出し、失業者を吸収する雇用を創出する、という対策が盛り込まれていました。
 これらを本当に実効性のある対策にするためには、大企業における経営陣と、企業内部の労働組合が、自分の利益だけを守ろうとする発想を、本気で変えなければなりません。


 雇用対策として、ワークシェアリングを推進すべきである。政府・企業・労働組合は今、ワークシェアリングの実現に向けて動きだしている、と書かれています。



 しかし、現実問題として、ワークシェアリングが普及するでしょうか? 人間は自発的に、「自分の利益だけを守ろうとする発想」 を変えるでしょうか? 「不正の傍観者」 が存在するくらいですから、( 不正に比べ、より倫理的抵抗の小さい ) ワークシェアリングの普及は、遅々として進まないのではないかと思われます。


 ワークシェアリングとは、「全労働者を同列に扱いながらレイオフをしたり、一時的に家庭待機にしたり、当然のことながら少し賃金を下げた」 りすることですから、上記施策、

  1. 政府が雇用調整助成金を拡充することや、
  2. 就職できない長期失業者に生活支援をする。
  3. 正規・非正規労働者を問わず雇用維持を支援する。
  4. 職業訓練、紹介を強化するためハローワークの組織・体制を充実させる。
  5. 失業手当を受け取れない労働者の職業訓練期間中の生活費を支給する。
  6. 「ふるさと雇用再生特別交付金」に労使も拠出し、失業者を吸収する雇用を創出する、

には、ワークシェアリングの推進とは、かなり趣の異なったものが含まれています。趣が異なるどころか、( 正反対の方向性をもつ ) 雇用流動化を促進するものまで含まれています。

 つまり、上記の報道は 「雇用対策を行う、また、( 雇用対策の一環として ) ワークシェアリングも促進する」 と伝えるものであり、「雇用確保のために、考えつくすべての政策を行う」 、を意味しています。あくまでも、ワークシェアリングは 「方法の一つ」 にすぎません。


 しかし、雇用問題の 「抜本的な」 解決には、雇用の創出か、ワークシェアリングしかないと思います。雇用の創出が難しいから、ワークシェアリングが考えられているはずですが、

 既存の正社員どうしでシェアするワークシェアリングであればともかく、( 著者の説く ) 非正規雇用の人々の待遇を改善する代わりに、既存の正社員の利益を減殺する形でのワークシェアリングは、実現が難しいのではないかと思います ( だからといって、推進しなくともよい、というわけではありません ) 。
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