言語空間+備忘録

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農業への参入促進策

2009-09-12 | 日記
森谷正規 『戦略の失敗学』 ( p.277 )

 農業への参入を大幅に増やさないといけないのだが、しばしば要望される製造業など既存の企業の参入は、ビジネスがまったく異なるのでなかなか難しく、たいてい失敗している。だが、真に農業をやりたいと志望する人々が集まって新しく企業体を作って成功させている例は、少しずつ増えている。
 ところが、耕作者が土地を所有するのを基本とする農地法が大きな障害になっていて、現状ではこの動きが拡大していく状況にはない。農地法は改正される方向であるが、いまのものはきわめて複雑な仕組みになっていて、その部分的な改正では、農業企業体に対する障害を取り除くことはできない。したがって、誰でも農業ができるまったく新しい農地法を作る必要がある。
 さらに、先に示したように、貸すのを渋る農家に耕作放棄地を提供させる制度が不可欠である。長年にわたって農家の保護をしてきて、その習性が身についている農林水産省に、このような抜本的な法律が作れるだろうか。
 また、農業企業体が参入すればそれで良いのかというとそうではなく、流通機構を大改革して、企業体の取り分を増やさねばならない。それでこそ、企業体の参入が増えてくる。そこで、農協に代わる新たな組織を農業企業体を中心に作らねばならない。農協は、農家のほうばかりを向いていて、消費者を考えないので、農業も喜び消費者も喜ぶ流通ができないのであり、それを可能にするには、消費者と一緒になって良い流通を考える新たな組織が必要だ。
 農協とともに農家の保護政策を実施してきた農林水産省に、流通機構を大改革する新たな組織づくりを助けるような政策を進めることができるだろうか。農協をつぶす覚悟があるだろうか。


 農業への参入を増やさなければならない。それには、農地法などの抜本的改正と、( 農家の取り分を増やすために ) 農協をつぶす流通の大改革が必要である、と書かれています。



 「耕作者が土地を所有するのを基本とする農地法」 が大きな障害になっているのであれば、農地法の大改正が必要だと思います。

 「先に示したように、貸すのを渋る農家に耕作放棄地を提供させる制度が不可欠である」 とあります。これは、「飼料用穀物の自給について」 で引用した、「いまは、耕作を放棄しながら土地が高く買われるのを待って貸しもしない農家が多いのだが、税を高くするなど何らかの罰則を設けて、耕作放棄農家が土地を提供せざるをえない制度」 を指しています。

 これには、耕作放棄農家が農地を売りたくなる制度に変える方向と、農地を貸したくなる制度に変える方向とがあります。どちらがよいのか、あるいは、両方の制度を導入すべきか、も、大きな争点になりうると思いますが、ここでは、とりあえず、より穏健な 「貸したくなる制度」 について、すこし、( 私の ) 意見を述べます。



 民法には、その第二編第五章に、「永小作権」 についての規定が残されています。そこには、永小作権の存続期間についての定めがあります。引用します。

法令データ提供システム」 の 「民法(明治二十九年四月二十七日法律第八十九号)

(永小作権の存続期間)
第二百七十八条  永小作権の存続期間は、二十年以上五十年以下とする。設定行為で五十年より長い期間を定めたときであっても、その期間は、五十年とする。
2  永小作権の設定は、更新することができる。ただし、その存続期間は、更新の時から五十年を超えることができない。
3  設定行為で永小作権の存続期間を定めなかったときは、その期間は、別段の慣習がある場合を除き、三十年とする。


 ここでは、永小作権の存続期間は、最低でも 20 年とされています。この規定を変更して、もっと短くすることも、検討されてよいものと思います。新たに、小作農を増やそうとする以上、「いつでも返してもらえる」 制度にしたほうがよいと思います。



 次に、農協をつぶす、という点についてですが、なにもつぶす必要はないと思います。しかし、流通の改革を行おうとすれば、農協をつぶすぐらいの覚悟は必要になってくるのかもしれません。

 これは農林水産省の問題ではなく、政治の問題ではないかと思います。農協には集票能力があります。その農協を敵にまわす政策は、( 政治的に ) 取りづらかったのではないかと思います。しかし、現在、すこしずつ政治も変わりつつあり、農産物の流通も、徐々に改革に向けて動きだすかもしれません。



 なお、私個人としては、( 農協の改革は必要かもしれないとは思いますが ) つぶさないほうがよい、と思っています。改革に次ぐ改革で、地方には、電電公社も、専売公社も、国鉄も、なくなりました。いま、郵便局もなくなりつつある、といいます。このうえ、農協 ( JA ) までなくなれば、地方はどうなるのでしょうか。

 私は、日本の構造改革を推進すべきである、と思ってはいます。しかし、改革とは、組織を潰すこととは異なるはずです。農協には、地方の 「勤め先」 としての側面もあります。したがって、農協は、つぶすのではなく、改革にとどめるべきだと思います。
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