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イスタンブール ネコたちを救え!

2020-11-30 07:00:00 | 報道/ニュース

11月2日 NHKBS1「キャッチ!世界のトップニュース」


トルコでは古くから猫を大切にしていて
最大都市のイスタンブールでは
市民がノラ猫にエサを与える様子がよく見られる。

街角でくつろぐ猫たち。
その数は市全域で約12万5,000匹と推計されている。
イスタンブールでは人々がノラ猫の世話をする光景が日常的である。
市民の多くが信じるイスラム教の預言者ムハンマドは猫を大切にしていたと言い伝えられている。
そのせいもあり
猫たちは人々に可愛がられ
飢えることもなく暮らしてきた。
しかし3月
トルコで初めて新型コロナウィルスの感染者が確認されると状況は一変。
外出や商業活動は制限され
市民は外出を控えるようになった。
その影響を受けたのはノラ猫たち。
人々は猫たちを気にかける余裕もなくなり
路上ではやせ細った猫が見られるようになった。
こうした状況を受けて行政が動いた。
イスタンブール県知事は
“われわれの友人を支えよう”と題したメッセージを発表。
“イスタンブールではすべての命が尊い”
“この困難なとき
 どうか路上の動物たちに1杯の水と食べ物を置いてほしい”
このメッセージは瞬く間にトルコ各地に広がった。
これに呼応して地域住民も動き出す。
トゥトゥクスさん。
以前は自宅近くの猫を世話するだけだったが
いまは朝と夕方の2回
7か所を回ってエサや水を補充している。
(トゥトゥクスさん)
「猫のエサの世話をしないと
 私の心は安らげません。」
しかしノラ猫の世話には毎回1時間半ほどかかってしまう。
このためトゥトゥクスさんは有志20人を集めてグループを結成。
交代で世話することにしたのである。
グループに参加したススレルさん。
この日は夕方の登板を引き受け
約20匹分のエサを購入した。
ススレルさんの勤めている会社は感染拡大で開店休業状態となり給料は支払われていない。
そうしたなか貯金を切り崩してでも猫の世話をしたいという。
(ススレルさん)
「私たちも動物もコロナで苦しんでいます。
 出来るだけのことをしてあげたいです。」
活動を続けるなかトゥトゥクスさんたちを悩ませているのが
ペットとして飼われていた猫が捨てられるケースが増えたことである。
7歳のときに母親を亡くしたトゥトゥクスさんは
そんな猫を目にすると平静ではいられない。
(トゥトゥクスさん)
「こどものころ“ママは戻って来ないの?“とつぶやいていました。
 捨て猫と私が重なるんです。」
グループでは路上での生活に適応できず弱った猫をたびたび保護している。
この日衰弱した子猫を見つけたトゥトゥクスさんは
行政に助けを求めることにした。
駆けつけたのは動物衛生センターのスタッフ。
子猫の命に別状はないものの
健康状態を観察するためしばらくセンターで預かることになった。
センターでは通報を受けるたびに動物専用の救急車で直ちに駆けつける。
住民からの相談は多い日で1日80件にのぼり
約200匹の猫や犬を預かっているという。
センターでは必要に応じてX線検査や手術などの治療も行われる。
緊急の場合は救急車の中で応急処置もできるようになっている。
(動物衛生課長)
「午前9時から午後9時まで休みなく働いてます。
 予算も限界に達していますが
 何とか継続していきたいです。」
終息が見えない新型コロナウィルス。
トゥトゥクスさんは
人も動物たちも置き去りにされることなく
この危機を乗り切れるよう祈っている。
(トゥトゥクスさん)
「私は人や動物が食べ物で困っているのを見たくありません。
 悲しくなりますから。
 分け与える気持ちは大切だと思います。」




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オーストリア 開発と保全で揺れる世界遺産

2020-11-29 07:01:43 | 報道/ニュース

11月2日 NHK「おはよう日本」


人類共通の財産である世界遺産が開発と保全の間で揺れている。
多くの世界遺産があるオーストリアでは
豊かな自然や歴史的地区で開発の計画が進められ
その保全が課題になっている。

オーストリアとハンガリーの国境にまたがるノイジードラ―湖。
自然豊かな湖には300種類以上の野鳥が生息。
アシが茂る景観も高く評価され
2001年ユネスコの世界遺産に登録された。
湖の近くにある街では屋根の上にコウノトリも住み着いている。
しかし湖のハンガリー側で
リゾートホテルや港 公園などをつくる大規模な建設計画が浮上。
地元政府は
“環境には問題なく
 工事を始める予定”と説明している。
オーストリアの大学生 ゴルビッヒさん。
(大学生 ゴルビッヒさん)
「もし開発計画が進めば自然は大きく破壊されます。」
ゴルビッヒさんが中心となり地元の約40人が反対活動を行なっている。
そこで8月
国際的な30の環境団体と連携して
世界遺産を登録するユネスコに働きかけた。
世界遺産の登録が抹消される可能性がある「危機遺産」に載せることを促し
ユネスコから警告してもらうことで歯止めをかけたいと考えた。
(大学生 ゴルビッヒさん)
「世界遺産の登録抹消を望んでいるのではありません。
 開発がその地位を脅かすと
 政治家に知ってほしいのです。」
一方 危機遺産に登録されても開発計画が進んでいる地域がある。
ウィーンには
ヨーロッパの歴史を今に伝えるゴシック建築のシュテファン大聖堂や
ハプスブルグ家の栄華を伝える王宮などがあり
町の歴史的地区は世界遺産に指定されている。
この地区に6年前
高さ73メートルの高層ビルを建設する計画が示されたのである。
(2017年7月 世界遺産委員会)
「ウィーンの歴史的地区を危機遺産に登録します。」
ユネスコの世界遺産委員会は2017年
ビルの建設によって歴史的地区の景観が大きく変わるおそれがあるとして
危機遺産に指定。
ウィーン市に見直しを求めている。
しかし危機遺産となってからも
市民の間では反対への機運は盛り上がりを見せていない。
(市民)
「市民の多くはビルの高さに興味はありません。」
ユネスコの警告を受けて
ビルの高さを低くするなど対応を検討しているウィーン市。
しかし
(ウィーン市 都市開発担当者)
「ここは人々が生活し働く場所でもあります。
 ウィーン市は美術館ではありません。」
市の担当者は“計画の撤回はない”と強調。
新型コロナウィルスの影響で経済が大きな打撃を受けたこともあり
国際的な会議が開けるホールなどを整備し
“新しいウィーン”の姿を示していく必要があるとしている。
(ウィーン市 都市開発担当者)
「コロナ後のウィーンを
 観光客にとってより魅力的な町にする必要があります。」

ユネスコの担当者によると
歴史的建造物を保全するための資金の多くは観光業に頼っているため
新型コロナウィルスの感染拡大で観光業が大きく落ち込んだ影響が出るのではと
懸念されている。

 

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“コロナを乗り越えろ” 高知のジビエ

2020-11-28 07:00:00 | 報道/ニュース

10月30日 NHK「おはよう日本」


鹿や猪などによる農作物の被害が深刻な高知県では
駆除された害獣をジビエとして活用してきたが
新型コロナの影響でジビエの消費が大きく落ち込んだ。
そうしたなか新たな試みでコロナ禍を乗り越えようと動き始めている。

猪のハンバーグに鹿モモ肉のロースト・・・
食欲そそるジビエ料理。
高知県は豊かな資源を生かしてジビエ県を目指している。
森林率日本一の高知県。
鹿や猪による農作物への被害が深刻な問題となっている。
鹿が角をこすりつけたゆずの木。
樹皮が剥がれ
収穫時期を前に実の成長が悪くなってしまう。
(ゆず農家)
「こんなに破られたらたいそい(大変)わね。
 対策を丼にしてもいかなぁよ(どれだけしてもだめだ)。」
県全体での農業被害額は年間1億円以上。
1年間で約7万頭の野生鳥獣が駆除されている。
3年前に設立されたジビエの処理施設。
地元で駆除される鹿や猪の肉を日本全国に卸し
地域活性化につなげようとしている。
事業が軌道に乗り始めていた矢先 
新型コロナウィルスが発生。
(ゆずはらジビエの里 施設長)
「飲食店が営業できなくなったときはほぼ売り上げゼロに近い。」
農作物を守るため駆除される頭数は変わらず
在庫だけが増えていく一方だった。
(ゆずはらジビエの里 施設長)
「どうしよう どうしようという気持ちにはなってました。」
ジビエの消費が回復しないなか
売り上げを伸ばしている商品がある。
「こちらが高知県のシカ。
 一部はイノシシを使ったペットフードになります。」
近年高まるペットの健康志向にコロナ禍で訪れたペットブームも追い風となり
ジビエのペットフードにも注目が集まっている。
あばら骨や内臓など
人が食べずに廃棄していた部位も有効活用することができる。
天然のエサだけを食べて育ったシカやイノシシの肉はまさにオーガニックフードである。
(ドッグスライフ)
「高知県のシカやイノシシを良い商品にして
 期待を背負って
 頑張って商品を増やして
 販売量も増やしていきたいなと思っています。」
高知商業高校「ジビエ部」。
消費拡大を目指してPR活動や商品開発を行なっている。
「私たちと同じ年代の人たちにも知ってもらえるようにSNSを始めました。」
彼女たちが新たに開発したのが
「酢豚ならぬ酢鹿です!」
高たんぱくでビタミンや鉄分が豊富なシカ肉を食べやすいよう中華風に味付け。
消費を増やすため
備蓄できる非常食への活用を目指している。
(ジビエ部員)
「小さい子が食べるとなると大きいかな。」
「老人ホームとかでも食べられる。」
(ジビエ部員)
「活用できてないシカを在庫を使って活動を継続していくことで
 消費には貢献していると思う。」
自粛期間を経て約7か月ぶりの大きなイベント。
酢鹿を初めてお客さんに味わってもらった。
(客)
「獣くさいイメージがあったけど
 きょう食べて
 くせもなくておいしい。」
「スーパーとかにあったら買ってもいい。
 おいしい。」
(ジビエ部員)
「コロナでけっこういろいろと落ち込んでいるので
 私たちの元気も一緒に届けられたら。」
「高知だけじゃなくて全国にも広げていけたらなって思ってます。」
さまざまな可能性を秘めたジビエ。
コロナ禍を乗り越え
より身近な食材となるか
期待が高まる。


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時間が描く

2020-11-27 07:04:39 | 編集手帳

10月30日 読売新聞「編集手帳」


誰でもさぼりたくなるときはある。
時は金なり…
そんなお説教はもう耳にタコだという方にはホンダの創業者、
本田宗一郎の言葉が励ましになるかもしれない。

「世界中、
 どこのどんな人間にも平等に与えられているものは時間しかない」。
平等に与えられたものなどそうはないのに、
すぐそこにあることを気づかせてくれる。
小欄は名言集で出会って、
本田さんに時間というものを前より好きにさせてもらった。

一方で新聞記者をしながら、
時間は怖いものだと思ったこともある。
ひき逃げ事件では、
逃げた時間が長くなるほど重い罰が科されるという。

人気若手俳優の逮捕の報に驚きつつ、
残念に思いつつ、
かつて検察官から聞いた話を浮かべた。
逃亡時間を罪の軽重の判断に用いるのは、
被害者の救護義務をどれほどおろそかにしたかをはかるためである。
今回の場合、
事故を目撃した別の車の運転手が容疑者を追跡し、
戻るよう説得したという。
通りがかりの人が罪を重くしない方向に導いてくれるなど、
そうあることではない。

人生にふいに訪れる流転を描くとすれば、
何分くらいのドラマになるだろうか。

 

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音楽で元気を “歌う警察官”

2020-11-25 07:02:45 | 報道/ニュース

10月30日 NHK「おはよう日本」


音楽を通じて警察に親しみを持ってもらい
警察活動への理解を深めてもらおうと活動する警察の音楽隊。
鳥取県警の音楽隊では新型コロナウィルスの影響で活動の縮小を余儀なくされるなど厳しい状況は続いているが
歌声を通して県民に元気を届けようと活動を続ける隊員がいる。

鳥取市の商店街で開かれた鳥取県警察音楽隊のコンサート。
約20人の警察官が奏でる音色が野外に響きわたる。
副隊長を務める室永警部。
音楽隊の活動を20年以上続けていて指揮や歌を担当している。
ふだんは警察の広報業務を行なう室永警部。
交番勤務などの警察業務にあたりながら音楽隊の活動を続けてきた。
県民から届いた音楽隊の活動を応援する手紙。
“いつも楽しみに拝聴させていただいています”
“最高に素晴らしいの一言“
音楽隊への熱い思いがびっしりと書かれている。
(室永警部)
「一番住民との距離が近いというのが
 隊員にとっては直接反応が見られるというのが大きな活力につながるのではないか。」
新型コロナウィルスの感染拡大の影響でコンサートの中止が相次ぐなか
歌や演奏を通して県民に元気を与えようと音楽隊は練習を続けてきた。
(室永警部)
「県民と警察とを結ぶ音の懸け橋という言葉にたがわないような
 県民のための音楽隊でなければならないと思う。」
歌を担当する室永警部も練習に熱が入る。
感染対策を取って野外で行われた約2か月ぶりのコンサート。
商店街を通りかかった人たちや音楽隊の演奏を心待ちにしていた人たちが
開演前から続々と集まった。
集まった人たちは久しぶりの生演奏を心ゆくまで楽しんでいた。
そして最後に室永警部の独唱。
県民への感謝を込めてリクエストに応えた1曲を歌う。
♪ 誰にも見せない泪があった
     人知れず流した泪があった
     ・・・・
     だからもう迷わずに進めばいい栄光の架橋へと
     終わらないその旅へと
     君の心へ続く架け橋へと・・・
(観客)
「いつもいつも聴いているんですけど
 よかったです。」
「音が違いますね 音が。
 いいですね。」
「こういう演奏は音楽隊しか聴けないので
 私にとってはお宝です。」
(県警音楽隊 室永副隊長)
「コロナ禍で苦しむ中で皆さんに元気と勇気を与えたいという思いがあった。
 逆に来られている方々の顔を見て元気をもらったような気がして
 また頑張らないといけないという思いにさせてもらいました。」

 

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エチオピア 元マラソン選手 東京五輪にかける思い

2020-11-24 07:08:42 | 報道/ニュース

10月29日 NHKBS1「国際報道2020」


東京大会でエチオピアのホストタウンとなっている茨城県笠間市。
市内を走るのはアベベ・メコネン(56)さんである。
メコネンさんはオリンピック2大会に出場した経験を持つ
エチオピアを代表する元マラソン選手。
東京国際マラソンで3回('88 '91 '93)優勝するなど
80年代後半から90年代にかけて活躍した。
去年8月
笠間市のスポーツ国際交流員として来日。
市内の小中学生を対象にしたマラソン体験教室などを企画・指導している。
(笠間市職員)
「すごい人が来ると感じた。
 本当にあのアベベ・メコネンかと。」
(アベベ・メコネンさん)
「日本とエチオピアの良い関係を築くために来ました。
 ここ笠間市で東京オリンピックを見られるなんて
 私は大変な幸せ者です。」
メコネンさんは新型コロナウィルスの影響でオリンピックが延期になった後も
母国には帰らず日本に残ることを決めた。
東京大会の開催を待ち望むのは
自身もかつてオリンピックで悔しい経験をしたからである。
1988年
メコネンさんは23才でソウルオリンピック エチオピア代表に選出。
選手としては絶頂期にあり
金メダルの最有力候補とももくされていた。
しかし当時のエチオピアの社会主義政権が政治的な理由で大会をボイコット。
メコネンさんの出場はかなわなかった。
(メコネンさん)
「オリンピックで勝つための準備はできていた。
 どうすることもできなかった。
 私たちの力を超えていて・・・。」
オリンピックに出場できない悔しさを誰よりも知っているメコネンさん。
今回 東京オリンピックが延期となり影響を受けている母国の選手たちを
少しでも励ましたいと考えている。
この日電話したのはエチオピア代表のコーチ。
(メコネンさん)
「練習はどう?」
(コーチ)
「始めたよ。」
(メコネンさん)
「東京大会に備えてどう?」
(コーチ)
「いいよ。
 この前のロンドンマラソン見た?」
(コーチ)
「優勝したキタタ選手は良かったでしょ。」
(メコネンさん)
「よかったね。
 頑張って練習してください。
 選手たちを励まして。」
(アベベ・メコネンさん)
「延期になったが中止にはなっていない。
 だからやる気を出して準備してオリンピックに参加しなければいけない。
 陸上では強い心があれば成果も出ます。
 希望を失ってはいけない。」
希望を失ってはいけない。
メコネンさんもいま日本で新たな生きがいを見出している。
それが子どもたちへの指導である。
地元の中学校の陸上部の指導を任されている。
メコネンさんは実はエチオピアでナショナルチームのコーチを15年勤め
5人のオリンピック金メダリストを育てた超一流の指導者。
でも子どもたちを指導するのは初めての経験である。
(生徒)
「メコネンさんは優しい。」
「誰にでも話しかけたり明るい性格。
 英語がわからなかったりするが
 話していて楽しく
 やる気が出る。」
メコネンさんが新しく取り入れた練習がリズム体操である。
この体操はエチオピアの代表選手がトレーニング前に行なっているのと同じもの。
楽しく体を動かすことで筋肉をほぐしケガをしにくい体をつくる。
また練習メニューも日替わりで考案。
この日は短距離を走り込みを行なった。
(メコネンさん)
「きついよね。
 スピードをつけるためだからとても重要な練習です。
 昨日はタイムを設定して練習したから
 きょうは速いタイムで。
 上げて 落として。」
「彼らと一緒に練習するのはうれしいです。
 自分自身も生まれ変わるようです。」
日本で子どもたちを指導する楽しさを知ったメコネンさん。
いま新たな目標も見つけている。
(メコネンさん)
「エチオピアで未来ある子どもたちを育てていきたいです。
 オリンピックなどの代表選手に成長させられたらいいですね。」



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コロナ禍で苦境 イギリス演劇界

2020-11-23 07:01:16 | 報道/ニュース

10月29日 NHKBS1[キャッチ!世界のトップニュース」


シェークスピア以来
演劇が盛んなイギリス。
その中心地がロンドンの劇場街ウエストエンドである。
「キャッツ」「オペラ座の怪人」「レ・ミゼラブル」など
世界各地で公演され人気を集めている名作ミュージカルはこのウエストエンドで生まれた。
ミュージカルの本場として多くの観光客を魅了してきただけでなく
最高の舞台を目指して世界中から俳優やダンサー 脚本家などが集まっていた。
しかし今年3月以降
イギリス全土で新型コロナウィルスが猛威を振るい
劇場は一斉に休演が余儀なくされている。
影響は長引いていて
舞台に関わってきた人たちはかつてない苦境に立たされている。

9月 ロンドン中心部で行われたデモ。
舞台などで働く人たち100人ほどが参加した。
感染拡大によってミュージカルなど舞台の休演が続くなか
政府に対し
さらなる休業補償や劇場再開に向けた支援を求めた。
(デモ参加者)
「舞台のパフォーマンスは人を集めて成り立つので
 今は苦しいです。」
「22年間舞台で生きてきました。
 私には単なる仕事でなく
 血と汗と涙です。
 この業界はイギリス経済に大きく貢献してきました。」
ニューヨークのブロードウェイと並ぶミュージカルの本場ロンドンのウエストエンド。
年間1,500万人超の観客が訪れていた。
約2年の制作期間を費やした大作ミュージカル「プリンス・オブ・エジプト」。
今年2月 華々しくオープニングを迎えた。
(プロデューサー レイドローさん)
「オープニングの夜はすばらしかったです。
 レッドカーペットが敷かれ
 セレブが次々やってきました。」
しかしわずか3週間後
イギリス全土で厳しい外出制限の措置が取られ
休演に追い込まれた。
半年以上が経つが再開のめどはたっていまい。
(プロデューサー レイドローさん)
「ソーシャルディスタンスは舞台にとって現実的ではありません。
 距離を取る必要がなくなるまで待たなくてはいけません。
 業界全体に影響が広がっています。」
このミュージカルの出演者の1人
ドイツ出身のビラクマンさん。
ドイツではネットで動画を見るなどして自己流で踊っていた。
奨学金を得てロンドンの専門学校へ留学してからダンスを本格的に学んだ。
(ダンサー ビラクマンさん)
「昔はつま先も伸びてないし
 見ていて恥ずかしいです。」
あこがれだったウエストエンドの舞台に立ったビラクマンさん。
今回の作品のオーディションでもダンサーとしての卓越した技量が評価された。
(ダンサー ビラクマンさん)
「オーディションでは才能がある人が多く神経質になっていました。
 電話で結果を聞いたときは本当にうれしかったです。」
出演が決まってからは公演に向けて練習を重ねてきた。
しかし3月に休演してからは出演者同士で集まることも難しくなった。
オンラインで近況を話し合い励まし合っているという。
ビラクマンさんは毎日体を動かして
公演の再開に備えている。
政府からの支援に加え
ドイツでテレビの仕事をこなすなど
何とかやりくりだきているが見通しは立っていない。
30才という年齢もあって
ダンサーとして舞台に立てる大切な時間を失うのではと焦りも感じている。
(ダンサー ビラクマンさん)
「年齢を考えると長くはできないと思います。
 でもウエストエンドでやっていきたい。
 ウエストエンドがなくなるなんて考えたくもないです。
 ウエストエンドは芸術の場で
 みんなの夢なんです。」

イギリスは舞台産業が盛んで
ウエストエンドを含む国内の劇場を訪れた観客は
一昨年は3,400万人にのぼっている。
これはイギリスの国民的なスポーツであるサッカーの観客数を上回る人数である。
また舞台関係で働く人は29万人にのぼるとみられている。
イギリス議会の委員会が夏には発表した報告書によると
国内の約1,100の劇場では少なくとも1万5,000以上の公演がキャンセルになり
損失は約6億3,000万ポンド(約860億円)にのぼる見通しだとしている。
政府は一部規制を緩和していて
出演者や観客同士が距離をあけるなどの対策をきちんととれば公演の再開は可能ではある。
ただ日本でも人気の「レ・ミゼラブル」や「オペラ座の怪人」など有名なミュージカルは
莫大な制作費がかかっていて
距離を空けるために観客の数を制限すれば採算をとるのは難しくなる。
このままではイギリスの舞台産業そのものが壊滅的な打撃を受け
存続できなくなるのではないかと危ぶむ声さえ上がっている。
イギリス全土で感染が急速に広がっていて
ロンドンは3段階のうち2番目の感染レベルとなっている。
ウエストエンドには海外からの旅行客も数多く訪れていたが
渡航そのものが制限されている今
厳しい状況に変わりはない。
劇場周辺のパブやレストランなども大きな打撃を受けている。
多くのミュージカルは年内の公演再開は基本的に断念し
来年以降の再開を目指すとしている。
そんな中で少しずつ新たな動きも出てきている。
たとえば1人
あるいはごく少人数の出演者による小規模な舞台は一部で公演を始めているし
ウエストエンドで上演されてきた「SIX」というミュージカルは11月から公演を再開する。
舞台に登場するのは6人の役者だけなので距離を取りやすいということもある。
ミュージカルのプロデューサー レイドローさんもダンサーのビラクマンさんも
厳しい状況にあることは認めながらも
イギリスの舞台芸術の文化をなくしてはいけない
絶対にあきらめない
という強い思いを持っていた。
安心して舞台を再開できる日が1日でも早く来ることを誰もが願っている。



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寒い季節も“上を向いて歩こう”

2020-11-22 07:03:08 | 編集手帳

10月29日 読売新聞「編集手帳」


永六輔さんが作詞をした『上を向いて歩こう』には、
「一人ぼっち」の夜か、
「一人ぽっち」かで長い議論があるという。
ネットの歌詞検索サービスでは「ぽっち」と出てくる。
恐らくこれが原詞だろう。

ならばなぜ議論になるのか。
ふしぎに思っていたところ、
永さんの著書にこんな記述を見かけた。
坂本九さんの歌声がこう聞こえたという。
<ヒトホリ ボホッチヒノォ ヨホルフ(一人ぼっちの夜)>
(『坂本九ものがたり』)◆永さんは広い心で歌声を縛る気がなかったのかもしれない。『上を向いて歩こう』は来年7月21日、
発表の日から数えて還暦を迎える。

延期された東京五輪の日程を眺めていたとき、
初日がその日にあたることに気づいた。
開会式(23日)を前にソフトボールとサッカーで幕が開く。
コロナ禍で輝きがかすんでいるが、
無理なく開催できれば、
それはそれで多くの人が踏ん張って歩いた証しにはなろう。
♪思い出す 春の日 夏の日 秋の日と。
立冬(11月7日)が近づく。
ふしぎなことにこの歌の詞には冬がない。
寒い季節も何とか上を向いて歩き、
新たな一編を加えられたなら。

 

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香港 国安法に揺れる2つの“民主派”

2020-11-21 07:18:54 | 報道/ニュース

10月28日 NHKBS1「国際報道2020」


国家安全維持法が施行されて以来
香港では
民主化を求めて反政府的な立場をとる民主派の人たちに対する取り締まりが厳しさを増している。
実は民主派は一枚岩ではない。
2つのグループに分かれていて
民主化への考えの違いが際立ちつつある。
1つは31年前の天安門事件をきっかけに運動を続けてきた
母国である中国を民主化することが香港の民主化につながるという従来の民主派
もう1つは若者たちを中心に存在感を高める
香港と中国は別であり“香港人としての民主化”を求める人たち。
中国を切り離し自分たちの本土は香港だとして
自らを“本土派”や“抗争派”などと呼んでいる。
2つのグループはこれまで考え方に多少の違いはあっても
同じ民主化という目的に向かい協調して大規模なデモなどを行なってきた。
しかし国安法によってそれも難しくなった今
双方の隔たりが露呈する場面が増えている。

10月1日
中国の建国記念日にあたる国慶節を迎えた香港。
街なかではそれぞれ違う場所で2つの抗議活動が行われていた。
時に強硬な姿勢も辞さない立場で警察と対峙してきた本土派。
多くの若者たちが民主化を訴えてきたが
“違法な集会に参加した”などとして90人ほどが逮捕された。
一方 平和的なデモなどを通じて訴えを続けてきた従来の民主派。
「1党独裁をやめろ!
 民主中国を建設しろ!
 人権を返せ!」
毎年恒例のデモを行なって
中国の民主活動家や人権派弁護士らへの弾圧をやめるようや中国政府に訴えた。
新型コロナウィルスの感染防止を理由とした“5人以上の集会禁止に違反”しているとされ
罰金の切符が切られた。
従来の民主派の中心メンバー 李さん(63)。
李さんが中国の民主化にこだわるようになったきっかけは31年前の天安門事件。
民主化を求めて立ち上がった学生たちに共鳴し北京に支援に駆け付けたものの
香港に戻ろうとしたところを逮捕された。
李さんは6年前
事件の風化を食い止めたいと香港で天安門事件の記念館を開設。
国安法の施行後は展示資料をデジタル化を進め
当局から閉館を命じられる事態に備えている。
館内には香港の若者たちが主導した去年のデモに関する展示も。
天安門広場の若者たちと香港の若者たちは
同じ目的を共有していることを伝えたかったからだという。
(従来の民主派 李さん)
「私たちは天安門事件をずっと伝えてきました。
 2つの運動は非常に似通っています。
 当時の中国の市民と現在の香港の市民は同じ目標を持っています。
 私たちは中国人ではないと思っても
 運命共同体から切り離すことはできません。」
しかしそんな李さんと異なる立場で民主化を主張するのが本土派の人たちである。
本土派として去年の区議会議員選挙で初当選を果たした 梁さん(23)。
従来の民主派とは運動の方針が根本的に異なると感じている。
(本土派 梁さん)
「多くの若者たちは過去1年の経験で
 一国二制度は終わったと考えています。
 従来の民主派がなぜ腐った制度を生き返らせようとするのか理解できません。」
梁さんが香港人としての民主化にこだわるようになったきっかけは2012年。
繁華街にあった高級ブランド店で
中国本土からの旅行者には許可された写真撮影を香港の市民が店員に制止されたのである。
店に抗議しようと市民が殺到した。
(本土派 梁さん)
「ふざけた話です。
 どうして香港人が劣った存在になってしまったのか。
 あのときから香港人と中国人の関係について考えるようになりました。」
中国の影響力を排除することが
香港の民主化を実現する最善策だと考える梁さん。
こうした本土派への支持は去年の抗議活動以降 急激に拡大。
10代20代の若者では
この1年で従来の民主派をしのぎ半数近くにのぼっている。
従来の民主派と本土派の意見の違いは
香港政府が立法会の議員選挙を1年延期すると決めた際にも鮮明になった。
親中派が多数を占める議会をボイコットすることで抗議の意思を示そうと
梁さんたち本土派は
“すべての民主派議員が辞職すべきだ“と主張。
これに対し従来の民主派からは
“議会に残って主張すべきだ”という声があがったのである。
(本土派)
「我々は議会の外で行動を起こせばいい。」
(従来の民主派)
「議会の中と外で行動すればいいじゃないか。」
結局多くの議員が留任の道を選び
李さんたちの訴えは届かなかった。
“香港の民主化”という同じ目標を掲げながらも
違いが際立つ2つの民主派。
国安法による締め付けが強まるなか
互いの違いを認め手を携えることができるのか。
課題が突き付けられている。



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ポーランド “中絶違憲”でデモ

2020-11-20 07:08:22 | 報道/ニュース

10月28日 NHKBS1「国際報道2020」


【ドイツZDF 10月27日放送
抗議する女性たち。
中絶法をさらに厳しくすることに反対しています。
ポーランドメディアによると
5日間連続で100以上の都市で抗議デモが行われています。
(デモ参加者)
「中世に逆戻りさせられるのです。
 ぞっとします。」
「小さな子どもがいるので毎日は来られません。
 自分が来られないときは夫に参加してもらいます。」
ポーランドの憲法裁判所は
先天的な異常を理由とした中絶手術を違憲としました。
もともとポーランドの中絶法はヨーロッパで最も厳しい法律です。
27日 議会でも野党の女性議員が反発してデモを行い治安部隊が出動しました。
政権与党の「法と正義」は
数年前から中絶をさらに厳しく制限したい動向で
方針は今も変わりません。
(ポーランド モラウィエツキ首相)
「我々は命を守る立場として申し上げます。
 法を破ろうとする皆さん
 違法行為はやめましょう。」
カトリック教徒が大半のポーランドでは
もともと人工妊娠中絶が厳しく制限されてきたが
2015年以降さらに厳しい法制化が進められていて
「女性には自分で決める権利がある」とする反発の声が上がっているのである。
背景には
伝統的な価値観を重視する保守系の与党「法と正義」が政権を担い
司法への介入が強まったことがある。
今回の判断を示した憲法裁判所の裁判官の多くが
与党から指名されていることを問題視する声が広がっている。


 

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同姓同名の記憶

2020-11-19 15:03:43 | 編集手帳

10月18日 読売新聞「編集手帳」


 野球の魅力を表すのに、
「記録のスポーツ」という言い方がある。
選手個人やチームの成績が膨大なデータとなって集積され、
新記録が生まれるごとに話題になる。

米大リーグでは1999年、
ロッキーズ対メッツの試合でこんな珍事が生まれた。
<勝ち投手も負け投手もボビー・ジョーンズ>。
同姓同名の投手が先発するのは100年ぶりだったそうで、
まさに“世紀の一戦”。
記録の世界の奥を伝えるものだろう。

プロ野球のドラフト会議のあと、
先々の愉快な記録を思い描いたファンは多かろう。
巨人が育成6位に佐賀・唐津商高の坂本勇人捕手を指名した。

先輩の坂本勇人選手とキャッチボールするだけでも話題になりそうだが、
公式記録のなかで絡みあってこそのプロだろう。
塁上はともに坂本勇人、
おっ、
スタートを切った。
史上初の…といった実況を聞ける日が来るかもしれない。

同姓同名といえば、
昨年2月の本紙宮崎県版にキャンプを見学に訪れた巨人ファン、
原辰徳さんのコメントが載っている。
鹿児島市ですし店を営むという。
コロナ禍をどう過ごされたろうか。
今年も原巨人が優勝しそうですよ。

 

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風刺画でトランプ氏を痛烈批判

2020-11-18 07:04:49 | 報道/ニュース

10月27日 NHKBS1「国際報道2020」


アメリカの大統領選挙を固唾をのんで見守っている国がある。
結果によっては国の行く末が左右される中東のイランである。
トランプ大統領は10月に入ってもイランに対してさらなる経済制裁を打ち出すなど
圧力を緩める気配はない。
そんなトランプ大統領を風刺画で痛烈に批判し
イラン市民の怒りをいわば代弁している画家がいる。

ヘイダリさん。
イランで著名な風刺画家の1人である。
改革派の新聞社に勤務し社会情勢や政治を鋭く風刺した作品を発表し当局に拘束されたこともあった。
そのヘイダリさんがいま描いているのが
(ヘイダリさん)
「この男の横暴ぶりや言動を描写しています。」
ヘイダリさんは反米一辺倒ではないものの
核合意から一方的に離脱したトランプ大統領を繰り返し非難してきた。
一昨年トランプ政権が核合意から離脱した直後に新聞に掲載した風刺画は
いくつものトマトがトランプ大統領の顔に投げつけられている。
(風刺画家 ヘイダリさん)
「これはイラン国民の怒りを表現したものです。
 アメリカによる制裁は社会的に弱い立場の人々を圧迫しています。」
トランプ政権によってふたたび経済制裁に見舞われたイラン。
マイナス成長が続くなか
暮らしやビジネスはかつてない厳しさに直面している。
イランの現地通貨リラの価値は暴落が続き
トランプ政権の発足時と比べじつに8分の1ほどになった。
10月も史上最安値を更新。
物価の高騰が止まらない。
(市民)
「商売にならず
 従業員を解雇せざるを得ない。
 制裁は私たちの人生を狂わせている。」
制裁が人々をいかに苦しめているか。
ヘイダリさんは価格高騰に悩む庶民の今を描いた。
レンガのすき間に小さくなって暮らす家族。
家も持てず貧しい暮らしを強いられている“イラン国民の姿”だという。
(ヘイダリさん)
「彼らは住まいを持てない人たちです。
 居られる場所は抜け落ちたレンガの穴だけ。
 その空間で必死に生き延びようとしています。
 この社会で広がる貧しさを描いたのです。」
ヘイダリさんは
トランプ大統領が国力にものを言わせ
イランをはじめとする“世界をもてあそんでいる”と非難する。
それを表現したのが
地球をほおばるトランプ大統領。
(ヘイダリんさん)
「これは世界の国々を制覇して縛り付ける政策をとっているトランプ大統領です。
 おいしすぎて
 よだれが口からこぼれているんです。」
イラン国民の9割以上がアメリカ大統領選挙の動向を気にしているという調査結果もあるなか
ヘイダリさんをはじめ多くの人は
どちらが勝ってもイランが苦境から脱するのは容易ではないと考えている。
(ヘイダリさん)
「アメリカはあらゆる面で我々をリングのコーナーに追い込もうとしています。
 まずは大統領選挙でどちらが勝つのかを見届けなければなりません。」


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ハワイ “観光の島”はいま

2020-11-17 07:03:03 | 報道/ニュース

10月25日 NHK「これでわかった!世界のいま」


10月15日のホノルルの空港は人が大勢だった。
アメリカ国内からの訪問の場合は
事前のウィルス検査で陰性なら自主隔離の必要がなくなった。
今ハワイでは外出するときにはマスクを着けることが義務付けられている。
違反すると日本円で50万円以下の罰金を課せられる。
感染に対する警戒は続いているが
午後11時半の大通りには人の姿も見られるし車の通行量もある。
ただホテルは営業を再開できていないところもある。
営業していても宿泊客がいて明かりがついている部屋はまばらである。
一時的に立ち入りが規制されたワイキキビーチは
日中は人手が少しずつ戻っている。
(アメリカ国内からの観光客)
「ハワイに来られて最高。」
「パンデミックで何度も延期した。
 ハワイはやっぱりきれい。
 おすすめだ。」
大通りにはまだ閉まったままの店も多くある。
今のハワイの様子は40年前
観光客が急激に増える前の昔のハワイのようだという声もある。
観光に頼ってきた地元の経済のダメージは深刻である。
ハワイでは多くの人が仕事を失った。
最近街なかでもホームレスの人たちの姿が目立つ。
ただ地元の人々は
観光客が来なくなったこの半年間
ハワイについて見つめなおすための貴重な時間にもなった。

去年1年間で1,000万人が訪れにぎわったハワイ。
しかし感染拡大後は1日当たりの訪問者が約2,000人と1割以下にまで落ち込んだ。
失業率は一時22%にまで悪化。
アメリカの他の州より深刻な状況が続いている。
(ハワイ州観光局)
「前代未聞の出来事。
 私たちはパンデミックをきっかけに
 ハワイが極端に観光に依存してることを学んだ。」
観光客のいない静かなハワイで
地元の人々はあらためて島の独自性に目を向け始めた。
今年ホノルルに開店した雑貨店。
地元アーティストの芸術作品や小規模の農家が手がけた品などを販売している。
オーガニックのハチミツやチョコレートはアメリカ国内でのオンライン販売が好調だという。
ハワイらしさをより打ち出す戦略に
店は手ごたえを感じているという。
(店のマネージャー)
「ハワイは太平洋の真ん中にある小さな島。
 だからといって語るべきことがないわけではない。
 私たちの文化 製品を通じて
 外の人に魅力を伝えることができる。」
ニコルスさん。
感染拡大の影響で職を失った。
地元の中小企業で再就職に向けた研修を受けている。
新しい仕事はハワイの文化を紹介する映像作品の制作。
旅行会社やホテルなどで働く人の研修教材として使われる。
この日はハワイで長い間継承されているタトゥーを撮影した。
伝統文化の発信に携わることにやりがいを感じている。
(ニコルスさん)
「仕事を通じてハワイの文化を調べたことで
 知らなかったたくさんのことを学んだ。
 この仕事に出会えて幸運だった。」



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ひと足、ひと足

2020-11-16 07:07:13 | 編集手帳

10月24日 読売新聞「編集手帳」


来年の干支丑(うし)」にちなんだダルマ作りが神奈川県平塚市の製作所でピークを迎えているという。
本紙オンラインが着色の済んだ縁起物の写真を掲載していた。

「牛の歩みのように、
 ゆっくりでも前に進める年に」と主人の荒井星冠さん。
まさにそうですねと相づちを打ちつつ、
高村光太郎の詩「牛」が頭に浮かんだ。
<牛はのろのろと歩く
 牛は野でも山でも道でも川でも
 自分の行きたいところへは
 まつすぐに行く>
と始まる。

のろのろとさえ行きたいところにまっすぐに進めなかったのが、
残り2か月余りとなった2020年だろう。

春先を振り返ると、
本当にあったことなのかと疑いたくなる。
学校が休みになり、
家から出るなと言われ、
患者数の増加や亡くなる方の悲報に触れて過ごす日々――
一時はみんなで迷子になったかのような不安が暮らしを取り巻いた。

コロナ禍はまだ去ってはいないものの、
何とかすべく足を踏み出していることは確かだろう。
光太郎の詩には次の一節がある。
<ひと足、
 ひと足、
 牛は自分の道を味はつて行く>。
のろのろであれ、
歩いてよかったと思える来年になるといい。


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アジア航空各社 生き残り策は

2020-11-15 07:00:00 | 報道/ニュース

10月22日 NHKBS1「国際報道2020」


世界の航空業界の最終損益は
今年約9兆円の赤字になる見通しである。
そうしたなかアジアの航空各社はあの手この手で生き残りを図っている。

2020年5月に経営破綻し再建中のタイ国際航空。
フライト数が96%も減少しパイロットの仕事がなくなるなか
10月から異例ともいえるサービスを始めた。
有料での体験ビジネスである。
1台20億円はするシミュレーター。
コックピットの機器は本物と同じものを使用。
窓にはリアルな景色が映り
実際のフライトさながらである。
操縦指導にあたるのは本物のパイロット。
天候や離着陸する空港も選べる。
料金は30分で4万円
90分で12万円と高額だが
すでに40件以上の利用があるという。
会社としては社員の早期退職に踏み切らざるを得ない苦しい状況のなか
少しでも収益を確保する狙いである。
(タイ国際航空 チャトリー副社長)
「パイロットはいま暇を持て余しています。
 この取り組みでパイロットは仕事を得て
 会社は少しの収益増を見込めます。」

インドネシアのガルーダ・インドネシア航空。
機内で使うブランケットなどのクリーニングや機内食作りを担ってきたグループ会社では
いずれも需要がなくなり
収入は90%減少。
クリーニング事業では
感染拡大前には1日15トンあった洗濯物が
4月には1トンまで減り
この部門の従業員の約7割を解雇せざるを得なかった。
そこで取り組みを強化したのがホテルなどを相手にしたビジネスである。
大量の洗濯物を扱ってきた経験を生かし
部屋のシーツや従業員の制服などのクリーニングを請け負う。
ホテルに出向いて洗濯物を回収するなどサービスを充実させたことで
契約は2社から13社に増加。
解雇した従業員の4割を呼び戻すことができた。
(ホテル担当者)
「8月から契約しましたが
 とても信頼しています。」
さらに出番の減った機内食は一般向けにデリバリーを始めたほか
食品加工技術を生かし冷凍食品の販売にも手を広げている。
会社では新たなサービスによる売り上げを収入全体の3割以上とすることを目標にしていて
今後事業の柱にしたい考えである。
(グループ会社 Aerofood ACS シニアマネージャー)
「競争は激しいのでまだまだ頑張らねばなりません。
 日々議論を重ねて
 どんなチャンスでも試したいと思います。



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