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「核のごみ」処分場 文献調査へ

2020-11-06 07:00:27 | 報道/ニュース

10月15日 NHK「おはよう日本」


“核のごみ”
正式には高レベル放射性廃棄物。
原子力発電所から出る使用済み核燃料を
科学的に再処理したあとに残る廃液をガラスと溶かし合わせたもの。
出来た直後は放射線が極めて強く
そばにいると20秒ほどで生命に影響が及ぶと言われている。
実際には
金属の入れ物に入れ
さらに粘土で覆うなどして地下300mより深い場所に埋め
十分放射線が下がるまで処分はする。
核のごみを置く最終処分場の調査を自治体はなぜ受け入れたのか。
最大20億円の交付金を受け取ることができる。
北海道の2つの自治体が受け入れを表明した。
日本海に面した寿都町(人口約3,000人)と神恵内村(人口約800人)である。
決断の理由は過疎の自治体が抱える財政難だった。

調査の受け入れを決断した寿都町の片岡町長。
2001年から5期連続で町を率いている。
(寿都町 片岡町長)
「10年スパンでこの町がどうなっているのか
 今より厳しくなっているのは誰もが予想できる。」
基幹産業の漁業は不振が続き
漁獲量は10年前の5分の1である。
町の財政が厳しさを増すなか
町長はふるさと納税や町営の風力発電で独自の財源を確保してきた。
しかし風力発電の買い取り額は国の優遇制度が終わる3年後から半額以下になり
5年後から大幅な財源不足に陥るという。
そこで目をつけたのが調査の受け入れで入る最大20億円の交付金である。
(寿都町 片岡町長)
「きれいごと言って理想論だけでおまんま食べられない。
 これから今の基幹産業の漁業 水産加工
 ここだけで当然生きていけない。」
何としても調査を受け入れたい。
片岡町長は町内7か所で説明会を開催。
住民たちに理解を求めた。
しかし
(寿都町 住民)
「自分の子どもを育てる環境が脅かされていることに
 どうして黙っていられるのか。」
「風評被害は寿都町はもとより北海道全体に広がっていくことは明らか。」
(寿都町 片岡町長)
「国を信用しましょうよ。」
(寿都町 住民)
「そんなものやってしまったらどうなるか
 町民はばかじゃないから分かっている。」
住民からは核のごみの安全性を危惧する声が相次いだ。
また町が交付金に依存することに危機感を募らせる人もいる。
(吉野さん)
「断固反対だ。」
吉野さんは観光資源に乏しい寿都町で10年前に特産のカキを売りにした飲食店を起ち上げた。
吉野さんは調査によって大金が入ることで
自分たちの力で町を盛り上げていこうという住民の意欲が失われてしまうと
心配している。
(吉野さん)
「寿都町事態は水産加工 製造
 まだまだ死に体ではなくちゃんと生きている。
 そこをもっと深彫りしてやるともっと可能性はあると思う。
 依存しちゃうということは思考停止
 そのままずっと続く。」
それでも10月8日
(摂津町 片岡町長)
「私の判断として文献調査の応募を本日決意させていただいた。」
反発が残るなか
寿都町は文献調査の受け入れに踏み切った。
一方 神恵内村は大きな反対もなく調査の受け入れを決めた。
処分場が建設されれば雇用が増えて活性化につながる。
村の商工会が受け入れを推進したのである。
(神恵内村商工会 上田会長)
「地域活性化のために出している。
 仕事
 それが経済の始まり。
 処分場ができれば経済も動く。」
説明会では受け入れに伴う恩恵を期待する声が多く上がった。
(神恵内村 住民)
「小さな村だからできることがあると思う。」
「文献調査は受け入れてもいいんじゃないか。」
こうした状況に複雑な気持ちを抱いている人もいる。
村で民宿を営む池本さん。
調査を受け入れても果たして村の将来に展望を見出せるのか
疑問を感じている。
(池本さん)
「後継者もいない
 後継ぎもいなければ自分の代でほとんど終わるところだけ。
 あきらめの方が多い。
 摂津町みたいに強く反対と言える人もいない。」

寿都町の片岡町長は住民からどんなに反発の声が上がったとしても
肌感覚では賛成が過半数を余裕をもって超えていると話すなど
自身の強い思い入れで決断まで押し切った。
一方神恵内村では
すでに隣の村に泊原発があってもともと抵抗感が薄かったことに加え
隣接自治体に配られる交付金を得ていたことなど経済的な恩恵を受けていた。
年内に調査が始まる見通しとなったが
実際にはすぐに最終処分場ができるわけではない。

市町村長
    ↓
文献調査 資料による調査(2年程度)
     交付金 最大20億円
    ↓
市町村長・都道府県知事
    ↓
概要調査 ボーリング調査など(4年程度)
     交付金 最大70億円
    ↓
市町村長・都道府県知事
    ↓
精密調査 (14年程度)
     交付金 未定

概要調査に進む際
国は
都道府県知事や市町村長が反対する場合 次に進まない
と言っている。
北海道の鈴木知事は“反対する”と現段階で明言している。
寿都町の片岡町長は非公開の会合の中で
決して最終処分場を受けるということではない
と明言している。
仮に文献調査だけで終わってしまった場合
20億円の交付金が支払われるだけで議論が振出しに戻ることもありうる。
梶山経済産業相は
「技術的ノウハウや対話活動で得られた経験は他の文献調査にも活用可能なので
 意義はある」
と説明し調査は無駄ではないと言っている。
これに対し専門家は
「文献調査以降に進まない場合
 税金を原資とする国の支出として正当性はあるのかと
 これまでも議論されてきた」
と話す。
そのうえで
「国がルールを明確化する必要がある」と指摘している。
この3年で国は全国にのべ121か所で説明会を開催。
最終処分場の必要性を呼びかけてきた。
最終処分場は全国のどこか1か所に決めなくてはならない。
全国民が自分たち地域の問題として向き合って考えなければならない。



 

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