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拡大するインドの結婚式ビジネス

2018-04-30 07:00:00 | 報道/ニュース

4月17日 キャッチ!ワールドEYES


馬車に乗った新郎にきらびやかな衣装で練り歩く新婦。
“世界一の派手婚”と言われるインドの結婚式である。
インドの人々にとって人生最大のイベントであり
自らの財力と人脈を示す場にもなっている。
生涯収入の3割をつぎ込むとされる結婚式には
1,000人以上が参列し
1週間続くことも珍しくない。
インド国民の平均年齢は27歳。
人口13億の約半分が“結婚予備軍”と呼ばれている。
規模もさることながらその独特なスタイルに合わせ
外国企業もさまざまなサービスを展開している。
オーストラリアの旅行会社が一昨年から始めたのが“結婚式に参加できるツアー”。
規模にこだわるインドの結婚式では一般の人も自由に参加できることが多く
それを観光に結びつけた形である。
オーストラリア人観光客のキャリー・スティーブンスさん。
前夜祭と披露宴の2日間のツアーを友人と申し込んだ。
スティーブンスさんが身にまとうのはインドの伝統的な衣装。
手や足には「ヘナ」と呼ばれる天然の染料を使って花や孔雀などの模様を描いて結婚を祝う。
(オーストラリア人観光客 キャリー・スティーブンスさん)
「模様が気に入りました。
 きめ細かくて美しいです。」
費用は1人約120ドル。
インド文化を凝縮して体験できるので参加者にも好評である。
(キャリー・スティーブンスさん)
「美しい結婚式に参加すればインドの真髄を見られ
 人の心と文化が分かります。」
(旅行会社の社長)
「インドでは年1,100万件の結婚式が開かれ5兆円の市場なので
 参入するには絶好の市場でした。」
インドの巨大な結婚市場には日系企業も参入している。
パナソニックは去年10月から
壁などに映像を映し出すプロジェクションマッピングで式を盛り上げるサービスを始めた。
新郎新婦の要望に沿った映像の政策を地元の会社に依頼し
オリンピックの開会式などで培ったノウハウで式場を盛り上げる。
(参加者)
「この演出は新しい。
 流行になると思います。」
パナソニックはプロジェクション機器の設営はもとより
式の撮影も自社の撮影チームで行うので
映像全般を請け負っている。
地元でのサービスを統括する住谷茂樹さん。
5年前に着任した当初は業務カメラの販売促進を担当していたが
インドの結婚式に可能性を感じ
総合サービスへ発展させた。
(パナソニック 住谷茂樹さん)
「映像を映し出すというものは
 人生最大のイベントにもかかわらず
 結構 貧弱であったりあまり力を入れてなかった。
 映像関連のノウハウを持っている我々メーカーからしたら
 多いなビジネスチャンスだと思った。」
住谷さんがいま力を入れているのが結婚式専用のビデオカメラの開発である。
夜の撮影に合わせて低照度・高感度の機能を強化し
数多くの参加者を多角に収められるように広角レンズを使用。
カメラをプロ用らしくみせるためにあえて小型化しないなど工夫を凝らした。
(カメラマン)
「暗いところでも撮影できるので
 お客さんの要望にも大体応えられます。
さらに住谷さんは各地で結婚式に特化した撮影講習会を開催。
世界最多の40万人はいると言われるインドのウェディングカメラマンに自社製品を使ってもらい
意見を集約して新商品の開発に役立てている。
(カメラマン)
「シャッタースピードを100から50に下げられるようにしてほしいです。」
講習会を始めて5年。
インドの業務用ビデオカメラ以上に占めるシェアを3割から6割以上に伸ばすことができた。
パナソニックはメーカーは結婚式の演出や撮影などのソフト面と
ビデオカメラの開発というハード面の相乗効果を高めることで
今後3年間で年間100億円の事業の育てたいと考えている。
(パナソニック 住谷茂樹さん)
「ここまで大きくなるとは思いませんでしたが
 やはりすごい鉱脈だったんだなと実感している。
 今後5年10年
 インドで一番大きなビジネスチャンスの1つになると思う。」
 この市場の大きなビジネスの可能性を自分たちのビジネスにしていきたいと思う。」
拡大が予想されるインドの結婚式市場。
ビジネスチャンスをとらえようと企業の競争はさらに激しさを増しそうである。


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ドイツに学ぶ障害者スポーツ普及

2018-04-29 10:30:00 | 報道/ニュース

4月16日 キャッチ!ワールドEYES


近年 パラリンピックへの関心は高まり
選手たちの超人的ともいわれるプレーにも関心が集まっている。
しかし忘れてはならないのは
“障害者がスポーツをしやすい環境をつくる”というパラリンピックの理念である。
日本でも
2年後に迫った東京パラリンピックへ向けてスポーツに参加する障害者の数を増やそうとしているが
ここ数年は大きく伸びていないのが現状である。
こうしたなか障害者の40%近くが日常的にスポーツをしているドイツがいま注目されている。

大勢の観客が熱い声援を送るのは
車いすバスケットボール ドイツ トップリーグのシーズン最終戦である。
ドイツリーグには世界中からトップ選手が集まっていて日本人選手も活躍している。
(観客)
「スピーディーな試合でドキドキします。
 来シーズンもまた来たいです。」
「楽しかったです。
 選手たちから希望をもらいました。」
トップリーグには全部で10チームが参加。
9月から半年にわたって毎週ドイツ各地で熱戦が繰り広げられる。
会場には地域の企業もスポンサーとして看板を出している。
市民の関心も高く
地元メディアでもしばしば取り上げられる。
さかんなのはトップリーグだけではない。
レベル別に5部までリーグがあり
チームの数は全国で約180。
参加する人は障害の程度や練習できる頻度などそれぞれの事情に合わせてチームを選ぶことができる。
ドイツのトップリーグで活躍する網本麻里選手。
日本に比べて気軽に参加できる環境があると言う。
(綱本麻里選手)
「初めてやりたいと思っている人や経験が浅い人が気軽に行ける環境があるのは
 すごくいいことだと思う。」
練習の場所を探す苦労もない。
地域にあるスポーツ施設をそのまま使うことができる。
参加者の経済的な負担が少ないのも大きな特徴である。
ほとんどのチームに地元の企業がスポンサーとしてついているため
ユニフォームやチームが所属するクラブの会費などは低く抑えられている。
競技用の車いすは普通のものに比べるとかなり高額だが
障害の程度によって健康保険が適用され
少ない負担で購入することができる。
また車椅子を貸し出してくれるクラブもあり
プレーを始めるための資金が非常に低いのである。
学校現場でも障害がない子どもたちに理解を深めてもらうための試みが盛んに行われている。
ケルンにある小学校では
地域のスポーツクラブによる車いすを使った遊びが毎週行われている。
障害者だけでなく障害がない子も多く参加している。
子どものころからのこうした体験が障害者への偏見をなくすことにつながると言う。
(ペーター・シュッテレ校長)
「大人は車いすの人を見て“かわいそう”と思ったりしますが
 子どもには楽しいものなんです。
 みんな個性を持っていて障害は特別なことではないんです。」
スポーツへの参加を通じて多くの障害者が前向きな姿勢に変わっている。
ボー・ブルックマン君(16)は脳性まひのため3歳から車いすが欠かせなかった。
1人で思うように体を動かせないこともありストレスを感じていた。
そんななか14歳のとき車いすバスケットボールに出会った。
(ボー・ブルックマン君)
「人と競い合ったり成果を分かち合えて面白かったのでスポーツを始めました。
 学校や日常生活でストレスがたまっても発散できるようになりました。」
母親のミヒャエラさんもブルックマン君の精神面での成長を感じている。
(ミヒャエラさん)
「心のバランスがとれるようになりました。
 長いこと無かったことです。
 自分の目標を持つようになりとてもうれしいです。
 車いすの人でも気分転換できたり
 好きなことに打ち込めることは大切です。」
5部リーグのチームに所属しているブルックマン君。
気の合う仲間も大勢できた。
今では将来の大きな夢も持つようになった。
(ボー・ブルックマン君)
「今の夢は車いすバスケットボールのドイツ代表としてプレーすることです。
 もっと頑張らないといけません。
 実現できると信じています。」



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記憶はあらゆる物事の宝であり、 守護者なり

2018-04-28 07:00:00 | 編集手帳

4月15日 編集手帳

 

 元は、
さる新聞人がつづった私的な雑録だった。
『熊本明治震災日記』。
筆者の名から水島日記とも呼ばれる。
地震の発生から一月の間、
明治期の熊本がどんな混乱に陥ったか、
被災者の目線で記してある。

後に本になり、
昨年、
現代語訳版が出た。
大きな余震に
<繁(しげ)みや竹やぶなどに莚(むしろ)を敷いて、
縞(しま)蚊に刺されるのも厭(いと)わず、
ひたすら身を伏せ神仏に祈っている>
<恐怖心を助長させたのは学士紳士たちが先立って避難したことだった>

生々しく詳密な記述が、
まさかへの備えや覚悟を促す。
水島日記に倣うには。
2年前、
震度7の揺れに見舞われた熊本県益城町の図書館では、
司書さんの頑張りが続く。

1年目、
避難所の貼り紙やら弁当の受取票やら、
記憶のかけらを1万点以上集め、
折に触れて展示した。
区画整理や県道の拡幅など復興事業が進む今は、
公式文書以外の書面、
資料まで全てを残す。
未来図を描く一助に閲覧する町の人は少なくない。

記憶はあらゆる物事の宝であり、
守護者なり――と、
古(いにしえ)の書物にある。
先の世のため宝をどう生かすのか。
そのすべを考え抜くことが現代人の務めなのだろう

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フランス “あなたも城主に” 市民参加で古城再建

2018-04-27 07:00:00 | 報道/ニュース

4月13日 キャッチ!


フランスに約3万あるとされる古城。
しかしそのうち数千が崩壊に危機に瀕している。
古城のほとんどは個人が所有しているが
修復や維持費にばく大な金額を擁するため放置され荒廃するケースが少なくない。
ルイ14世やアンリ4世といった歴代の国王が滞在していた城も
修復や維持の費用のめどがつかず
今ではだれも住んでいない。
(古城専門家 ガエタン・デルバールさん)
「多くの古城の所有者が修復を試みますが費用が膨大で手段がありません。
 このため毎年 数千の所有者が城を手放し朽ちて行くのです。」
子どものころからの夢を実現し古城を手に入れたものの
厳しい現実とのギャップに直面している市民もいる。
7年前に会社員のアリゾンさん夫婦が
「パリ周辺で家を買うよりは安い」と日本円にして9、000万円余で購入。
その後ここに移り住みイベントを開くなどして生計を立てている。
(古城所有者 ダフネ・アリゾンさん)
「これがかつての古城の写真です。
 窓枠は崩れ落ち部屋も雨ざらしでした。」
しかし家具の買い替えや床・天井などの修繕費用が当初の予想より大幅に超えているという。
(古城所有者 ダフネ・アリゾンさん)
「すでに修繕費用 約1億3,000万円を使い
 多くの時間も費やしました。
 完全な修復には費用が倍になると覚悟しています。」
費用が工面できず危機に直面する貴重な古城をどうすれば守れるのか。
去年秋
文化財の修復やPRを手掛けるフランスの2つのベンチャー企業が共同で
クラウドファンディングで資金を集める新たなプロジェクトを起ち上げた。
一口50ユーロ(約6,500円)からの寄付を募るだけでなく
企業が重視したこととは
寄付をした人全員が古城の所有権を持ち自由に意見を述べられることである。
当初6500万円を目標にしたが
3倍以上の2億1,000万円の資金が集まった。
(ベンチャー企業代表 ジュリアン・マルキさん)
「このプロジェクトに人気が集まったのは
 遺産を守ることに共感しただけでなく城のオーナーになれるからです。」
資金が集まったのは
13世紀の建設後フランス革命や大火を乗り越えてきた中部にある古城である。
屋根が壊れたり床が浸水するなどして今は崩壊寸前の状況だが
周囲を池が囲み水と調和した独特の景観が魅力である。
ベンチャー企業の担当者が古城を訪れ被害の確認作業を行った。
ドローンや特殊な測量器具を使い
かつての城の姿はどんな様子だったのか
どこを重点的に修復すべきかなどを把握。
近く専用のサイトで情報を公開し幅広く意見を募ることにしている。
(ベンチャー企業代表 ジュリアン・マルキさん)
「修復後の城をコンピューターで再現することで
 寄付した人たちがネットを通じて城をイメージできます。」
このプロジェクトに寄付をしたアランジル・ショーサさん。
歴史学の博士号を持ち
去年 世界遺産のモン・サン・ミッシェルに近い北西部の自治体に就職した。
日常の業務でも地域の古城や教会をまわり資金集めに奔走している。
しかし実際はなかなか支援者が集まらず
再建のための画期的な方法がないか模索していた。
そんな中このクラウドファンディングのプロジェクトに出会い
再建の役に立ちたいと寄付をした。
(県職員 アランジル・ショーサさん)
「古城のオーナーになることは誰もが1度は思い描く夢です。
 私のように歴史的な建築物に関わっている人間なら なおのことです。」
ショーサさんは初めて自ら寄付をした古城を訪問。
水や緑に囲まれた古城の美しさに惹かれるだけでなく
その周りの池を活かして古城の魅力を紹介するボートツアーを実施することを思いついたという。
ショーサさんは市民がアイデアを生臣出せる計画作りが歴史的な遺産の再生に欠かせないと考えている。
(県職員 アランジル・ショーサさん)
「このプロジェクトは参考になることがたくさんあります。
 成功につなげるのは簡単ではありませんが
 他の遺産にも活用すべきだと思います。」
市民参加で歴史的な遺産を守る試みは成功するのか。
注目が集まっている。



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高畑勲監督 心温まる作品

2018-04-26 07:00:00 | 編集手帳

4月7日 編集手帳

 

 駆けだしのアニメーター時代、
宮崎駿さんは新作の構想を聞いて思わず言った。
「えーっ、ハイジやるの?」。
相手は五つ年上の先輩、
高畑勲さんである。

宮崎さんの著書『本へのとびら』(岩波新書)によると、
スイスが舞台のヨハンナ・シュピリ『ハイジ』は戦争をしない永世中立国への憧れから、
戦後世代にはわりと読まれていた。
「そんなカビのはえたものを」という感覚だったが、
その後、
脱帽したことは言うまでもない。

歩けなかったクララがアルプスの草原に立つ場面を思い出し、
涙腺がゆるむ方もおいでだろう。
いくつもの心温まる作品を生み出した高畑監督が82歳で亡くなった。

その人の感性の路線は、
続く『フランダースの犬』に生きたという。
ハッピーエンドの物語も出回るなか、
原話の通りの悲劇になっている。
ネロとパトラッシュが聖堂の冷たい床に体を接して横たわり、
眠りにつく最終回のシーンは後日、
わが小学校の教室で話題になったのを覚えている。
死んだのだとわかると…。

アニメという娯楽の世界に高畑さんが残したものはなんだったのだろう。
涙の匂いと一緒に考えてみる。


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子どもと夕焼け

2018-04-25 07:00:00 | 編集手帳

4月5日 編集手帳

 

 昭和の映画スター、
鶴田浩二さんは貧しかった幼年時代を一言でこう語った。
「私は夕焼けが嫌いな子供でした」と。

親の事情で目の不自由な祖母と二人きりで暮らし、
友だちと別れて帰る家で温かい食事が待つことはなかった。
家は暗くなって電気がともることもなく、
帰ってまず触るのは裸電球のスイッチだった。
あるとき電気をつけると、
光の下にこたつで眠る祖母の姿があった。
声をかけても何も言わない。
体をゆすると、
冷たかった。

はるか戦前のことである。
同じモノサシでは測れないが、
今の貧困家庭に育つ子供たちの目に映る夕焼けはどんなだろう。

貧しさはまず嘆くのが筋だけれど、
間違いなくいいニュースといえる。
民間の調査で、
無料または数百円で食事を提供する「子供食堂」が全国で2286か所にのぼることがわかった。
ここ数年で急増したという。
運営はNPO法人や個人など様々で、
貧しさばかりではなく、
見守りや共働き家庭の「孤食」の解決に手を貸す人もいる。

それにしてもこの数、
全国の市町村の数をゆうに超えている。
夕焼けが好きな子供をどんどん増やしたことだろう。


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パリに愛された画家 藤田嗣治

2018-04-24 07:00:00 | 報道/ニュース

3月26日 国際報道2018


奇抜なおかっぱ頭に丸メガネ。
パリで活躍した画家の藤田嗣治である。
明治半ばの日本に生まれ
大正時代にパリにわたり
81年の人生のほぼ半分をフランスで過ごした。
晩年にはフランス国籍を取得。
レオナール・フジタと名前を改めた。
西洋の絵画に伝統的な日本画の表現を取り入れた独特の作風で
パリで高く評価され
1968年に亡くなったあともその作品は多くの人たちを魅了し続けている。
今年はフジタが世を去って50年。
パリでは活動の軌跡をたどる過去最大級の展覧会が開かれている。

展覧会を2週間後に控えたマイヨール美術館では準備は大詰めを迎えていた。
初めて展示される作品も多く
保存状態は万全か入念にチェックする。
パリにわたって4年後に描かれた作品は
西洋美術の題材の「聖母」を描く一方
背景は日本画で使われる金を用いている。
(展覧会 共同主催者 シルヴィ・ブイソンさん)
「フジタは西洋美術の奥深さを十分に理解していましたが
 同時に“自分は西洋美術とは異なる”と表現したのです。」
フジタが一躍注目されたのは1920年代のパリ。
当時パリには世界中から気鋭の芸術家が集い切磋琢磨していた。
フジタは古来から現代にいたる西洋美術の伝統を吸収する一方
日本的な表現を研ぎ澄ます。
浮世絵から発想したという乳白色の肌。
そして日本画用の筆で描かれた繊細な描線は
フジタの名を浮動のものとした。
81年間の生涯で6,000点以上の作品を残したとされるが
個人に買い取られ世間から忘れられた作品も少なくない。
今回初めて一般公開される肖像画もその1枚である。
モデルはフジタの父親 嗣晶。
厳格な軍医として藤田に強い影響を与えた人物である。
2年前 フランスの美術商が偶然オークションで見つけ手に入れたものの
保存状態はよくなかったと言う。
(美術商 ロラン・ジロさん)
「ひどい状態でクモの巣をかぶっていたよ。」
半年かけて修復し今回の展覧会に間に合わせた。
(ロラン・ジロさん)
「この手の置き方は父親の知性を表しています。
 白髪や深みのある目
 私が見た中で最も美しい作品の1つです。」
往年の藤田をよく知る人も今回の展覧会を心待ちにしている。
「フジタはしょっちゅう家に来たわ。
 猫の絵を持ってきたリ。」
ジャニール・ワルノさん(97)。
芸術評論家だった父がフジタと家族ぐるみの付き合いをしていた。
とっておきの絵はワルノさんの娘を目の前でデッサンしたものである。
そのときのデッサンと完成作品。
ワルノさんは自宅で初めて完成品を見た時
あまりの違いに驚いた。
(ジャニール・ワルノさん)
「デッサンは私の娘がそのまま描写されていますが
 完成作品はさらにフジタらしく表現され
 まるで日本人形のようです。」
フジタは日本人の気質を残しながらもパリの文化の最先端に飛び込んでいた。
(ジャニール・ワルノさん)
「フジタは日本的で生真面目でしたが
 仮装してパーティーにも行く。
 日本という島国に閉じこもらず
 日仏の“いいとこ取り”をしたのね。」 
そして迎えた展覧会。
大勢の人々が会場を訪れた。
展示された110点のうち9割は個人が所有していたもの。
パリの人々にとっても珍しい作品が並ぶ。
「こんな大きいフジタは初めて。」
「繊細な日本の表現がフランス絵画の魅力を引き出しています。」
ワルノさんも会場に駆け付けた。
(ジャニール・ワルノさん)
「感動です。
 外国人画家は彼らの伝統をフランスにもたらしてくれます。
 そしてこの融合こそが途方もない美を生むのです。」
没後50年を迎えるフジタ。
その作品は今もフランス人の心に生き続けている。




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AIに負けない能力を磨け

2018-04-23 06:15:00 | 経済フロントライン

3月24日 経済フロントライン


都内のビルの1室で行われているのはアート作品を使った企業研修。
参加者は人材派遣などを行なう企業の社員22人。
最初の課題は
彫刻を見た印象を率直に話すこと。
「何か成し遂げた人なんじゃないか。」
「もしかしたら“大貧民”の代表の人なのかな。」
感じ方は人それぞれ。
自分とは違う他者の感覚を理解することで
AIより人間の方が優れているという“コミュニケーションの力”を磨く。
(京都造形芸術大学 専任教師 岡崎大輔さん)
「ほかの人たちの意見も聞いて
 それを踏まえて
 自分の考えや他の人たちとのやりとりを発展させるという効果がある。」
続いての課題は
自分の見たものを目隠しをした人に伝える
「イスの素材は木で
 色が塗ってあって 黄色に。」
「座面はクッション?」
「わらで編んだような・・・。」
「わら?」
“自分で感じたことをどう言葉にして伝えるのか”。
これも人間の方が得意だという能力である。
2日間で12時間。
1度研修を受けた企業のほとんどが繰り返し受講していると言う。
(研修に参加した社員)
「今リーダーでチームをひとつ見ているが
 そこですごく感じているのが“人は感情で動く”。
 相手がどんなふうに感じているのかを理解する意味では
 生きる手段みたいなものにつながる。」
(研修を取り入れた パーソルホールディングス 人材開発室)
「人と人がつながって
 どういうことを生み出していくのかがより求められている。
 感覚をトレーニングできる研修はこれからも増やしていきたい。」



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大学生に人気 AIを学ぶサークル

2018-04-22 22:15:00 | 経済フロントライン

3月24日 経済フロントライン


AIのプログラミングを学ぶサークル。
東京大学などの学生250人が参加。
コンピューターが自ら学習する“ディープランニング”の仕組みなどを学んでいる。
サークルを作った石井大智さん。
石井さんは去年
AIに詳しい学生と企業を橋渡しする会社を設立した。
すでに50社以上と取引をしているという。
(STANDARD代表 石井大智さん)
「いろんな企業と話をさせていただくにつれ
 これだけの人数
 これだけの切迫した中で求められている。
 AIの技術者を1万人届けるところを目標に設定して取り組んでいる。」
2月にサークルに入った慶應義塾大学経済学部2年大学 井上さん。
今はデータから規則性を見つけ出すためのプログラミングを勉強中である。
専攻は経済学で文系だが
将来はAIで顧客に商品を提案するシステムの開発したいと考えている。
(慶應義塾大学経済学部2年 井上さん)
「AIの技術を取得しているのは
 一定の需要があるし
 一定の評価は得られる。
 将来お金に困らない
 生活する糧には間違いなくなる。」

 

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東京五輪・パラ後の2025年問題とは

2018-04-21 07:00:00 | 経済フロントライン

3月24日 経済フロントライン


家事の代行をしてくれるのはフィリピン人の女性。
広島でカキの殻をむくのも外国人である。
建設現場で足場の組み立てを行なう浜松市の会社。
従業員20人のうち8人が外国人。
この半年で6人増やした。
彼らは技能実習生。
最長で5年間働くことが認められている。
日本での技術習得が本来の目的だが
日本人がなかなか集まらないなか貴重な戦力になっているという。
(足場組み立て会社 宝翔 後藤友亮社長)
「この際 外国人の比率を先を見越して増やしていこうじゃないか。
 できるところは逆に全部外国人にしちゃおうじゃないかと。」
しかし外国人を雇うにはさまざまな制約がある。
11人の従業員のうち店長を含めて10人が外国人というコンビニエンスストア。
コンビニは技能実習制度の対象ではないため
働き手の多くは留学生である。
留学生の労働時間は週28時間までと決められている。
そのため忙しいときでも長く働いてもらうことができず
1人でも多く留学生を集めたいという。
(ローソン 芝浦八千代橋店 店長)
「求人を出しても日本人は来ないのが現状。
 外国人がいなくなると店にとっては運営を続けられない。」
この日行なっていたのは来日したばかりの外国人への研修。
このコンビニチェーンでは欠員が出ないよう来日前から面接を実施し人手を確保している。
コンビニにスタッフを派遣している会社は
いずれ学業に支障がない範囲で労働時間の規制緩和されることを期待している。
(ローソンスタッフ 佐藤洋彰社長)
「週28時間で本当に彼らがそもそも生活が成り立っているのか心配。
 数時間でもいいので若干の規制の緩和があるのであれば
 都内や留学生が多い地域の人手不足は恩恵を受けると思う。」
今のままではいずれ外国人が日本で働いてくれなくなると心配している人がいる。
ベンチャー企業社長の松崎みささんである。
もともとはシンガポールで現地の人材を日本に紹介する仕事をしてきた松崎さん。
日本の人手不足の状況を知り
去年11月 日本にいる外国人に向けて仕事の情報を提供するアプリを作った。
登録している外国人は3,000人以上。
しかし企業側は“日本語ができてフルタイムで働ける”人材を求めることが多く
契約に至らないケースもあるという。
このままでは
シンガポールやマレーシアなど外国人が働きやすいとされる国に人材を奪われてしまうと危惧している。
(WORK JAPAN 松崎みさ社長)
「“他の国であれば英語ができれば働かせてもらえる”
 “もっと働くことが簡単な国に行こうか”という選択肢が出てきて
 日本が選ばれない国になってしまう可能性もある。
 どんどん外国と人の取り合いになっていく状況が起きる。」



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2020年の後 日本経済は?

2018-04-20 07:00:00 | 経済フロントライン

3月24日 経済フロントライン



東京五輪・パラリンピックに向けて建設が進む選手村。
ここに21棟ものビルが建てられる。
新国立競技場も急ピッチで建設作業が進められている。
同時に虎ノ門 大手町 渋谷などでも再開発が進み
オフィスビルが次々と建設されている。
今年からオリンピックが開催される2020年までに供給される都内の新築オフィスの床面積は
約253万㎡。
東京ドーム54個分に匹敵する。
田町駅の近くに建設中の31階建てのビル。
ここに移転する予定の大手コンビニチェーン。
これまで分散していたオフィスを集約することができ
今より業務の効率が上がると考えた。
(ユニー・ファミリーマートHD CSR.管理本部 青柳有二さん)
「この数年でM&Aを繰り返してきた。
 M&Aの旅に本社を増床したり改装していたが
 それを今回集約することで社員が行き来しやすいと考えている。」
ビルの完成は5月だが
建設を主導した不動産会社には入居の申し込みが相次いでいるという。
(三井不動産 ブルディング本部 西田弥生さん)
「立地や高いブルグレード(設備)を評価いただいている。
 現時点でおおよそ満室。
 非常に手ごたえを感じている。
 今後も需要は伸びていく。」

新築だけでなく古い雑居ビルも人気を集めている。
駅の近くでビルの空室を探しているのはベンチャー企業の社長 高志保博孝さん。
「駅から5分とか
 そういう立地のいいところでテナントが出てくることによって
 ビジネスチャンスが広がる。」
駅から徒歩1分のビルのワンフロアを使って高志保さんが運営しているのは
ホステルと呼ばれる簡易宿所である。
訪日外国人の急増に対応するため
国は一昨年 簡易宿所の規制緩和を行なった。
その結果 狭い場所でも開業しやすくなったのである。
最近ではオリンピック需要を見込んだ同業者も増え
空きビルの争奪戦になっているという。
(ベンチャー企業 大和人 高志保博孝社長)
「今は8店舗
 少なくとも年末までには20店舗。
 上手くいけば25店舗 30店舗ぐらいはやっていきたい。」




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中国 若者に広がる“スマホで寄付”

2018-04-19 07:30:00 | 報道/ニュース

3月24日 キャッチ!


都市部の98%の人がスマートフォンなどのモバイル端末を使ってお金のやり取りをすると言われる中国は
モバイル決済大国である。
簡単な操作で数秒のうちにあらゆる決済ができるとあって
ここ数年爆発的に普及した。

あらゆる店にQRコードが掲げられている中国。
客は自分のスマートフォンを使ってQRコードを読み取り代金を支払う。
店先での買い物のほか
個人でのお金のやり取りや公共料金の支払いなど
中国ではあらゆるお金が指先ひとつ使って動かせる。
(市民)
「財布は持ち歩いていないのでスマホ無しでは生活できません。」
こうしたモバイル決済の普及が人の命を救うことにもつながっている。
白血病を患い入院生活を送る6歳の男の子。
細胞を移植する手術が必要だったが
高額で
家族の貯金だけでは足りなかった。
困り果てた父親が頼ったのが
スマホの決済機能を使って寄付金を集めるインターネット上のサービスである。
ここに子どもの病気の症状や家族の状況をつづり
見ず知らずの人たちに支援を求めたのである。
その結果 1週間で330万円が集まり
男の子は手術を受けることができた。
(父親)
「当時はとても焦っていましたが
 すぐに寄付金をいただけて本当に感謝しています。」
スマホを使って寄付を募るサービスは手軽さから利用者を急速に増やしている。
この父親が利用したサービスのサイトには
難病や貧困に苦しむ人への援助など募金を呼びかける多くの声が掲載されている。
2014年にサービスを始めてからこれまでに2億人以上が利用登録をし
3,000億円以上の募金が集まったという。
北京市でカフェにコーヒー豆をおろす仕事をしている楊さん。
豆を焙煎する前のわずかな時間にもスマホをのぞく今どきの中国の若者である。
楊さんが気になるのは友人とのSNSだが
最近ではそこに募金を呼びかけを目にすることが多くなった。
(楊さん)
「友だちが他のSNSを転送してきました。
 かわいそうな女の子
 まだ小さいのに・・・。」
難病を患う女の子への支援を目にした楊さんは
その場でスマホを使って日本円にして約170円を寄付した。
楊さんの朝食代に相当する額である。
日常的に寄付をするようになった楊さん。
寄付をすることで自分の気持ちも満たされると言う。
(楊さん)
「今はこうしたサービスがあるのでとても便利です。
 人助けをできることがうれしくて
 充実感があります。」
こうした募金サービスを提供するIT企業の1つ。
開発チームは“スマホを使いこなす若い世代こそが募金の主な担い手になる”と考えている。
これまでにゲームでためたポイントをお金に換え寄付をするサービスを開発。
楽しみながら気軽に寄付ができる仕組みをつくっている。
(開発担当者)
「こうしたサービスは公益活動に参加するハードルを下げて
 慈善意識をかきたてるのです。」
日常的にスマホで寄付をする楊さんも開発したサービスに夢中である。
日課のランニングも寄付につなげていた。
楊さんが使っているのはこれまで100億円以上集めたという人気のアプリ。
記録された歩数に応じて
アプリのスポンサーから困っている人たちにお金が寄付される仕組みである。
(楊さん)
「今日は1万1,000歩あまり走って寄付しました。」
楊さんが走った1万1,000歩は約4円のお金に換えられ
大手不動産会社から貧困家庭の支援に寄付された。
(楊さん)
「慈善活動は私の生活の一部になりました。
 とても手軽でいつどこでもできますから。」
中国で急速に普及するモバイル決済。
生活を便利にするだけではなく
若者たちの慈善意識も育んでいる。



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NY 都会の若者も夢中に!ルーツミュージック

2018-04-18 07:00:00 | 報道/ニュース

3月24日 キャッチ!


アメリカの音楽のイメージはロック ヒップホップといろいろあるが
最近若者の間で100年ほど前に流行していた音楽が注目されている。
“ルーツミュージック”と呼ばれている。

夜のブルックリンにどこか懐かしい音色が響く。
ルーツミュージック専門のライブハウスである。
ルーツミュージックは19世紀のアメリカで庶民の暮らしの中から生まれた音楽である。
閉じの人々にとって音楽は厳しい労働のあとの団らんに欠かせないものだった。
♪お母さんに会ったら伝えて
 私は旅にでると
 あの人を失った悲しみを癒すため
 涙を流しながらゆっくりと歩き続ける
この素朴な味わいが都会の若者たちを引き付けている。
(ライブハウスの客)
「とても古い歌だけど
 シンプルだからこそ心に響くんだ。」
「歌が暮らしの中にあったことを実感できるんだ。
 古き良きアメリカらしさがある。
 これが僕のルーツだって感じるね。」
店のオーナー ジェフ・ウィリーさん。
使われていなかった店の倉庫を自分で改装してこの店を起ち上げた。
(店主 ジェフ・ウィリーさん)
「家族や友人が集まって演奏し
 親から子へと受け継いできた。
 そんな伝統をここからもう1度広げていきたい。」
この店の活動は夜のライブだけではない。
学校帰りの子どもたちがここでルーツミュージックを学んでいる。
(生徒)
「歌に歴史や物語が詰まっていて楽しいの。」
週2回のクラスはキャンセル待ちが出るほどの人気である。
(店主 ジェフ・ウィリーさん)
「子どもたちは僕も知らない古い歌をネットで見つけてくる。
 興味を持ってくれるのはとてもうれしいね。」
店の地下は古い楽器の修理工房。
農家の納屋などに眠っていたものを知り合いから譲り受け
ウィリーさん自らが修理している。
バイオリンは全て100年以上前のもの。
実は農家の手づくりである。
(店主 ジェフ・ウィリーさん)
「見てくれ。
 ブタの顔だよ。
 こんなの誰が作ったたんだ?」
楽器を買うお金がない貧しい農民たちが見よう見まねで作ったものである。
(店主 ジェフ・ウィリーさん)
「歌は家族から家族へずっと歌い継がれてきた。
 そんな人たちの思いを手作りの楽器が伝えているんだ。」
人々の暮らしとともにあったルーツミュージック。
今ここから新しい世代に受け継がれようとしている。 

 

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アマゾン第2本社 誘致合戦の行方は

2018-04-17 07:00:00 | 報道/ニュース

3月24日 国際報道2018


ITビッグ5(アマゾン、フェイスブック、マイクロソフト、グーグル、アップル)の時価総額の合計は約360兆円。
これはイギリスのGDP国内総生産を上回る。
こうしたIT企業が街に来れば税収や雇用が跳ね上がる。
CEOの資産総額が世界一になるなど巨大企業アマゾン・ドット・コム。
シアトルにある本社だけでは規模が足りないため
別の街に第2本社を建設すると発表した。
候補地の募集には238もの自治体が名乗りを上げし烈な誘致合戦を展開。
さまざまな優遇策を打ち出し猛烈なアピールをしている。
しかし巨大なIT企業に街が支配されるのではないかと不安も広がっている。
都市の命運を左右する巨大企業の誘致。
その光と影。

人口70万人の都市シアトル。
経済が好調なアメリカの中でも“建設用のクレーンが一番多く稼働している町”として知られ
開発が急速に進んでいる。
その原動力となっているのがシアトル中心部に本社を構えるアマゾン・ドット・コムである。
ネット通販だけでなく動画配信サービスなどさまざまな業種に進出していて
街の経済効果はこの7年で4兆円を超えると言われている。
(シアトル市民)
「経済成長がものすごくて街は劇的に変わりました。」
「アマゾンは私たちに多くの雇用の場を与えてくれます。」
街の経済成長とともに不動産価格も上昇している。
この5年で1,6倍に値上がりした。
あるワンルームマンションは家賃は月50万円にのぼり全米で最も高い水準に達している。
(シアトル市民)
「家賃が上がり過ぎてアマゾン社員並みの給料じゃないととても暮らせません。」
アマゾンが第2本社の建設計画を発表したのは去年9月。
投資額は5,500億円。
5万人以上の雇用を生むという巨大プロジェクトである。
立候補した街の1つ 南部ジョージア州アトランタ。
誘致の切り札になると考えているのは地元の大学を核としたIT人材である。
理系で全米トップクラスのジョージア工科大学。
この子は約50のITベンチャー企業が事務所を置いている。
大学内で起業しITの専門知識や資金調達の方法などを専門家から学ぶことができる。
アマゾンが必要となる戦力となる人材をすぐに供給できることを強みとしている。
(ジョージア工科大学 先端技術センター幹部)
「ベンチャー企業を立ち上げられるような有能な人材がたくさんいます。
 ITに詳しい教授や学生を企業とつなげ成長に貢献できます。」
錆びついた工業地帯を意味する“ラスト・ベルト”を代表する都市ペンシルバニア州ピッツバーグ。
かつて盛んだった鉄鋼業は衰退。
街の再建の起爆剤にしようとアマゾンの誘致を目指している。
(ピッツバーグ市長)
「世界的企業が本社を建てれば街は一変するでしょう。」
市長自らテレビ番組に出演。
シアトルよりもオフィス賃料が4割も安いことをアピールしている。
(ピッツバーグ市長)
「我々の街は物価が安く済みやすい。
 ピッツバーグがアマゾンがふるさとと感じてくれるような街なのです。」
誘致のために常識を打ち破る提案をしたのがカリフォルニア州フレズノ市。
“アマゾン地域基金”というユニークな仕組みを考えた。
この仕組みでは
行政当局とアマゾンの社員とが話し合い
アマゾンが収めた税金の使い道を一緒に決めていく。
道路や公園の整備などに税金が使われることになれば
そこに“アマゾン”という名前を入れるというのである。
なぜそこまでアマゾンに頼るのか。
人口50万人のフレズノには大企業がなく
主な産業は農業しかない。
街にはホームレスの姿が目立ち
失業率は8%。
全米平均の2倍を超えている。
多くの失業者であふれる職業訓練校。
なんとか職を得ようとブロックの積み方などを学んでいる。
(受講者)
「ここにはコンビニなどの仕事しかなくて食べていけません。」
この窮状をアマゾンとともに打ち破りたいと市長は考えている。
(フレズノ リー・ブランド市長)「
「アマゾンはマンモスのよう巨大企業です。
 アマゾンが来れば多くの人に雇用を与えてくれます。」
一方巨大IT企業が来たことで議論が巻き起こっている街がある。
アマゾン第2本社の有力候補地の1つ カナダのトロントである。
トロントにはすでにグーグルが進出。
グーグルは去年から再開発地区に市と共同で街を丸ごと作るプロジェクトを進めている。
街中に張り巡らせたセンサーやカメラがさまざまなデータを集め住民の動きを分析。
自動運転の車が効率的なルートを選び渋滞を緩和するなど
無駄をなくし生活を最適化する街づくりを目指している。
(グーグル元CEO エリック・シュミット氏)
「グーグルのすべての技術を街に導入できたら面白いとずっと考えてきました。
 町を丸ごとグーグルにまかせて
 すべてに我々が責任を持ちたい。
 でもそうはいかないですけどね。」
しかし市民はこの構想に戸惑っている。
センサーやカメラなどで収集された個人情報が悪用されるのではないかという不安があるのである。
(トロント市民)
「情報が売買されるような気がします。」
「最大の懸念はプライバシーの侵害だよ。」
こうした不安を払しょくしようと
グーグル側は3月20日に大規模な集会を開き
得たデータは街づくりのためだけに使い商業目的根利用しないことを説明した。
(グーグル担当者)
「我々はトロント市民のプライバシーを尊重します。」
しかし住民の不安はくすぶり続けている。
(参加者)
「グーグル側がどんなビジネスモデルを考えているか知ることは必要ですが
 その答えは出ませんでした。
 もっと情報と対話が必要です。」
街の命運を決めるほどの影響力を持つ巨大IT企業。
経済効果と引き換えにしたリスクも浮かび上がっている。




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韓国で広がる「#MeToo」運動

2018-04-16 07:00:00 | 報道/ニュース

3月20日 キャッチ!


「MeToo」と声を上げる女性たち。
ソウル市内では3月初め セクハラに抗議する行進が行われた。
韓国ではいまセクハラを受けた女性たちの告発が相次ぎ
政界・財界・芸能界を揺るがしている。
中でも大きく報道されたのが
次の大統領候補と目されていた政治家のセクハラ疑惑。
与党に所属しチュンチョン南道の知事を務めたアン・ヒジョン氏が
3月 セクハラの疑惑で検察に出頭したのである。
きっかけは知事の元女性秘書がニュース番組に実名で出演したことだった。
(アン前知事の秘書)
「望んだ関係ではなかったのですが拒否できませんでした。
 できるかぎり拒絶しました。
 知事も分かっていると思います。」
女性はアン氏から数回にわたって制定暴行を受けたことを告発。
それは「MeToo運動」が始まったあとも続いたと言う。
アン氏は番組放送の翌日に知事を辞任。
有力な次期大統領候補の思わぬ失脚は政界に大きな衝撃を与えた。
今年1月 女性検察官の元上司への告発をきっかけに活発になった韓国での「MeToo運動」。
ネット上に投稿されたメッセージは1か月間に約66万件にのぼった。
告発は映画監督や俳優 漫画家などにもおよび
現在も収まる気配はない。
韓国で吹き荒れる「MeToo」の嵐。
告発が相次いでいる背景には
セクハラの問題が組織の中では解決しにくい韓国特有の事情がある。
会社で役員秘書をしていた20代の女性。
2年間にわたって日常的に体を触られるなど役員からセクハラを受けたと言う。
人事部に助けを求めたが取り合ってもらえず
去年会社を辞めた。
(元役員秘書の女性)
「人事部は対処や加害者への処分もせず
 私がセクハラを表沙汰にすると私を逆に訴えると脅迫したのです。」
退職後も失意の日々を送っていたという女性は「MeToo運動」に励まされたと話す。
(元役員秘書の女性)
「私もただ沈黙しているよりは
 勇気を出して「MeToo運動」に賛同して
 加害者を実名で公表するつもりです。」
被害を訴えても解決が難しい実態は
韓国政府が行ったセクハラに関するアンケートでも明らかになっている。
会社などに設置されたセクハラの相談窓口に相談した人のうち
54%の人が「対応に不満がある」と回答。
職場の差別に詳しい中央大学のイ・ビョンフン教授。
伝統的に上下関係が非常に厳しい韓国社会では
内部に設けた相談窓口が十分機能せず
女性たちのセクハラへの不満が今回の「MeToo運動」につながったと言う。
さらにパク・クネ前大統領を退陣に追い込んだ大規模なデモ
いわゆる“ろうそく集会”によって市民運動の影響力が高まった背景もあると考えている。
(中央大学 イ・ビョンフン教授)
「ろうそく集会は大統領の打倒に加え
 韓国を変える動きでした。
 その流れが男女の関係や慣行を見直す動きへと移るなかで
 「MeToo運動」という別の動きと結びついたのだと思います。」
今回の運動を受けて韓国政府は新たな政策に乗り出した。
女性家族省は3月からセクハラの専用相談窓口を設置。
組織の内部では解決が難しい相談も受け付け
加害者の処分だけでなく
セクハラが起きた組織の意識改革にも取り組んでいくとしている。
(韓国女性人権振興センター ピョン・ヒョンジュ本部長)
「被害者が職場でさらに被害を受けないように
 相談の受付で終わるのではなく
 問題のある組織の体質を変えるために助言したり
 法的に処罰したりします。」
勇気を出して声をあげ始めた女性たち。
その意識の変化が今後どう韓国社会に影響を及ぼしていくのか注目である。



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