日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

日本にはすごい花がある

2018-04-15 07:00:00 | 編集手帳

3月27日 編集手帳

 

 ソメイヨシノが学術的に桜の新種として認められたのは1900年(明治33年)だという。
とすれば、
それまでの花見はどんな桜をめでていたのだろう?

むかしの桜の名所は、
「群桜(むれざくら)」だったと作家の藤井青銅さんが近著で述べている。
オオシマザクラ、
エドヒガン、
ヤマザクラ…といった種が同じ場所に植えられた。
咲く時期や彩りも異なるため、
約1か月間、
のんびりと楽しむのが元来の花見であったという(『「日本の伝統」の正体』柏書房)

ソメイヨシノは見頃が1週間つづくかどうか。
せきたてられる気持ちが、
年に一度の花見を一層盛り上げるのかもしれない。

平日のきのうきょうは多くの地域で職場の花見がピークだろう。
かなりの早咲きとなった関東では慌てた人も多いようだ。
東京・隅田川の屋形船からの桜見物は団体予約の前倒しが相次ぎ、
大わらわだそうである。

<桜咲けばスーパーに買ふこんにやくもさくらまつりの中にはなやぐ>(馬場あき子)。
桜の花が咲くと世の中全体がはなやいで、
買い物かごの無骨なこんにゃくでさえ、
浮き浮きして見えるらしい。
日本にはすごい花がある。


コメント

ナイルの水は誰のもの?エチオピアのダム建設 エジプトが水不足を懸念

2018-04-14 07:00:00 | 報道/ニュース

7月19日 キャッチ!ワールドEYES


ナイル川は
長さ約6,700kmにおよび
地中海に流れ出るまで11カ国(エジプト・スーダン・南スーダン・エチオピア・エリトリア・ウガンダ・コンゴ・タンザニア・ケニア・ブルンジ・ルワンダ)を通り抜ける世界最大級の川である。
エチオピアが
スーダンとの国境近くナイル川の支流に建設を進めている水力発電用ダム
グランド・エチオピア・ルネサンス・ダム。
2011年に建設が始まり
総工費は日本円にして約4,300億円。
高さ170m
全長1,8kmにも及ぶダムで
完成すればアフリカ最大のダムとなる。
建設はすでに3分の2まで進んでおり今年中にも完成すると見られている。
エチオピアは“ダムは水力発電用で下流に影響はない”と主張しているが
エジプトはナイル川の水量の低下に強い懸念を示している。

かつて「エジプトはナイルのたまもの」と言われていた。
しかし今エジプトは水の利用を制限される事態に直面している。
2015年 エチオピアを訪れたエジプトのシシ大統領は
両国関係が良好であるとアピールしつつも
ダム建設への懸念は隠しきれなかった。
(エジプト シシ大統領)
「エチオピアは新たなダムによって発展するでしょう。
 しかしエジプトはナイルなくしては立ち行かないのです。」
専門家はこの懸念は大きいと言う。
(英シンクタンク ギー・ジョビンズ氏)
「エジプトは水の99%はナイル川に依存していた。
 農業から飲み水まであらゆる水の利用はナイル川に左右される。
 だからエジプトは
 エチオピアのダムから水が放出される量について細心の注意を払っている。」
エチオピアのダムがエジプトの農業や生活にどの程度影響を与えるか
誰も知らない。
「ナイル川の水の量が減り工業排水の割合が増えると水質が悪化する」と専門家は警告する。
(英シンクタンク ギー・ジョビンズ氏)
「もしナイル川の水の量が減ったら
 汚染物質を海へ流すナイル川の能力が低下するでしょう。」
エジプトの外相は今年1月アフリカ連合のサミットの席上で
エチオピアとスーダンの高官らとダムの運用をめぐり会談を行った。
主要な対立点はエジプトの取水量への影響である。
ジャーナリストのカッセム氏は
ダムの貯水地に水をためる期間が12年なのか3年なのかが重要だと指摘する。
(ジャーナリスト ヒシャム・カッセム氏)
「話し合いの合意が得られず平行線のまま
 悲劇的な結末を迎えるでしょう。
 なぜなら
 エジプトの農地の多くに水がいきわたらず
 干ばつが広がり 
 農業に深刻な影響を及ぼすことになるから。」
ムバラク元大統領が「ナイル川に作るダムはすべて破壊する」と警告して
戦争の脅威が高まったこともあったが
カッセム氏は「武力行使は最悪の選択肢だ」と指摘する。
(ジャーナリスト ヒシャム・カッセム氏)
「エジプトが武力行使すれば
 エジプトの歴史の中で最初の
 そして最大の外交上の失敗となる。」
シシ大統領は
「今のところ危機的な状況にはなく
 話し合いのための外交努力は続けている」と主張している。

多くの国を通過するナイル川をめぐっては
これまでも流域国の間で対立と緊張が繰り返されてきたが
背景にはナイル川をめぐる協定の存在がある。
現在のナイル川の水の利用を規定する協定は
1959年にエジプトと隣国のスーダンとの間で結ばれた協定がもととなっている。
この協定では
ナイル川の年間水量を840億㎥と規定。
これは日本全体の年間水使用量を上回る量である。
そしてそこから蒸発による損失分を除き
残りの75%をエジプトが
25%をスーダンが
取水権を持つと定めている。
“それ以外の流域国がナイル川で開発を行なう場合は
 エジプトとスーダンの合意が必要である”としている。
この協定により事実上ナイル川の利用や開発を制限されてきたことに対し
エチオピアなど上流の国々は長年不満をつのらせてきた。
(中東調査会 研究員 西舘康平さん)
「エチオピアや上流国がダム建設を推進した背景には
 人口増加やケニアの経済発展
 降雨による農業から河川の水を利用した灌がいへの移行がある。
 この一環としてエチオピアでは
 ダムの水力発電で生産した電力を近隣諸国に輸出する計画がある。
 すでにスーダン・ジブチ・ケニアとは契約が交わされ送電網の配備が進んでいる。
 ルネサンス・ダムもこの計画の1つであり
 国内では近代化の象徴として考えられている。
 こうした上流国の台頭を受けて
 流域国の間で新しい枠組み作りの機運が生まれる。
 この機運が生まれた1999年にNBI=Nile Basin Initiativeが作られた。
 NBIの中では
 ナイル川を開発する権利や各国の取水量を規定する協定を2010年まで交渉されてきた。
 エジプトとスーダンが59年協定で定められた水量が保証されないとして交渉継続を要求したのに対し
 複数の上流国が調印を強行したため
 エジプトがNBIの参加を凍結したという経緯がある。
 エジプトの取水制限の要請を受けて
 スーダンはエジプトとエチオピアの仲介をしてきたが
 2016年以降ルネサンス・ダムの建設を明確に指示するようになる。
 70~80年代はエジプトが“ナイル川の覇権”を握っていると言われてきた。
 こうしたエジプトの優位を59年協定以降上流国は覆せないということが物語ってきた。
 しかしこうしたパワーバランスはNBIで変化した。
 ルネサンス・ダムの建設はパワーバランスを変化させる局面になるかもしれない。」




コメント

なぜ上がらない?私たちの給料 ②人材投資で業績・給料アップを

2018-04-13 07:00:00 | 経済フロントライン

3月18日 経済フロントライン


大手化粧品メーカー 資生堂。
従業員はグループ全体で約46,000人にのぼる。
3月5日に発表した新たな経営計画で
人材投資に今後3年間で140億円を投じると打ち出した。
(資生堂 魚谷雅彦社長)
「本気になって人材の成長投資をはかりたい。
 これなくして世界で勝てる企業にはなりえない。」
去年1年間の営業利益は過去最高の804億円を記録した。
業績が好調ななか
賃上げだけでなく社員のスキルアップにもお金を使うことに決めたのである。
すでに始めている取り組みがある。
英語学習の支援である。
営業だけでなく総務や人事など本社で働く人たちを対象に去年から実施している。
社外の英会話スクールで1回80分のレッスンなどを
勤務時間内に無料で受けることができる。
1,700人が利用している。
(社員)
「勤務時間内で会社がこういう機会を与えてくれるのはありがたい。」
「成長意欲はこういう取り組みで非常に刺激されている。」
さらに若手や中堅の社員には希望すればMBAを取得するチャンスも与えている。
営業担当の西上直樹さん(30)。
仕事のあとや休日に早稲田大学のビジネススクールに通っている。
通常なら2年間で300円余かかる受講料は会社負担。
刺客を取得したあとは海外の拠点で経営に携わりたいと考えている。
(西上直樹さん)
「ビジネススクールには弁茶企業の社長も役員もいる。
 仕事の内容も価値観も違う。
 そこを聞くことによって
 新たなビジネスアイデアとか
 提案したい内容が変わってきたと肌で感じている。」
学びの成果はすでに仕事にも生かされている。
ふだんはスーパーマーケットなどの営業を担当している西上さん。
アンケートなど新たにマーケティング活動も行うようにした。
ビジネススクールで他の会社の人と議論するなかで
新しいことに挑戦する重要性に気づいたと言う。
(西上直樹さん)
「自分のスキルが上がっているのもわかるし
 知らない世界に飛び込んでいって
 成果に結び付けられたらと思う。」
魚谷雅彦社長は
社員教育にお金を使うことで業績が向上し
結果として社員自身の給料アップにもつながると考えている。
(資生堂 魚谷雅彦社長)
「人件費もコストや費用ではなく投資である。
 投資なのでしっかりそれを増やして
 人が成長して企業が成長できれば
 投資が十分価値を生めばリターンが十分あると考える。
 発想を大きく変えていく時期ではないか。」
投資家の間では企業が人材育成にお金を使っているかを重要視する動きが始まっている。
約500社の日本企業に投資を行なっている外資系の資産運用会社。
投資家の視点から経営者へ助言などを行なっている三瓶裕喜さん。
この日 投資先である大手の情報システム会社の経営者と面談を行った。
「売上高は順調に右肩上がりだが
 社員数がほとんど伸びていないので
 1人あたりの生産性が改善している。」
この会社は社員の資格取得を支援する制度を導入。
社員1人あたりの売り上げは5年で約2割伸び
給料も上がっている。
三瓶さんは
競争が激しいIT業界で今後も成長するためにはより一層社員への投資が必要だと訴えた。
「御社のビジネスモデルがうまく回っていくように
 人材投資は成果が実るので続けていただきたい。」
(大塚商会 大塚祐司社長)
「投資家は人材投資を長く見てもらえるところが多い。
 助かっている。」
しかしこうした企業はまだ少数。
三瓶さんは人材投資に力を入れるようアドバイスを続けていきたいと考えている。
(フィデリティ投信 三瓶裕喜さん)
「上場企業が3,000社ある。
 その中で人材投資は残念ながらほとんどできていない。
 3年 5年考えて社員1人1人が成長することによって得られるものに
 もっと視点を移していく。」




コメント

なぜ上がらない?私たちの給料 ①賃上げは難しい?

2018-04-12 07:00:00 | 経済フロントライン

3月18日 経済フロントライン


埼玉県に本社がある曙ブレーキ工業。
ブレーキの生産で世界有数のシェアを誇り
グループの従業員は9,000人を超える。
売り上げの7割が海外。
イギリスの超高級スポーツカーに使われるブレーキや
アメリカのGMゼネラルモーターズ向けの製品など
円安を追い風にこの5年で売り上げは約3割アップした。
社長の信元久隆さん、
当初から3%を超える賃上げは容易ではないと考えていた。
その理由は世界で加速するEVシフト。
自動車の電動化でブレーキに求められる技術も急速に変わりつつある。
これまでのガソリン車のブレーキは
油圧を使ってブレーキを動かし車輪を止める仕組みである。
今後 電動化が進めば
油圧ではなく電気を使ったシステムに置き換わるとされている。
世界中のライバル企業との開発競争に勝つために積極的な設備投資が必要で
「人件費を大幅に増やす余裕はない」と信元さんは言う。
(曙ブレーキ工業 信元久隆社長)
「今の状況を考えていくと
 自動車産業自体が変わっていくし
 先に対する対応をどうするかを今からやっておかないと
 先もなくなってきてしまう。
 危機感が非常に強い。」
3月7日 賃上げをめぐって経営側と労働組合との間で詰めの交渉が行われた。
労働組合の委員長 尾釜芳昭さん。
「我々としては制度的昇給はあるものの
 全体の底上げ
 そういったところも必要。」
実は労働組合側も当初から“大幅な賃上げ要求は難しい”と判断していた。
経営側に要求した賃上げ率は満額でも2,6%だった。
組合が給料の引き上げを強く求めないのは理由があった。
「2009年6月ですね。
 希望退職者を初めて募集した。」
2008年に起きたリーマンショック。
取引先の自動車メーカーの経営不振で
会社は巨額の赤字を記録した。
そして翌年 正社員約200人のリストラに踏み切ったのである。
これ以降 雇用の維持が最優先となり
賃上げ要求は会社の経営状況をより踏まえたものになっていったと言う。
(労働組合 尾釜芳昭中央執行委員長)
「当然会社がなければ従業員も雇用がないということになりますので
 賃金 一時金の要求もありますけどそういったところはバランスをとりながら
 組合のほうも考えていかなといけない。」
14日 経営側が回答を示した。
賃上げ率は月給ベースで去年を上回る2,3%で妥結。
激しいグローバル競争に直面する企業にとってぎりぎりの決断だった。
(曙ブレーキ工業 信元久隆社長)
「これでも無理した回答だったと思っている。
 労使が一緒になったやれると思うし
 やっていかなければいけない。」
一方 国内市場中心の企業も人口減少が進むなか賃上げに二の足を踏んでいる。
首都圏を中心に観光ツアーを手掛ける はとバス。
従業員約1,000人である。
専門知識を持つ社員による質の高いサービスを売りにしている。
景気の回復を追い風に利用者も増え
昨年度は93万人とバブル期の水準に達した。
この6年にわたり黒字経営を続けている。
しかし会社では“今後 客足は伸び悩む”と見ている。
人口減少の影響が避けられないと考えているからである。
(はとバス 黒瀬智弘経営本部長)
「国内での市場が今より拡大していくとの予測はどの企業もしていないだろう。
 どういう戦略をとっていくかがこれからの課題。」
いま会社は新たな収益の柱をつくろうとしている。
まず取り組んだのが訪日外国人客の獲得である。
日本の伝統文化を体験するツアーなど
1日20コースほどを運行。
しかし外国人客の獲得は容易ではない。
この日定員42人のバスに乗り込んだのはオーストラリア人の2人だけ。
外国人の利用者は思うように増えていない。
この会社では
格安で運行するライバル会社の出現などが理由だと見ている。
(加藤一久国際事業部長)
「外国人の客数をどんどん伸ばしていく計画だが
 非常に環境としても厳しくなってきているのかなと。」
この会社ではバス利用者の数が伸びなくなることを見越して
ホテル事業など多角化に取り組んでいる。
国内市場の縮小が見込まれる今
企業にとって大幅な賃上げは容易なことではない。
(はとバス 黒瀬智弘経営本部長)
「どれだけ賃上げができるかは一番大きな問題ですので
 会社としても可能な限り人材投資という点でも応えたいが
 現実の中でなかなか難しい。」




コメント

ゆずの種に新たな効果!

2018-04-11 07:00:00 | 報道/ニュース

3月17日 おはよう日本


高知県特産のゆず。
古くから“風邪をひきにくくなり健康に良い”と言われている。
その一方で果実に含まれる種はというと
かつてはほとんど使い道もなく
どちらかというと邪魔者扱いだった。
ゆずをジュースやポン酢などに加工した後に出る種の量は
年間数10トンにのぼる。
(馬路村農業協同組合 東谷組合長)
「産業廃棄物になりますので
 捨てるにも費用がかかる。」
高知大学医学部 臨床栄養学が専門の溝渕俊二教授。
注目したのはゆずの種から絞ったオイルである。
馬路村の農協が絞ったオイルを調べたところ
さまざまな効能が明らかになってきたと言う。
(高知大学医学部 溝渕俊二教授)
「今まで捨てられていたものが
 いろいろな作用があり
 有効利用できる。
 私たちもびっくりしている。」
研究グループが突き止めたのは
肝臓の脂肪の蓄積を抑える効果である。
実験では
栄養価が高いエサを食べて脂肪肝になったマウスに
ゆずの種のオイルを5か月間与え続けた。
すると
同じカロリーの食用油を与えたのに比べ
ゆずの種のオイルを与えたほうは脂肪の量が2割ほど少なくなっていた。
(高知大学医学部 溝渕俊二教授)
「ある意味 脂肪肝を抑えることができたと。
 悪性の脂肪肝で肝がんになることもある。
 そういったものに今後 予防的なことに
 ゆず種子オイルが働くような結果が得られていけば
 とてもいいかなと思う。」
さらに新たなこともわかった。
別の実験では
ゆずの種のオイルを与えたマウスの血液で
“長寿ホルモン”とも呼ばれるアディポネクチンが増えていたのである。
アディポネクチンは
脂肪を燃焼させて
糖尿病や動脈硬化など生活習慣病を改善する効果があるとされている。
(高知大学医学部 溝渕俊二教授)
「いろいろな現象がわかってきたんですけど
 実はどうしてそういう現象が起きるのか
 まだ私たちは突き止められていない。
 そういった意味ではこれから本当の研究が始まると思います。」
日本一のゆずの産地で
新たな可能性の研究が続けられている。




コメント

アフリカで繰り広げられる中国と台湾の攻防

2018-04-10 07:00:00 | 報道/ニュース

3月17日 おはよう日本


中国 習近平国家主席は絶大な権力を手にしようとしている。
その習主席が神経をとがらせているのが台湾である。
いま台湾を国家として扱う動きを徹底的に抑え込もうとしている。
中国で店舗を展開する日系企業のカタログで
国名の並ぶ地図に「台湾」の表記。
中国当局に廃棄を命じられた。
こうした圧力は遠く離れたアフリカにも及んでいる。

アフリカ ケニアで去年開通した鉄道。
総工費は約3,600億円。
建国以来最大のプロジェクトで
費用の大半は中国が拠出した。
サバンナの中に建設中の高層ビル。
国内外のIT企業を誘致する壮大な都市計画である。
中国はアフリカ各地で経済支援を通じて影響力を強めている。
とりわけアメリカ第一主義のトランプ政権発足以降
アフリカでは中国への期待が一層高まっている。
(市民)
「前はアメリカが強い影響力を持っていましたが
 いま最も大切な友人はもちろん中国です。」
中国の影響力は50年にわたり台湾と外交関係を保ってきた国にも及ぼうとしている。
アフリカ南部のスワジランド。
人口130万余。
日本の四国ほどの大きさの国である。
首都に去年オープンした国内最大級のスーパーマーケット。
中国人が経営している。
スワジランドにはいま次々と中国資本が進出し
貿易額はすでに台湾を上回っている。
(中国人経営者)
「スワジランドもそのうち中国と国交を結ぶでしょう。
 一帯一路もあるしね。」
一方の台湾はどのように外交関係を守ろうとしているのか。
力を入れてきたのが医療支援である。
台湾から派遣された医師たちが各地の村をまわり無料で診察している。
(市民)
「とても助かります。
 病院に行くお金はありませんから。」
支援は農業でも。
台湾からやって来た技術者がバナナの栽培指導を行い信頼関係を築き上げている。
(台湾からの技術者)
「支援を通じて友情も育んできたので
 スワジランドとはいい関係が続いてほしい。」
この日は台湾が外交関係を維持する上で欠かせない人物が出席するというイベントが開かれていた。
7万人もの女性が豊作を国王に感謝して3日間踊り続ける祭りである。
スワジランドで重要なお祭りのひとつである。
それを見守っているのが中央に腰かけている国王である。
スワジランドで絶対的な権力を誇る国王 ムスワティ3世。
12人以上の妻を持ち40人近い子どもがいると言われている。
百獣の王に例えて“ライオン・キング”と呼ばれている。
その近くには常に国王の動向を気にかける台湾の医師の姿があった。
台湾の医療チームの団長で国王の主治医の1人を務めている。
国王の外国訪問にも同行。
いわば国王の命を預かることで台湾への信頼の獲得に貢献している。
(台湾からの医師)
「我々は国王と密接に関わっています。
 国王と家族の健康を管理していますから
 医療活動の成功が外交関係の安定につながるのです。」
さらに国王の誕生日にはお祝いのケーキも。
台湾の女性が国王の好みに合わせて金色のケーキを丹精込めて作った。
世界各地ではいま中国が巨大な資金力で台湾の外交関係を次々と断ち切っている。
去年11月にはパナマが台湾と断交し中国と関係を樹立。 
スワジランドが中国になびくことはないのか。
(スワジランド 経済担当 ラミニ王子)
「中国から国交に関する提案があるかについてはコメントできない。
 たとえあったとしても台湾との関係はとても強固なものだと考えています。」
こうした現状に現地に駐在する台湾の外交官は警戒している。
(台湾 陳大使)
「中国大陸がほかのアフリカの国を通して
 スワジランドに政治的立場を変えるよう説得を試みました。
 中国大陸とつきあった方が台湾より多くのメリットがあるというのです。
 あれもこれも建ててくれたと。
 私に任務は関係を維持しいっそう緊密にすることです。」
台湾と正式に外交関係を結んでいる国は年々減り続け20カ国となっている。
今回の全人代でも中国の王毅外相は
台湾と外交関係を断つ国が相次いでいることについて
「時代の流れでありその勢いを阻むことはできない」と述べている。




コメント

アメリカ 都市の成長のカギは “新たな価値生む”企業

2018-04-09 07:00:00 | 報道/ニュース

3月15日 おはよう日本


アメリカの都市ごとのGDPの成長率を見ると
IT企業が集積するシリコンバレーやシアトルなど西海岸は伸びているが
近年 成長が目立ってきたのが南部の都市である。
アトランタではこれまでにない新しい価値を生みだすビジネスが次々と生まれ
都市の成長につながっている。

最新のコンピューターグラフィックスを駆使し全米大ヒットとなっている映画「ブラックパンサー」。
実はアトランタで制作された。
アトランタではいま街のいたる所で映画やドラマの撮影が行われている。
その数 年間300本以上。
制作費の最大30%を税額控除するという破格の優遇措置が多くの企業を引き付けている。
(商工会議所 幹部)
「アトランタは映画の製作現場としてナンバーワンです。
 ロサンゼルスやイギリスより選ばれるようになりました。」
さらにアトランタはIT企業の誘致にも熱心である。
とくに急速に増えているのが金融とITを融合させたフィンテック企業である。
融資の審査を自動化する新たなビジネスで業績を伸ばしている企業。
ビッグデータを活用した独自の審査で融資の限度額を計算。
わずか10分という早さである。
アトランタではこの10年ほどでフィンテック企業は約90社に増えた。
ニューヨークやカリフォルニアに次ぐ規模になっている。
(フィンテック企業 社長)
「アメリカの電子支払い取引の80%がアトランタの会社で行っています。」
なぜアトランタにIT企業が集積するのか。
それは大学をまき込んだIT人材の育成にある。
全米でトップクラスのジョージア工科大学。
ここでは大学内にIT系ベンチャー企業がオフィスを置いている。
その数 現在約50社。
大学内で起業しITの専門知識や資金調達の方法などを専門家から学ぶことができる。
(ITベンチャー企業 創業者)
「同じ考えややる気に満ちた人材がいて
 ビジネスや課題を話し合うことができます。」

一方で先端的な企業を生み出せない都市は成長に限界があることもわかってきた。
かつて自動車メーカーのゼネラルモーターズの工場があったウィスコンシン州ジェーンズビル。
閉鎖から10年。
かつての工場はそのままで
工場だけで1,200人が職を奪われたという経済危機の衝撃を今に伝えている。
地元の経済を復活させようと
市ではGMに変わる企業はないか地道に誘致を進めてきた。
こうした結果 雇用は回復。
失業率は全米平均4,1%を下回る2,7%。
(ジェーンズビル市 マーク・フレイタグ シティマネージャー)
「当初は誘致をお願いしても見向きもされませんでした。
 今では新しい企業が進出しはじめ
 GMの損失を吸収することができ
 街は急速に前進しています。」
しかし町にやって来たのはプラスチック容器の製造工場や配送センターなどだった。
町の現在の平均的な時給は約1,500円。
かつてGMの工場で働いていた従業員の賃金の半分程度である。
地元の高校には生活が苦しい家庭の生徒に日用品を寄付する部屋があった。
服や靴 食料などが棚いっぱいに並べられていて
今でも200人ほどの生徒が利用していると言う。
(デリ・イーストマン教諭)
「ほとんどの仕事は最低賃金だったり最低賃金より少し高いくらいです。
 データはよく見えても10年前に賃金と今の賃金は大きな差があります。」
夫が以前GMの向上に勤めていたタミー・ウィテカーさん。
3人の子どもがいるウィテカーさん。
工場の閉鎖後家族の状況は一変した。
(タミー・ウィテカーさん)
「生活費の支払いが厳しくなりました。
 フルタイムの仕事が見つけられず3つのアルバイトをかけ持ちしていました。」
企業誘致は進み経済は回復しているが
ウィテカーさんの生活は元には戻っていない。
(タミー・ウィテカーさん)
「給料は減っているけど生活費は上がっています。
 常にそれと戦っているのです。」



 

コメント

テキサスに“日本人街” その理由は?

2018-04-08 07:00:00 | 報道/ニュース

3月15日 おはよう日本


人口28万人の都市 テキサス州プレイノ。
ヒューレット・パッカードや大手百貨店JCペニーの本社があるが
これまで日本人にとってはあまりなじみのない町だった。
ところが去年 街なかに日系スーパーがオープン。
店内には日本のビールや松前漬け
日本から運ばれてきたシラス
日本から空輸したウニやタコ
さらに和牛や納豆まで豊富な食材をそろえていて
多くの日本人客でにぎわっている。
(客)
「アメリカ人はハンバーガーやピザが主食で
 味覚と合わなくて苦労した時があったが
 ここがあると聞いて安心した。」
スーパーができた理由はトヨタ自動車の進出である。
北米トヨタ本社ビルは横に長いのが特徴である。
敷地面積は東京ドーム8,5個分と広大である。
まるで大学のキャンパスのような新本社。
カリフォルニア ニューヨーク ケンタッキーに分散していたオフィスが集約された。
4,100人が勤務し
日本からの駐在員は100人ほど。
一見少なそうに感じるかもしれないが
続々と関連企業が進出していてこの町で暮らす日本人が増えている。
回転ずしや100円ショップのダイソーなどが次々とオープンしている。
美容院では日本人の美容師が。
(客)
「アメリカで生活している中でひとときのオアシスみたいな感じです。」
一般の商業施設の中には日本人向け学習塾。
今は50人ほど通っているが生徒はさらに増える見込みである。
(学習塾 井沢真吾さん)
「日本人が多くてビジネスチャンスというか
 親がトヨタの生徒ばかりではなくいろんな企業の子がいるので
 これからもどんどん入って来ると思う。」
トヨタがテキサス州に集約させた理由は
分散していたオフィスを集約するということのほかに
アメリカ国内の工場が近いところにあり便利なこと。
さらにテキサス州の税制優遇である。
アメリカでは企業の南部シフトが鮮明になっていて
北と南
都市と都市の間での格差が表面化してきている。


コメント

中国 国家主席 任期撤廃の波紋

2018-04-07 07:00:00 | 報道/ニュース

3月14日 キャッチ!ワールドEYES


中国 全人代で
国家主席の任期を2期10年までと定めた憲法の改正案が圧倒的多数の賛成で採択され
習近平国家主席が無期限にとどまることが可能となった。
国営メディアは賛成する声のみを伝える一方
過度な権力が集中することへの懸念が一部で広がっている。

共産党の機関紙 人民日報と国営の中国中央テレビが共同制作した“人民の領袖”という動画。
2月にインターネットで公開された。
文化大革命のときに農村に送られた習主席が庶民のため政治の道を志したという原点を紹介。
すべての人民に尽くす心があるのなら
地位が高くなっても庶民への思いを決して忘れない
習主席が常に国民を思って国を率いてきたことを強調。
“指導者”を意味しかつて毛沢東にしか使われなかった“領袖”という言葉を使い賛美した。
習主席をたたえる宣伝が盛んに行われるなか
その任期の撤廃が焦点となった今回の全人代。
国営メディアは
憲法の改正案を審議する場で賛成意見のみが相次いだことを伝えた。
習主席は憲法改正案に完全に賛成する考えを示した。
「賛成する」
「賛成する」
「賛成する」
そして3月11日
過去30年以上守られてきた
2期10年の主席の任期の制限を撤廃する憲法の改正案が圧倒的な賛成で採択された。
習主席 肝いりの開発プロフェクトが進められる地域の住民からも今回の決定を支持する声が聞かれる。
北京中心部から南へ100km余の河北省雄安。
ここで30年以上前から焦点を営む張春田さん。
地元では去年 習主席が“千年の大計画”として主導する大規模なシンクプロフェクトが本格的に始動。
総額100兆円を超えるとも言われる投資で
巨大都市圏を構築するこの計画により経済の活性化が見込まれている。
張さんの月の収入もすでに4万円近くとなり以前の2倍以上に増えたと言う。
(商店主 張春田さん)
「習主席の政策はすばらしいです。」
3人の子どもを持つ張さん。
仕事のため北京や深圳に出て行ったが
習主席が引き続きトップとして開発を推し進めれば
こどもたちが地元に戻ってこられるまでに町が発展すると期待している。
(商店主 張春田さん)
「国家主席の任期を撤廃するという憲法改正は
 今後の私たちの国や国民にとって良いことだと思います。」
賛成意見がある一方で
インターネット上では任期撤廃について“独裁”をしようとしているなどと批判的な意見も出ている。
“今回の決定が歴史に逆行している”と暗に指摘する
バックする車に注意を呼びかける動画も登場。
きびしい検閲をかいくぐろうとしたが中国では次々と削除された。
情報統制が強まるなか実名で反対を表明している知識人もいる。
中国共産党系の新聞「氷点週刊」の編集責任者を務めた李大同さんである。
任期撤廃の方針が放送された翌日の2月26日
反対意見をSNSに発表。
検閲に引っかかったが文書を写真に写してなんとか掲載したと言う。
(「氷点週刊」元編集者 李大同さん)
「政府に反抗・反対するためです。
 “すべての人が賛成している”と習近平氏に認識させないための反対です。」
すでに写真も検閲され広く公開できなくなったが
賛同する人が相次ぎ
一時全国で転載された。
言論の自由を重視しかつて中国の歴史教科書を批判した論文を掲載したことで
新聞の編集責任者の職を解任された李さん。
“文化大革命の苦難を経て制定された人気の規定を撤廃すれば大きな禍根を残す”と指摘。
“習主席の方針に仮に誤りがあっても誰も正すことができず
制度上 任期の制約もなくなることで
政治体制は毛沢東の時代の不安定なものに逆戻りする”と警鐘を鳴らす。
(「氷点週刊」元編集責任者 李大同さん)
「世界唯一の“偉大な領袖”かのように共産党内では習氏をもてはやしています。
 党はバランスを失って危険です。
 習氏の言うことがすべてとなっています。」



コメント

「銀河鉄道999」新たな冒険の旅へ

2018-04-06 07:00:00 | 報道/ニュース

3月14日 おはよう日本


漫画家 松本零士さん。
「銀河鉄道999」の漫画は長年中断していたが
先日 新作が発表された。
きっかけは松本さんが今年1月に80歳を迎えたことにあった。

1977年から少年漫画誌で連載された「銀河鉄道999」。
のちにテレビアニメや映画にもなり大ヒットした。
主人公の星野哲郎が謎の美女メーテルとともに宇宙を走る999号に乗り
成長していく物語である。
そして先日「999」の新作漫画が
松本さんの80歳を記念して発売された書籍で発表された。
実に11年ぶりの新作である。
銀河系内に出現した暗黒トンネル。
その謎を探るため鉄郎とメーテルは999号に乗り込む。
さらにそこに
松本さんの別の作品の人気キャラクターである
宇宙海賊キャプテン・ハーロックやクイーン・エメラルダスが登場する。
彼らがともにトンネルの謎に挑むため新たな旅に出るという物語である。
(松本零士さん)
「999はまだ終わりじゃなかったんですよ。
 途中でやめていただけでまだ終わりではないんですよ。
 999もキャプテンハーロックもエメラルダスも実はひとつの物語なんです。
 これを全部まとめて描くと生涯が終わりそうになるので描くのが嫌だったんです。
 80歳にちょうどなりましたから
 もうそろそろいいかって始めたわけです。」
別々の作品の主人公であるキャラクターたちが肩を並べて旅にでる。
松本さんが長年あたため続けていたテーマだったと言う。
(松本零士さん)
「そういうふうにお互い支え合って生きていくのが人生なんだと思っているんです。
 一緒に旅しようと
 同じ列車に乗ってね。
 夢とか人生というのは無限大なので
 力の限り頑張ろうよと。
 お互いに走り続ける。
 自分への思いに
 生涯をかけた夢の中を走り続ける。
 終わりのない旅なんだという
 そういう思いで描いているわけです。」
鉄郎たちが新たな冒険に出発するところが描かれている今回の新作。
松本さんは集大成に向け再び走り始めたところだと言う。
(松本零士さん)
「“999”というのはまだ未完成
 青春という意味なんですよ。
 1,000になる1歩手前ですよね
 大人になる。
 自分の未来を楽しみたいと思いながら描いているわけですよ。
 まだまだいろんな希望を持って頑張りたいと思います。
 とにかくここまで生きてまだ元気に仕事をしているんだから
 まだまだ へたばるもんかという思いで生きているわけ。」
「地球をこの目で見るというのがひとつの夢なんです。
 願わくは月面や火星の表面に立ちたいというのが夢なんです。
 それまでは頑張るぞと思っているんです。
 まだまだくたばるわけにはいかないんです。」



コメント

広島 安芸高田 人口減少に外国人の移住促す計画

2018-04-05 07:00:00 | 報道/ニュース

3月14日 おはよう日本


広島県安芸高田市。
人口は2万9,000人余で5年前と比べ1,700人ほど減少している。
市ではその対策の1つとして外国人の移住促進のあり方について検討。
新たな町づくりの計画をまとめた。
計画では
地元の経済団体と連携して外国人の労働者を受け入れるなどして
2022年度までに市内に住む外国人の半数に定住してもらうことや
留学生が介護やITについて学ぶ専門学校を誘致し
卒業後も地域で働く環境づくりを進めることなどを盛り込んだ。
(広島安芸高田市 浜田一義市長)
「日本 広島に来たい
 安芸高田がいいと
 言ってもらう仕組みづくり。
 そのためには宗教 生活様式
 思いやりを持たないといけないと思う。
 上手くいけば来てくれるのでは。」
外国人政策に詳しい専門家によると
人口減少対策として自治体の計画で外国人の移住促進を掲げたのは全国で初めてだということである。
人口減少対策として外国人に期待を寄せる動きは他にも広がっている。
島根県の出雲市役所。
市内の大手部品メーカーの工場で働く外国人急増しているため
市役所での外国語表記の徹底
相談態勢も強化し
外国人が住みやすい街づくりを進めることで定住を促そうとしている。
全国1,741市区町村のうち
去年までの4年間で外国人が増えているのは約75%にのぼり
外国人は地方でも増加している。
地方で進むこうした現状に専門家は国の対応も急務だと指摘する。
(明治大学 山脇啓造教授)
「国がどう社会を築くかという外国人受け入れのビジョンもない。
 体制整備ができていないのが現状。
 国の体制整備が急がれると思う。」




コメント

花笑み 北上中

2018-04-04 07:00:00 | 編集手帳

3月25日 編集手帳

 

 三分咲きとか五分咲きとか、
桜の開花を「数値化するのは無理な話」だという。
木は一本ごとに異なり、
見る人の感じ方も様々だ。
「ほころびかけてきた」
「笑いかけてるな」。
京の桜守(さくらもり)、
16代目佐野藤右衛門さんは代わりにそんな言い回しを使うらしい。

笑いかけ、
とは何と味わい深い表現か。
辞書には「花笑み」との項目もある。
花風、
花めく、
花明かり…。
春、
たおやかな日本語に改めて感じ入る。

その名にも祈りや思いがにじむ。
浪分(なみわけ)桜。
東日本大震災の記憶を伝えるために、
宮城の主婦らが毎春、
津波到達地点で植樹している。
5回目の今年は石巻など3市町で植えた。

木は佐野さんが無償で提供する。
祇園の夜桜として知られる京都・円山公園の枝垂れ桜の種から育てたものだ。
ソメイヨシノに比べて格段に寿命が長い。
土地に根付けば、
1000年でも花を咲かせるのだという。

人が桜にひかれるのは眺める度、
うれしかったり悲しかったり、
共に刻んだ記憶がよみがえるからかもしれない。
<さまざまの事おもひ出す桜かな>(芭蕉)。
5月半ばの北海道・釧路まで、
笑顔がゆっくりと列島を北上する。


コメント

映画 「ビハインド・ザ・コーヴ」

2018-04-03 07:00:00 | 編集手帳

3月22日 編集手帳

 

 米アカデミー賞を受賞したドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」が、
日本の一部映画館で上映中止に追い込まれた8年前の騒動は記憶に新しい。

和歌山県太地町のイルカ漁を“告発”した映画で、
内容が反日的だと反発した団体が街宣活動を予告した。
しかし、
作品に批判があるのなら、
言論表現を通じて反論するのが民主主義社会の原則である。

「ザ・コーヴ」の主張に異を唱えた映画「ビハインド・ザ・コーヴ」(八木景子監督)が今、
米国の動画配信大手などを通じて世界に提供されている。
「日頃は静かな日本人が声を上げた」と注目された。
先月のロンドン・フィルムメーカー国際映画祭でも受賞作に選ばれた。

監督は作品の中でイルカ漁の批判者に、
なぜ食文化の違いを理解しないのかと疑問をぶつけていく。
「問題への個人的感情は別として、
 物事には常に二つの見方があることに気づかされる」と評した海外メディアもある。

食文化から歴史認識まで様々な分野で世界への発信が問われている。
相手に真摯(しんし)に向き合い、
疑問点は鋭く突く。
人々の心に届くのは、
そんなしなやかなメッセージだろう。


コメント

「そだねー」の商標登録?

2018-04-02 07:00:00 | 編集手帳

3月23日 編集手帳

 

 1934年(昭和9年)の出来事という。
内務省が徳田秋声、
島崎藤村、
菊池寛ら名だたる作家を招いて宴席を開いた。

文学を統制する「文芸院」創設のもくろみに、
ただちに異を唱えたのは徳田秋声だった。
「日本の文学は庶民の間で生まれ、
 政府の保護など受けずに育ってきた。
 保護するといわれても信用できません。
 放っておいてもらいたい」。
この発言が官僚をひるませたといわれる。

やや大げさな逸話を引いた。
表現の自由がどうという問題ではないにしても、
北海道に「放っておいて」と思う人は少なくないだろう。
道内の菓子企業が「そだねー」の商標登録を出願したという。

認知度は目下マックスに違いない。
ご存じ平昌五輪で称賛を浴びたカーリング女子、
LS北見の選手らが口にした地元なまりの言葉である。
企業は言う。
「道外業者に商標登録されトラブルになることを防ぐ目的もある。
 弊社に申請すれば自由に使える仕組みにしたい」。
そこに一筋の道理があるとしても、
どうだろう。

もとをただせば持ち主は、
温かな響きのこもる言葉を育んだ庶民である。
素直に、
そだねーと頷(うなず)きがたい。


コメント

暴力根絶をめざす取り組み

2018-04-01 07:00:00 | 編集手帳

3月21日 編集手帳

 

 ベトナムのことわざという。
<剣には二枚の刃、
 人の口には百枚の刃>。
もう何か月になるだろうか。
相撲協会と貴乃花親方が険悪な関係になってからというもの、
親方の言動を耳にするたびコラムに引きそうになった。

それはそうと、
思い起こせば事情聴取を拒むなど、
あまりに何も言わないせいで世間を困惑させた時期もある。
それがどうだろう。
弟子の十両・貴公俊(たかよしとし)(20)の暴行事件が起こった後、
親方には明らかな変化がうかがえよう。

「深刻なことです」
「言い訳がつきません」。
記者に囲まれながら、
久しぶりに“刃”のない言葉で語る姿をテレビで拝見した。

今場所早々から無断欠勤を繰り返すという不可解な態度も影を潜めたか。
協会に謝罪し事情聴取も長時間にわたり受けたという。
師弟とも処分は免れないものの、
せめてもの慰めは暴行を受けた付け人のけがが軽いことだろう。

これを機に協会と歩みよって真の暴力根絶をめざす取り組みをファンは望んでいよう。
なにせこの数か月間に被害者、
加害者の両方の側を経験したのだから。
むろんいい話ではないが、
今のところは不思議とほっとする。


コメント