記憶探偵〜益田啓一郎のブログ(旧博多湾つれづれ紀行)

古写真古地図から街の歴史逸話を発掘する日々。ブラタモリ案内人等、地域の魅力発掘!まち巡りを綴ります。

「科学」と「学習」の休刊に思うこと。

2009年12月10日 02時09分33秒 | 福博まちの記憶
 学研の「科学」と「学習」が休刊と聞いて、少子化の波&出版不況の影響が
ここまで来たことが残念。戦後、学習雑誌として誕生した「学習」は、広島図
書が同時期に創刊した「銀の鈴」と並んで、小学生向け学習雑誌の先駆けであ
った。当初は「銀の鈴」が出版界の発行記録を塗り替える勢いだったが、昭和
28年に発行元の倒産により廃刊、伝説の雑誌になった。

 私の世代は「◯年の科学」「◯年の学習」を、毎月学校で受け取っていた最
後の世代だと思う。同じ時期、福岡や北九州では既に自宅へ届ける形態となっ
ていたようだが、田舎で育った私はずっと学校で休み時間に購入していた。親
は「学習」を勧めるのだが、子ども達には圧倒的に「科学」の方が人気があっ
た。恐竜の模型、実験セットなど子どもにとっては「科学」の付録が魅力的だ
った。小学校の6年間、他に雑誌などは買ってもらえなかったが、「学習」だ
けはずっと買ってもらえた。「科学」の付録を得意そうに掲げる友人がちょっ
ぴり羨ましかったことを憶えている。

 「学習」の付録は、今から思えば私の興味や進んできた道の基礎となってい
るのは明らかだ。石工で作る貨幣セット、歴史マンガ、偉人伝などいずれもこ
の本から興味を受けた。大人になった今、いわゆる大人買いで「大人の科学」
を何度か購入し、子どもの頃に憧れた付録づくりを楽しんできた。休刊を惜し
む声も多いだろうなと思う。

 伝説となった「銀の鈴」は、私の母の世代が子どもの頃に買ってもらってい
たそうだ。古本屋などで見かけると購入し、20冊ほど所有している。初期の
「学習」も何冊か所有、いずれも素朴な中に味わいのある絵やイラストが添え
られて、それを眺めるだけでも楽しい。「昭和」をテーマにした企画展で何度
か展示をしてきたが、「懐かしい」と喜んでくれる方も多い。

 「銀の鈴」を発行していた広島図書は、ライフワークで研究している吉田初
三郎に、幻の英文タブロイド誌「HIROSHIMA」を依頼した会社である。世界に
被爆地広島の実情を紹介するために制作された。時期を考えれば、これも貴重
な本であり、国内には7冊程度しか遺っていない。そのうちの1冊は私が数年
前に入手、昨年の初三郎展の際にも展示した。

今日の写真は、こちらも九大キャンパスの移転で衰退が進む箱崎商店街。
悲しいかな、撮影散策に訪れるたびに旧家や商店が消えていく。
そんな中、田舎で消えてしまった子ども達が放課後に路地や公園で元気に
遊ぶ姿が、まだまだ箱崎にはある。路地もまだまだ活きていて、近所の
おばちゃんと遭遇してきちんと挨拶する子どもも多い。そんな一コマ。

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