たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

(秩父)大平山の北尾根は他とはちょっと勝手が違う尾根だった。

2018年05月30日 | 秩父の山
◎2018年5月26日(土)

駐車地(6:07)……ネイチャーランド(6:17)……大久保林道(6:30)……林道終点・バイク置場(6:42)……作業小屋上(7:09)……725m休憩(7:23~7:32)……廃作業小屋(7:49)……つぶれた作業小屋(7:53)……810m国有林看板(7:55)……730m沢に出る(8:02)……720m北尾根取り付き(8:08)……900m休憩(8:41~8:50)……1160m休憩(9:31~9:38)……1350m休憩(10:12~10:21)……1580m一般コース合流(11:05)……1603m大平山(11:08~11:39)……大クビレ(11:46)……1480m林道に出る(11:52)……1270m林道終点(12:54~13:10)……800mつぶれた作業小屋(13:56~14:12)……作業小屋(14:37~14:44)……休憩(14:51~14:58)……550m林道終点(15:17)……430m駐車地(15:45)
※都合9時間38分となるが、うち、休憩に1時間28分費やし、さらに無数の立ち休みが加わっている。山中で吸ったタバコは計8本。結構なストレス歩きになった。

 大平山の北尾根。先行予約だけ入れておいて、いつまで経ってもグズグズして歩かないのでは、同じく北尾根に興味を持つHIDEJIさんとふみふみぃさんに対して失礼だろう。そろそろ重い腰を上げようか。実のところ、挙手はしたものの、まったく自信がないのが本当のところで、前日に改めて十津川村さんの『秩父藪尾根単独行』を読むと(ここでは「フキアゲ沢左岸の尾根」としてあるが)、取り付きは「えげつないほどの急斜面だ」と記されていた。読まなきゃよかった。実はこの北尾根、いつかはと思いつつ10年経過になっていた。そういえば、ハイトスさんも北尾根を歩いてみたいとおっしゃっていたなぁ。
 気負ったせいか、4時起床のつもりが2時半に目が覚め、睡眠時間は3時間。それきり寝られずの睡眠不足。これでは前夜の酒も抜け切らず、歯磨きしても酒臭い。体調はすこぶる悪い状態で4時半前に家を出る。すぐにコンビニに寄ってコーヒーを飲み、幾分、気分的には目覚めたが、今度は下り調の腹具合が追い打ちをかけてくる。途中の道の駅に2回寄る。運転しながら、引き返しの言い訳を考えたりもしたが、手ごろな理由はボーっとした頭には思い浮かばない。皆野の「天空のポピー園」でごまかそうかとまで考えた。それでいて、今日は、北尾根から大平山に出たら、帰路のルートは赤岩ノ頭の先から北東尾根(『藪紀行』では「東尾根」)を下ってみようか、なんて調子の良いことを思ったりもしている。

 いつもなら閉じているネイチャーランド方面のゲートが開いていた。これはラッキーだ。ゲートから歩くのでは地味な上りが続き、相応にムダな労力になる。さらに渡った橋(大久保橋?)の先の路肩に駐車し準備をする。今日は水を2リットルも持ったから普段よりも荷が重く感じる。ついでだが、瀑泉さんの熊除けスプレー。物欲の塊の自分は早速、アマゾンから入手し、いつでも噴射できる態勢にと、ヒモを付けてシャツにフックし、ボタンの隙間から腹に入れた。遭ったら恐いが、早速に試してみたい思いはある。これまでのスプレーでは、ザックから取り出す手続きをしている間に一撃、二撃されて亡き者になっている。今日はクマさん、来い、来いに近い感覚だ。

(何も考えずにネイチャーランドの方に向かって歩いている)


(早速やらかした)


(正解はあちら)


(荻の久保トンネルの出口前に出ることになった)


 何も考えずにゲートを越えてネイチャーランドの方に向かう。頭の中には、初めての歩きでもないのに、なぜかその先に大久保林道の分岐があると思い込んでいる。下って行くわりには右手に大久保林道の分岐は出てこない。右手を見上げると、高いところにガードレールが見える。はて? と思っているうちに、いつもなら見下ろすはずのネイチャーランドの建屋が目線の前というか、ちょっと高いところに見えている。早速、やらかしてしまった。
 このまま戻るつもりはない。適当に斜面を這い上がる。斜面工事をしたところなのでかなり足場は悪くやっかいだ。上はヤブだった。80mは登ったろうか。荻の久保トンネルの出口前に出た。駐車地から上に行かねばならなかったところをネイチャーランドに下ってしまった。この初っ端の80m上がりはかなり効いた。早速、ゼイゼイしている。芳しくない体調にさらに輪がかかった。これでは、北尾根の途中撤退もありだろう。何せ急斜面続きのようだし、それ以前に、果たして破線路終点から尾根取り付きまですんなり下って行けるのかがずっと気になっている。

(林道は部分的に崩れている)


(バイク小屋。定番写真)


(ワンコにうろんな顔を向けられた)


 林道終点の先にあるバイク小屋。以前見た時は戸が開いていたが、今日はゴムバンドで締めている。興味本位に外して覗くと、現役のバイクが2台ある。70ccも導入したようだ。戸を閉めて先に行こうとすると、何やら黒い塊がいる。ワンコだった。ロープにつながれ、ピクリともしない。死んでんのかなとじっと見ていると、目を開けてうるさそうに顔をこちらに向けた。立ち上がりはしなかったが、このワンコ、自分のウンチを枕にして寝ている。しかし、飼い主も飼い主だ。それなりの理由があってここに置いているのだろうが、エサと水は毎日運んでいるのだろうか。水だけはあるが、エサ入れの容器は空っぽになっている。犬飼いとしては気にもなる。犬にかまけてもいられないので先を急ぐ。この破線路作業道、途中までは歩いたことはあるが、地図上の終点まで行ったことはない。

(しばらくは整地された道になっている)


(ここを歩く方は必ず写真に入れる作業小屋)


 作業小屋のあるところまでは良かった。バイクが走っているだけに整地もされている。問題はその先で、石がゴロゴロして、地下タビの足には、往路はさほどに感じなかったが、帰路がえらく苦痛だった。ここの作業小屋エリアで確認しておきたいことがあった。どうせ戻ってここを通ることになる。その時でいいだろう。ネイチャーランドで余計な体力を使ったから、しばらくは余計なことはせずに体力を温存させないといけない。時間ももったいない。

(この雰囲気が秩父らしくて何とも好きだ)


(沢沿いもある)


(かなり細くなってきた)


 道は次第に細くなっていく。バイクを転がすのも無理そうなところもあるが、作業道としては立派な部類で、橋も架かっていて、崩壊の所はない。石垣や機械の残骸を見ては、ここで大規模な治山事業が行われていたことが窺い知れる。うっかりして、帰路で下る予定の赤岩ノ頭北側からの北東尾根の末端を確認することを忘れてしまった。まぁ、成り行きで下れるだろう。

(マツマラ沢左岸尾根)


 歩き出しから1時間15分経過。そろそろ休憩タイムか。平たい石に腰かけて一服。ついでにウィダーインを一つ。ここまで単調な歩きが続いているが、高度計を見ると林道終点(逆向きだと始点になるか)から175mの標高差になっている。地味な登りになっていたわけだ。風景に変化はない。植林の中に長い作業道が続いているだけの景色。歩いたことのある作業道区間は作業小屋のこちら寄りですでに終わっている。今日は今のところどんよりした天気になっているが、このままの状態が続いて欲しい。北尾根とはいっても、上から陽を浴びるのは避けられまい。これに微風でもあれば助かるが、風はなく、すでに汗もかいている。
 歩き続行。周囲がヒノキの植林だらけで視界はないが、ちらりと左の視界が覗いた。尾根が正面に見える。あれはふみふみぃさんが3月に歩いた(とはいっても途中からの合流だったらしいが)マツマラ沢の左岸尾根だろうか。ここから見る限りはかなりな高度の登り上げの感がある。

(崩れてはいるが際どいところではない)


(こんなのが転がっていた)


(廃作業小屋)


 作業道は次第に荒れてきた。滑車のような残骸を目にして廃作業小屋が現れた。ここは「奥の小屋」と呼ばれているらしいが、中はかなり荒れている。バイクが放置され、ヘルメットも転がり、汚れた布団も外にはみ出している。足の踏み場もない荒廃ぶりだ。周囲には無数のビンやドラム缶が転がっている。なぜかUHFのアンテナがあるから、電気は通っていたのだろう。ここで、事前にしっかりと仮面林道ライダーさんの記事を確認しておけばよかったが、後の祭りで、向かいの尾根上に石祠があったらしい。これは見逃した。
 余談だが、自分の母方の祖父の話。営林署に勤めていて、こういう作業小屋に寝泊まりする日々が続く山仕事をしていたらしい。夜はランプの下でもっぱら酒を飲んで過ごすしかなく、結局は肝臓を壊し55歳で亡くなった。今でいえば65歳くらいの感じだろうか。だから、こういった廃作業小屋の周辺で一升瓶を大量に見ると、祖父のことをつい思い出してしまう。小学生になる前に手をつないで魚釣りに行ったことだけが記憶に残っている。芦田伸介そっくりの祖父だった。

(そしてつぶれた作業小屋。地図上の破線路はここまで)


(部分的にこうなる)


 道はさらに荒れ、ほどなくしてつぶれた作業小屋に着いた。地図上の破線路はここで終わっているが、沢を挟んで、この先は「道」から「踏み跡」になっている。このつぶれた作業小屋、石垣の上に屋根だけが残っているから、探索をする状況にはない。周囲にゴミが少ない分、勝手な想像だが、それほどの期間使われてはいなかったようだ。
 実は、帰り道、この付近でかなり往生することになる。これもまた後で知った仮面林道ライダーさんの記事によるが、ライダー氏はこの先の看板から尾根に登って天目山林道終点に問題なく向かっている。自分はその逆コースで下ったのだが、尾根末端近くですんなりとはいかず、あらぬところを下ってしまい、最後はこのつぶれた作業小屋の屋根を見て命拾いをしたかのようにほっとすることになる。事前にこれを拝見していたら、右往左往することもなかったろう。

(国有林看板)


(この先、またしっかりした道に復活した)


 大久保谷に下るのは国有林看板の裏手からということはネット記事で知っていた。沢を渉ると、踏み跡は元のようなしっかりしたものになり、ここに件の看板があった。しつこいが、帰路の下りでここに出て来るのが正解だったわけだ。作業道に復帰した道はさらに続いている。いつかは探索してみたいもの。さて問題は、ここからの大久保谷への下りだ。こちらは左・沢側への下りになる。北尾根の起点にどうやって行けるのか、すっきりしないままでいる。

(テープを追いかけて小尾根を下る)


(沢に出る)


 看板の裏は小尾根状になっていて、何ということはない、テープとマークがあった。小尾根が消えると、地形は読み取れなくなるが、テープが導いてくれる。右下に沢が見えてくる。まずは沢までは出ないといけない。ところで、ここ、下りだからテープを追えるが、上りで使ったら、テープの間隔もあって、ヘタをすればうまく上の作業道に出られない可能性がある。まして80mほどの標高差もある。実は、北尾根の上り使用はきつかろうと、ちゃっかりと赤岩ノ頭北東尾根を上りで、北尾根を下りでと思ったりもしたが、自分なら、冷静にテープを見つけて登らないと、えらい目に遭うかもしれない。

(あれが北尾根らしい)


 さて、沢に出たはいいが、どうもここは沢の合流部になっているようで、目の前の立ち塞ぎの岩の左すぐの下流部で合流している。その合流する沢がフキアゲ沢なのだろう。その間にもろい感じの乗っ越しがあって、それが右上まで続いている。ということは、目の前の沢は大久保谷の本流で、間の、岩場状になっているのが北尾根の末端部ということらしい。それ以外に考えようがない。いよいよかと緊張する。しかし、ここまで2時間かけて今日の第一目的の取り付きに到達とはちと長い。もっとも、足尾あたりなら、皇海山の南尾根の取り付きにしても、少なくとも歩き出しから2時間半から3時間はかかるか。
 本流は簡単に渉れそうだったが、慎重になり過ぎてジャンプをしなかったばかりに左足を水没させてしまった。地下タビの本体は布だ。事前に防水スプレーをかけてはいたが、裏のコハゼの合間から水が入り込んでいた。そんなことを気にかけているわけにはいかない。先ずは目先のもろい斜面に上がらねば。

(フキアゲ沢)


(尾根に乗る。「急斜面」感覚が伝わらないのは残念だ)


 とにかく沢沿いの斜面は滑る。少しばかり腕力を使って尾根上に乗った。左下をフキアゲ沢が勢いよく流れている。
 尾根を見上げる。こりゃダメだと思った。確かに「えげつないほどの急斜面」になっている。ストックなしではきつい。ザックからストックをダブルで出す。尾根は思っていた感じとは違っていた。急斜面=植林帯といった感覚がいつもあり、ここもまた薄暗い植林尾根とばかりに思い込んでいたが、自然林がずっと続いている。これから900mほどの登りか。地図の等高線を見る限り緩んでいるところは山頂付近しかない。うんざりする。

(これならいくらか急に見えるか)


(見下ろして。これがヤセ尾根だったら危険の一言だろう)


 この尾根、作業人がかなり入り込んでいる(いた?)。赤ペンキ、赤い見出標プレート、そして何の意味か知らぬが石標が続いている。それなりの安心感はあるが、この急登はストレートには登れず、ジグザグに登るしかない。たまに樹につかまることもある。バランスを崩したら最初からやり直しになる。その場合、おそらく帰ることになる。狭い尾根でないだけでも幸いだ。しかしきつい。何度も立ち休みを繰り返す。3時間で行けるだろうか。これでは無理かもなぁ。遠くで春ゼミのガシガシとした鳴き音が聞こえる。不思議にこの尾根上でセミは鳴いていない。

(この辺からいくらか緩くなった)


(太い倒木が目に付く)


 部分的に左からヒノキの植林が押し寄せては去っていく。急斜面は相変わらずだが、850m付近で幾分緩くなった。というか、普通の急な尾根になった。だが、この尾根、目の前に続く斜面と、登って来た斜面の景色しか見えない。左右は無表情な木立ちだけ。普通ならアップダウンを繰り返し、それぞれのアップに景色の変化を感じるものだ。
 900m付近で休憩。取り付きからまだ30分くらいしか経っていない。何だか早々にエンドレスの気分だ。いったい、いつまでこの単調な急登りが続くのだろう。いっそのこと放り出して逃げたい。危険な個所はないが、精神的な面での試練尾根だ。一服すれば、先が苦しくなるのはわかっているが、どうしても一服したくなる。陽が出ていたら、おそらくもうバテている。ここは決して夏向きの尾根ではない。逆に雪でもあったら、滑りまくりでさっぱり進まないだろう。

(尾根幅は次第に狭くなるが、これで普通の尾根レベルか)


(この石標がずっと続く。不思議にいずれも赤ペンキを垂らしている)


 登り再開。この分では頻繁に休みタイムが出てきそうだ。休憩時に虫除けスプレーを顔面にかけたが、まったく効かず、途中から集まった羽虫は依然としてつきまとって、これが山頂までのお付き合いとなる。蚊やアブでないだけでもまだまし。うっとうしい。
 ただ黙々と歩き、20mほど登っては立ち休みの繰り返しが続く。あそこまでは休むまいと思っても、その間に2回は立ち休みとなる。錆びたオイル缶、ジュース缶、ワイヤーが出てくると、確実にこれはクマのだろうと思われる新しい足跡が尾根を登っているのが目に入る。いよいよ、スプレーの出番か。早速試してみたいといった当初の思いはすでにない。
 尾根はただ単調なだけではない。倒木も結構ある。太い樹が横倒しになったりする。少し平らなところがあって、ここで2回目の休憩。1160m。取り付きから1時間半経過。ようやく北尾根の半分に達した。やはり自分の足では3時間だな。
 半分に至って、少しは気持ちの余裕ができたのか、下りルートの算段を考えている。予定の七跳山まで行って赤岩ノ頭に抜けるのは無理だろうな。最悪、大ドッケ経由で栗山尾根か。だがあそこは2回ほど歩いたことがあるし、ヤバい岩場通過がある。もっと他のルートはないか。まぁ、今はいい。残り半分を終えてから考えよう。

(樹もいくらか細くなってくる)


(右下を覗く)


(この程度だが、ここの尾根幅が一番狭かったか)


 尾根は幾分ヤセた。右手は切れているが際どい狭さではない。すぐにまた広くなった。死滅したスズタケを踏みつけて登る。左の視界がチラリと見えた。並行した尾根が上に向かっている。あれはフキアゲ沢右岸尾根(正確にはフキアゲ沢右俣右岸尾根だろう)か。こちらよりも獰猛そうに見える。地図を見る限りは、その右岸尾根、フキアゲ沢を遡行しないと尾根末端に届かないようになっているが、あんな尾根を登る人はいるのだろうか。向こうから見ると、こちらもまたそう見えるのかもしれない。だが、この北尾根も、作業用の赤ペンキと石標は続いているし、ワイヤーが放置されていたりする。あの右岸尾根とて、作業の人たちも入っているのだろう。ということは、尾根につながるしっかりした踏み跡が沢沿いに付いているのかもしれない。

(これにワイヤーを通したのだろうか)


(フキアゲ沢右岸尾根が見えている。すっきりはしない)


 この先でもたまに見える右岸尾根、結局はこの北尾根から上の様子、つまりは大平山が見えない状態での登りが続いたため、右岸尾根の高度と、先の曲がり具合がよい目安になって、山頂までのしんどさを何となく推測できた。今は新緑だが、秋なら葉も落ち、右岸尾根の姿もすっきり見えるだろう。だが、その頃には熊除けスプレーがいくつあっても足りない状況になっているかもしれない。ここはブナ、ミズナラ、ダケカンバも生い茂る広葉樹の世界だ。クリのイガは見あたらないからまだ安全地帯かもしれないが。

(北尾根唯一の下り部分)


 再びきつい登りになった。下ほどではないが、まだまだ安心できない状態が続いている。1340m付近で、登り一辺倒から突如として下りになった。下りとはいってもせいぜい5mくらいのもので、すぐにまたきつい登り返しになっている。この下り、北尾根唯一の下り部分だろう。これまで歩いた尾根でも、下り部分はそこそこにあるものだが、この北尾根ではここが唯一だった。
 この先、登り上げの1350mあたりの平地で3回目の休憩。あと250mだ。気分的な余裕もできた。チョコレートを食べて一服。陽が出てきた。汗を拭いていた手ぬぐいも薄汚れてきている。ここまで来れば、陽のあたりもさして気にはならなくなっている。

(ここは左手から登って来た。先へはカーブになる)


(あちこちに枯れきったスズタケが散乱している。しかし、いつまで経っても先の景色が見えないままだ)


 地図上は微妙にカーブしているが、実際は、この休憩スポットから左に80度ほど尾根型が曲がっている。他の尾根やら沢が合流するスポットではない。
 ヒノキ植林が入り、また広葉樹。傾斜は大分緩くなった。尾根幅が広がり、左の、派生不明の尾根が見え、やがて合流した。1520m付近。ようやく100mを切った。

(左から尾根が合流してきて尾根幅もまた広くなった)


(左尾根との合流地点)


(平坦になって)


(一般道に合流する)


(山頂はすぐそこ)


(大平山山頂。「大平山に行ってみたい」を第一目的にして行く人はいないだろう。普通は歩いてみたい尾根やらコースとセットしてここに至る。あくまでもついでの山だ)


 かなり緩やかになり、尾根は広い斜面状になった。目安にしていたフキアゲ沢右岸尾根はもう見えなくなり、木立の先に、何となく、あれが大平山の山頂と思しきシルエットが見えている。
 斜面はとうとう平坦になり、テープの巻かれた樹を目にすると、明瞭な踏み跡に出た。一般道との合流だ。山頂はすぐそこ。ほっとした。北尾根を途中で撤退することなく登り詰めることができた。自分の最近の間に合わせの歩き続きにしては快挙とも言えよう。かなり重くなった身体を前に出し、だれもいない、相変わらずに展望もなく冴えない大平山山頂に到着した。もうぐったりだ。

 手持ち無沙汰に山頂で30分ほど過ごした。だれも登って来ない。こんな展望もない地味で寂しい山頂が自分にはぴったりかもしれないなと思いながら、おにぎりを食べ、タバコを2本吸った。
 さて、問題はこの先の帰路ルートだ。大クビレまで下り、当初予定の七跳山まで登るとなると、標高差は120m。30分の休憩をとったはいえ、今の自分には無理のようだ。蒸し暑くもなってきている。相変わらずの無風。どうしようかと悩む。どうせなら歩いたことのないルートで下りたい。七跳山まで登ったとして、昭文社マップを見る。七跳山から坊主山。坊主山から北に赤岩ノ頭まで、えっ、2時間50分もかかるのか。これを自分の足と休憩で3時間半とみて、今は11時半を過ぎている。赤岩ノ頭から早くて1時間半下りで作業道に合流したとして、ちょっとおかしな歩きをすれば危うい時間帯での下山になる。まして、上空を見れば、灰色の雲も浮かんでいる。大ドッケ経由の栗山尾根は前述のように避けたい。

 考え出した結論は天目山林道歩き。大クビレから東側は起点まで歩いている。西側の終点までは歩いたことがない。いつか歩いてみたいとは思ってもいた。何ということはない。大クビレから七跳山まで30分とし、3時間20分のコースタイムを林道歩きで大幅に稼ごうという算段だ。ただ問題は、林道終点から赤岩ノ頭までの標高差180mを、林道歩きで体力を回復したとして果たしてできるだろうかということ。気力も体力もなかったら、林道終点から東に破線路の終点に下るしかない。その見当で歩くとするか。林道終点がさらに延びて、北東尾根に接しでもしていたらもっけの幸いということにはなるが期待は薄かろう。天目山林道歩きのネット情報は少なく、たまに終点から赤岩ノ頭に登った記録を見る程度だ。

(大クビレに向けて下ると)


(今回の歩き唯一の紫。すでにアップでは堪えられない)


(むしろこれが続く。青空だったらもっと映えた白だったろう。こんな写真ばかりだから代表で一枚だけ)


(大クビレ)


(久しぶりに眺める三ツドッケ)


 ここまで裏返し使用を繰り返していた手ぬぐいから2枚目に替え、大平山山頂から大クビレに向けて下る。ここでシロヤシオが目に入った。空がどんよりしていると目立たないが、終盤を迎えている。このシロ、あちこちに点在していて時間がとられた。大クビレに着いてまた悩む。これなら七跳山まで行けるんじゃないか。だが、ここは目をつぶるとしよう。いずれHIDEJIさんがやってくれるだろう。というか、もうすでに歩かれていたっけ? 携帯マーク看板があったので早速調べてみる。やはり一昨年に歩かれている。北東尾根はないが、大クビレから赤岩ノ頭まで2時間半かかっている。やはり自分には3時間以上だな。もう今日は考えまい。無理をすれば危険度も高くなる。大クビレからは三ツドッケがよく見えた。あそこもしばらく行っていないなぁ。

(林道ショートカット)


(ここを滑り落ちた)


 さて、大クビレから林道は一時的に戻る形で大回りしている。素直に歩くつもりはなく、林道には向かわず、大クビレから北の斜面を下る。その先で林道に合流するはずだ。
 ルート取りに失敗した。ヤブの斜面を下って行くと、予想どおりには林道に緩くつながってはいず、ほぼ45度超えで土壁3mになっていた。土はかなりもろい。そーっと細い木に伝って降りようとしたが、最初の2本はよかったものの、3本目の木があっさりと根こそぎに抜けてしまった。そのままズルズルと尻で林道まで流された。2.5mほどの滑落だ。林道に尻をしたたかに打ち突けて泥だらけになっただけで済んだが、帰ってからシャツを見ると、3か所ほど裂けていた。

(林道歩き)


(杖を拾う)


 こんなことはよくあることだし動揺はしていない。すぐに気を持ち直して林道を終点に向かう。大クビレをピークにして下り調だから助かる。この林道、昔のネット写真を見るとかなり荒廃しているが、今歩いている林道は整備されて幅も車がすれ違えるほどだ。
 歩きながら、材質の堅い、きれいに加工された杖が落ちていた。この先の友にしようと、ストックは収納する。もとからストックは邪魔になっていたし、ストックを持っていたばかりに気に取られて滑落したという節もある。杖突きで林道を歩いていると水戸黄門ぽくなるが、良い支えになる。

(坊主山から分岐する矢岳尾根。結構な凹凸だ。林道はその中腹を通っている)


 ここの林道は眺望が良い。開けたところからは武甲山も望めるし、部分的だが大平山も見える。大クビレがあって、その右には七跳山に至るピークか。進行方向の左には矢岳に続く尾根。ボコボコしたピークが続いている。しかもかなり高い位置にある。やはり、あれでは途中でへこたれていたろう。仮面林道ライダーさんの記録にも、地図にないアップダウンが続くとあった。

(雪の塊。これ、仮面林道ライダーさんのブログに出ている場所と同じだろう。雪はここだけだったし)


(大平山。中間の窪みが大クビレ)


(武甲山。標高はここの方が高いはずだが高く見える)


 残雪を見たところで、擁壁に「18.0KM」と手書きされた赤ペンキ文字が記されていた。これは林道起点からの距離だろう。左に流れ落ちる細い沢を見たりと、多少、風景に飽きてきたところで、大平山が大きく見えるようになった。だが、目の前の木立で北尾根の全容は望めない。

(何をする重機なのかわからない。林道はすでに整地されている)


(改めて大平山。しつこいか。やはり北尾根の下が見えない)


(作業小屋。窓は割れて中が荒れている。使っていないようだ)


(下った尾根)


(林道終点)


 現役の重機が置かれている。この先は一部、水たまりがあったりするが、すぐに整備林道に戻る。右に作業小屋を見て先に行くと、下り予定の尾根が見えて林道終点となった。やはり、林道終点は地図通りでその先は存在していない。淡い期待は消えた。大クビレからここまで1時間少々だった。左手・西側には赤岩ノ頭に導く赤テープが垂れている。
 赤岩ノ頭に登り返す気力は復活せず、ここから東に下る尾根を歩くことにする。北東尾根には未練がある。別の機会に歩いてみよう。矢岳尾根の南側部分、長沢背稜の七跳山と長沢山区間は未踏のままだ。酉谷山だけには登っている。酉谷避難小屋にも泊まってみたい。いずれ、うまくつなげて歩いてみることにしよう。空を見上げると雲の色は濃くなり、武甲山もまたぼんやりとしつつある。撤退するには丁度良いタイミングだろう。

(左に行くと赤岩ノ頭。この画像もよく見かける)


(赤岩ノ頭か。この時点ではすでに尾根下りのモードになっていて、敢えて行こうかとは思いもしなかった)


 この下り尾根、天目山林道の終点と、大久保谷沿いの地図上破線路終点をつないでいる。これは偶然なのか。以前はここに明瞭な踏み跡が通じているものと思っていたが、それはなかった。ただ、薄い踏み跡とフェンスが置かれていたりして、かなりの人為的な気配はある。まさか、この時点で、末端部分でかなりの苦労をするとは思ってもいず、地図を見ては、末端近くになったら北に向かえば、自ずと破線路末端に至るはず。まして、往路では、破線路はかなり先まで続いているようだったし、わざわざ北に向かわずともに作業道にぶつかるだろうと思っている。念のため、コンパスを破線路末端に合わせる。下に行く間に尾根分岐が数か所ある。この辺で方向を失ったら、勝手知ったところでもない。かなり往生するだろう。自然、慎重な下りになる。人工物を見たとて安心してはいられまい。

(尾根を下る)


(明瞭な尾根)


(右手にフェンス)


(何の看板だったのか。これだけでも、以前はこの尾根を歩くハイカーがそれなりにいたことがわかる)


(そして残材)


 実のところ迷うようなところはなかった。右手に大平山を見ながらの下り。左は急なヒノキの植林斜面。右下は見えていない。かなりガレた斜面になっているのではないか。尾根はヤブっぽい。踏み跡はところどころで植林の中に入り込む。テープもあるが、作業用のもあるだろうし、あまり信用はしない方が良いだろう。そのうちに、右手にフェンスが張り出してきて、文字の消えた看板やフェンスの残材がうるさくなる。

(どうもこの辺から間違った歩きをしたようだ)


(沢が真下に見える。こんなはずがない。冷静さを欠き、つぶれた作業小屋の先に沢があったことはすでに忘れている。まさにその沢だった)


(薄い踏み跡を追いかけたり)


(こんな急斜面ヤブを滑りながら下ったり)


(最後はここを下って)


(ようやくつぶれた作業小屋に至った。遭難するかと思った)


 尾根は左寄りになり、植林の中に入り込んだ。どこで見失しなったのか、目の前の踏み跡は消えた。そもそも植林の中に入り込んで良かったのか。尾根上を歩いていることは確かだ。沢音が近づいてくる。GPSを取り出すと、往路で通った赤線はすぐそこにある。
 尾根をトラバースしている踏み跡があった。これで助かったと思ったが、これは逆方向に登っていた。引き返すと踏み跡はもう消えた。下に平らなところが見え、作業道だろうと、ヤブの草木をつかみながら急斜面を下る。何回も転んだ。平らなところに道はなかった。ここに至って遭難になったら情けない。下に沢が見えてはいるが、そこに至るまでがかなり厳しく、沢に出ていいものやらも疑問。ふと、沢の下流側につぶれた作業小屋の屋根が見えた。これで助かった。巻きながら慎重に沢に出た。小屋は沢の対岸だ。また何度も滑って転び、小屋の脇に腰かけた時にはほっとした。どうやら下流方面に出るべきところを上流側に下ってしまったようだ。おそらく、植林に入るのが早かったのだろう。未踏尾根の下りは恐いものだと改めて認識する。
 新潟の親子もそうだが、登山道を見失ってパニックになると、人間の心理として、標高の低いところ=沢に出てしまいがちになるものだ。今回は沢は沢で正解なのだが、もっと上流だったらかなり厳しかっただろう。注意しないと。
 小屋の脇の沢で顔を洗った。絞った手ぬぐいは真っ黒になっていた。せっかくだからきれいに洗って首に巻く。ほっとして一服。そして、残ったおにぎりを食べる。ふと、あれっ、あの杖はどうなった? 手元にはない。どさくさで手放してしまったようだ。せっかく、家に帰ってからもっと使いやすいように加工するつもりでいたのに。

(帰路に就く)


(これがやたらと咲いていた)


(これまで上から見ていた作業小屋を間近に)


(この橋を渡って引き返す)


 来た道を戻るだけだ。特記すべきことはない。杉の植林に囲まれた作業道を下って行く、ここは上がヒノキで、下は杉のようだ。往路では感じなかった足裏が痛い。これはそれなりの緊張感があったからだろう。今は気分的にだらけてしまっているから痛い。
 現役の作業小屋に下ってみる。何を確認したかったのか。それは、地図上でここから電光型に実線が出ているからだ。その道を確認しておきたかった。栗山尾根を下った際、その実線林道の終点が尾根をかすめて終わっていた。それ以来気になっていた林道だ。その起点を見るだけのこと。その先からふみふみぃさんはマツマラ沢左岸尾根に取り付いたつもりでまた林道歩きに復活されたりしている。人のことは笑えない。自分も同じようなことをやっている。
 最初の橋を渡ってすぐに引き返した。車の轍が見えた。どうも現役使用の林道らしいが、自分には、大久保林道先の作業道をバイク以外の車が走れるとは思えない。ネイチャーランドの車道の延長が電光型にどこかで交わっているような気がしてならないのだが(これは、十津川村さんからいただいたコメントであっけなく否定されてしまった)。

 先で休憩する。手ごろな材木が山側の横に設えてあった。これが谷側だったら敬遠する。ここまで来て転落したのではシャレにもならない。ちょうどここで1リットルの水を飲み干した。都合2リットルあるからと安心した分、今日は水の消費が多かった。今度からこのくらいの歩きでは1.5リットルにしようかと思ったが、そういうわけにもいくまい。今日はかんかん照りの中の歩きでもなかったし。

(ヤバい感じの栗山)


 ここから正面に見える栗山。壁のように見えている。そしてその先は落ち込んでいる。実際はそうでもないのだが、秩父の山は概して、こう険しく迫って見える。
 水場を過ぎてワンコ小屋。今度は起きているが、吠えもしないし警戒もしない。やたらとウンチが散らかっているところからして、枕どころか敷布団代わりにしている気配もある。エサ入れにはエサもなく、今日はご主人様も来なかったのか。気の毒にと思い、菓子パンをちぎってやると見向きもしない。どこかの山のキツネはハイカーの食い物をあてにしてさまよっているようだ。それに比べたら、この犬は孤高だ。しかし、このワンコ、ここをクマも通るだろうに、その場合はどういうことになるんだ。ロープでつながれているから無抵抗だろう。

(ネイチャーランドを見下ろす。苦い顔になっているはずだ)


(これも定番のトンネル内画像)


 林道になり舗装道になった。途端に足裏の痛みは消えた。ネイチャーランドを見下ろし、来る時には通らなかった荻の久保トンネルに入る。このトンネル、真っ暗で不気味だが、もし通路に穴ぼこでもあったらたまったものではないだろう。出ると銘板が埋め込まれ延長252mとある。意外と長かった。このトンネル、使われているのだろうか。林道はすぐ先で終わっている。

(解説不要のサル)


 通行止めの柵を越えると、下から子犬の鳴き声がする。気になった。捨て犬か? 下はヤブで見えない。降りようと試みたが、とてもじゃないがロープでもなければ無理。かわいそうにと思っていたら、別方向から同じ鳴き声がした。擁壁の上にサルがいた。何だ犬ではなくサルか。余計なことをしてケガでもするところだった。

(到着。バックは栗山)


(今回は使うことのなかったスプレー。お世話になりたくはない。使用期待感はもはやない)


 ダム側の道路は相変わらず通行止めになっている。駐車地に着いたが、何となく気になった。浦山大橋のゲート、まさか閉められていないだろうな。着替えをさっさと済ませて橋に向かうと、ツーリングのバイクがやって来た。ほっとした。締め出しになっていたら、一旦は警察に電話を入れた方がいいのかと考えたりしていた。

 この期に及んでといってはなんだが、今になって元気が復活した。これはあくまでも気分的なレベルだろうが、大クビレから都県境に出て、坊主山から赤岩ノ頭に歩く気力になれなかったことを後悔しだした。それは今さら仕方もない。体力が追いつかなかったのだから。気持ちもそれに同化していた。今さら本音の気分が前面に出て勝手なことを言いだしても、もうどうにもなるまいて。

 皆野町の天空のポピーが見ごろのようだ。秩父市内も渋滞だろうなと思っていたが、案外スムーズな流れだった。芝桜ほどの人気がないのか、もう4時を過ぎてもいたし、ピーク時間は過ぎていたのだろうか。

(本日の軌跡)

「この地図の作成に当たっては、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図200000(地図画像)、数値地図25000(地図画像)、数値地図25000(地名・公共施設)、数値地図250mメッシュ(標高)、数値地図50mメッシュ(標高)及び基盤地図情報を使用した。(承認番号 平24情使、 第921号)」

(付録画像。例のワンコ。帰路の立ち寄りで。まぁ、想像はつくでしょう。ク●まみれだった。コメントで知ったが、このワンコ、足尾のRRさんのマブダチだそうな


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大平山北尾根 (十津川村)
2018-05-31 13:15:05
たそがれオヤジさん、こんにちは。
投稿するのは久しぶりですが、いつも楽しく拝見しておりました。
懸案の大平山北尾根を歩かれましたか、お疲れ様でした。拝見して、取り付きのえげつないほどの急斜面と、その後の長い上りを思い出してしまいました。あと熊の痕跡が多かったことも。

登頂後は、天目山林道終点から地形図破線の終点(「浦山国有林」看板)に下られましたか。天目山林道のオオクビレより先は、五年前くらいまでは荒れて荒れて破線登山道レベルだったのですが、ここ数年できれいに整備されました。密かに変な開発計画が進んでないかと心配しております。
下られた尾根ですが、あれはたそがれオヤジさんのような人が迷うような尾根ではないですよ。普通に踏み跡を追っていくだけで、看板の前に下りられます。歩き出しでネイチャーランドへ下りてしまったことといい、この日は何かに憑かれていたのかも(笑)。

件の「実線林道」ですが、あれは栗山尾根の950m圏から西北西へ高度を下げていく尾根を使ってショートカットすると、距離も所要時間も半分以下にすることができます。山の神手前の岩場を通らずにすみますし、あっという間に左岸道まで下りられます。
あと、あの林道はネイチャーランドとはつながっていません。私有林管理用の林道のようでして、管理されている方達は轍や軽トラについては謎のままにしておいてほしいようなので、これ以上は…。

またの秩父でのお歩きを楽しみにしております。
十津川村さん (たそがれオヤジ)
2018-05-31 19:20:18
十津川村さん、こんにちは。早速のコメント、ありがとうございます。
大平山の北尾根、ただ一言「長い」。これが印象ですね。気分的にも視界的にも先が見えないのですよ。かろうじて見えたのがフキアゲ沢右岸尾根、それもこの時季だからなのでしょうか、若葉で尾根型だけが確認できたような状態でした。
これが、少しでも左右の山並みでも望めれば「長い」といった感じは受けなかったと思いますが、そうではないから本当にエンドレスの世界でしたよ。
クマの痕跡は、私の場合、鮮明な足跡だけ見たのですが、これはアゴ出しでヒーヒー登りをしていたら、気づくべきものも気づかなかったのが当たり前で、むしろ、足跡以外の痕跡を目にしなかっただけでも幸いです。見ていたら、構えてしまい、さらにおぼつかない歩きになっていたでしょう。広葉樹の続く尾根だし、いるのは想像に難くなく、秋には紅葉がきれいだなぁなんて暢気には歩けない気がします。

天目山林道の整備ですが、ネット記事でその荒廃ぶりは知ってはいましたが、あれまでしっかりした林道になっているとは想像もしていませんでした。それでいて重機が稼働している。どうしても、さらに何かをやろうとしているなと思わざるを得ません。それでなくとも大平山の山頂を林道がかすめて通ったりしていますからね。何だか、大平山が気の毒な感じがしますよ。

下り尾根末端での迷いについては、これはもう弁解の余地がありませんね。途中から踏み跡を見失って右往左往してしまい、結果、反対側に下ってしまい、ヤブを滑りまくりしたわけですよ。頭の中に、末端付近から左寄りに下れば、破線路終点に出られるといった思いがあったのでしょう。看板の前に出られるというのは後で知ったことで、こんな未知の部分は事前情報の収集も必要なんだなと思った次第です。

ご指摘の西北西尾根は私も目を付けていました。それを使えば山の神の岩場手前から下れるなと。ただ、どうも最後まで赤岩ノ頭先の北東尾根下りにこだわりがあったものですから、いずれ歩いてみるということにしておきます。

林道はネイチャーランドとはつながっていませんか。ちょっと期待外れといったところですかね。私は、ネイチャーランドから軽トラが上がって来たものとばかりに思っていました。謎のままというのもまた余計に気になるもので、いつかは解明したいものですよ。

今回の大平山北尾根、いずれはHIDEJIさんに歩いていただきたいと思っています。できるなら紅葉の時季に、クマの痕跡どころか現物に出会ったりといったハプニング付きでね(笑)。

おそらく次回の秩父歩きは、赤岩ノ頭の北東尾根になるかと思います。
大平山 (HIDEJI)
2018-05-31 20:09:45
たそがれさん、こんばんは。
北尾根のお歩きお疲れ様です。抜け駆けせずに、お待ちしておりました(笑)
先日、「来週あたり例の場所へ」とのコメントで、いよいよかなぁと期待しておりました。土曜日にでも浦山大橋近くの駐車スペースに行けばたそがれさんにお会いできるかなぁと思いつつ、もう一つ懸案になっている蕎麦粒山の北尾根を登って、シロヤシオを楽しみながら七跳山、大平山と足を伸ばせば途中ですれ違えるかなぁと密かに考えておりましたが、結局は行けず終いでした。
大平山の北尾根のえげつないほどの急登、記事を拝見するに腰が引けますが、赤岩ノ頭から北東に延びる尾根も気になっております。せっかくですから近いうちに後追いといきたいのですが、クマとのバッタリはできれば避けたいです(^_^;)
ですので、この度、登場した熊スプレー非常に気になりました。爆泉さんのような事態は怖いですが、やはり携帯していると安心感が違いますか?
Unknown (瀑泉)
2018-06-01 12:02:13
早速,熊スプレーを購入されたみたいですネ。ナルホド,首から提げるようにしたワケですネ。タッチペンタイプなので,携行するには良いのですが,果たしてズボンのポケットに入れていて,咄嗟の場合に取り出せるのかとか,なくさないかとか思っていたので,参考にさせていただきますヨ。まして,この前は大変なことになるところでしたから。
北尾根,周辺は自然林だしもっと良い明るい尾根かと思ったら,随分と見通しの悪い尾根のようですネ。ちなみに,此方の山は「おおひらやま」のようですが,実は,足尾のが「たいへいざん」なのか「おおひらやま」なのかで,正直,混乱しています。この前も,「おおひらやま」と言ったら何処か分からないオッチャン達がいて。日光側の呼び方なのか,昔,自分は「おおひらやま」で覚えたこともあるし,どうも「たいへい」には抵抗があるんですワ。まぁ,たそがれオヤジさんやRRさんのように,「松木山」とすれば,混乱することも無いのでしょうが。
大久保谷 (足尾のRR)
2018-06-01 19:12:08
こんばんは。
大久保谷の作業道は国有林看板からすぐに難所が連続します。行くならかなりの気合いがいりますよ。
林道は大クビレから先、この数年でやたら整備されました。大久保谷の斜面の随所にやたらマーキングが増えましたから、近々大規模伐採でもするのかもしれませんね。
ワンコは実は自分、マブダチでして、たそがれオヤジさんの翌日、カミさんとドライブついでにエサと水をあげてきました。昔は栗山尾根直下に行く林道の終点付近に10匹位つながれてました。しかしあれはどう見ても動物虐待ですよね。
HIDEJIさん (たそがれオヤジ)
2018-06-01 19:59:16
HIDEJIさん、こんにちは。
長らくお待たせしてしまいました。HIDEJIさんが先行されていたら、おそらく、私はその記事を拝見して、行くのは断念したかもしれません。私の後追いといった屈辱で申し訳ありませんが、一度お試しください。HIDEJIさんなら2時間少々で歩いてなお余裕かと思います。腰が引けることもないでしょう。何だこの程度の尾根だったのかと。実際、私の記事にも誇張がありますしね。ただ、先も周囲の展望もありませんから、気分的にひたすら長いですよ。それだけはご覚悟を。
ついでといっては何ですが、もし余裕がありましたら、フキアゲ沢右岸尾根に至るような踏み跡が沢沿いにあるかどうか確認していただければありがたいのですが。ちょっと興味が出てきましてね。
クマスプレーは実際のところ効き目はどんなものなのか…。スズの音はクマにストレスを与えるとか、ストック付けたまま両腕を上に伸ばせば、クマもその大きさに驚いて逃げて行くといったことをよく聞きますが、クマもそれぞれに性格が違いますからねぇ。持っていて少しは安心といった形をとった方が無難ではないでしょうか。
しかし、秩父もクマが多いところですね。十津川さんからいただいたコメントでも、栗が落ちる頃は尾根にもウジャウジャいるようだし。
蕎麦粒山の北尾根ですか。いいですねぇ。それこそクマさんの世界のような気がしますけど。なお、当日はシロヤシオも楽しめたでしょうが、天気がどんよりしていると、せっかくの白も映えませんね。この日だったらシロヤシオ見物には不適だったと思いますよ。
赤岩ノ頭の北東尾根については、今回の大平山北尾根と違って先行予約を入れているわけでもありませんから、むしろ先にお願いしますよ。仮面林道ライダーさんが下りで使われていますから、参考になるかと思います。
当面は、未踏の七跳山と長沢山の区間を歩きたいと思っています。東京側から入れば楽かもしれませんが、それではなぁといったところです。
瀑泉さん (たそがれオヤジ)
2018-06-01 19:59:54
瀑泉さん、こんにちは。
この度はポケッタブルの熊除けスプレーをご紹介いただきありがとうございます。
以前は、ズボンベルトかザックベルトに通していましたが、それではさもといった感じで、結局はザックの中に納めていました。
実はヒモを付けて首から下げたわけではないのですよ。首下げはあくまでもコンパスかホイッスルだけにしています。さらに首に巻いたらがんじがらめになってしまいます。まして、首周りの分、ヒモ延びの範囲も狭くなる、つまり自分の身体寄りでの噴射になってしまう。風向き次第で自分に降り注いだのでは意味がないでしょう。
掲載写真の左にちらりと覗いているのがフックです。普段、山歩きの時はボタン付きシャツを着ますから、そのボタン脇の前立て部分にフックで留め、そのまま腹に入れるという形にしました。これだとヒモも長く使えるし、右手でさっと取り出せる(左利きだと出しづらいかも)。まぁそんな感じですね。それほど違和感はありませんでしたが、つんのめりで転んだらどういうことになるのか…。
「大平山」を山名事典で調べると、秩父は「おおひらやま」、足尾は「たいへいざん(おおひらやま)」とありますね。ですから、足尾の呼び名はどちらでも良いのでしょうが、全国あちこちに大平山、太平山がありますから、足尾の大平山は「松木山」と称すれば、特徴も出てすっきりしますよね。秩父の大平山は山頂直下まで林道が通っているし、足尾の大平山はそう簡単には行けない。瀑泉さんが「たいへい」に違和感を抱くお気持ちはわかりますよ。さりとて、山頂に「松木山」の山名板を付けたら、早速撤去されそうな気もしますしねぇ。
足尾のRRさん (たそがれオヤジ)
2018-06-01 20:20:33
RRさん、こんにちは。
あのワンコとRRさんがマブダチ? そうでしたか。私には無表情な顔を向けましたが、RRさんには立ち上がって尻尾でも振ったのでしょうね。エサ入れに菓子パンの破片を入れてきましたが、なかったら食べてくれたのでしょうか。
エサをあげてきたとは、つまりは、わざわざエサを持って行ったということなのでしょうが、そういう行為をされるRRさんにも、翌日行かれたという奇遇にも笑ってしまいますよ。もしかして、あのスコップで掃除もしてきたのではないですか。
今度行く時は、私もエサを持って行くことにします。ただ、その時にまで生きてくれていればのことになってしまいますが。
10匹もつながれていたとは、それはいったい何なのですかね。意味があるとも思えないし、確かに虐待ですよね。あの辺、落石もかなりありそうだし、まさか、それが目的ではないでしょうね。
あの作業道の先は崩壊続きであることはネットでよく目にします。気合がいりますか。RRさんレベルで気合ですから、あまり気負って考えない方が良さそうですね。
そうですか。大規模伐採の可能性があるようですか。重機を見て、嫌な予感はしていましたよ。事実かどうかはともかく、手ごろな尾根はさっさと片づけておいた方が無難のようですね。
Unknown (候酔)
2018-06-02 22:34:42
お久しぶりです

天目山林道は要注意ですねぇ
一昨年の11月に赤岩の頭へマウンテンバイクで行った帰り道でクマさんに追いかけられました
ブラインドコーナーを抜けたらガードレールの下から
「ブフォォッッッ!」と咆哮して追ってきました
幸いにも下り勾配だったので振り切れましたが
登りだったらOUTでした

今年も福寿草を見にこのルートで登りましたが
前日に降った雪で埋もれて見れませんでした

候酔さん (たそがれオヤジ)
2018-06-03 13:10:45
候酔さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
天目山林道のクマの件、咆哮しながら追いかけてきたとは恐ろしいですね。それは自転車だったからでしょうか。ただ歩いているだけだったらクマも黙っていたのか…。気になります。しかし、下りでよかったですね。上りだったら、自転車を放り出して走るかバトルしかないんじゃないですか。
11月ですか。やはりその時季は要注意でしょうね。冬眠するとして、エサ不足でストレスが溜まっていたかもしれないし。クマさんのご機嫌はこちらではわかりませんしね。
それにしても、赤岩の頭やら福寿草にマウンテンバイクですか。候酔さんのテリトリーは秩父全域なんですねぇ。その筋はよくわからないのですが、林道終点にデポしての歩きなのか、それとも担ぎ上げになるのでしょうか。

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