石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

(論評)石油・天然ガスの確保で孤独な戦いを強いられる日本(1)

2012-10-10 | その他

 

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)で一括ご覧いただけます。

 

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0249OilGasSupplyInJapan.pdf

 

 

1.初のLNG産消会議
 去る9月19日、LNGの生産国と消費国双方の官民が集う世界初の国際会議「LNG産消会議 (LNG Producer – Consumer Conference)」が東京で開催された。会議では (1)LNGの需給見通し、(2)アジア太平洋・欧州・北米におけるLNG市場の変化、(3)ガス供給チェーンの新展開、(4)LNGのファイナンスと技術の四つの議題について議論された。世界約30の国と地域から600人を超える参加者があり、外国政府関係者としてはカタール、豪州及びカナダのエネルギー担当大臣の他、韓国経済部長官、米国政府高官、IEAなど国際機関の幹部が出席した。また外国企業ではカタールガス、プルタミナ(インドネシア)、ガスプロム(ロシア)などの国営企業、エクソン(米)、シェル(英・蘭)、トタル(仏)など欧米メジャーが顔を見せた。日本側の参加者は枝野経済産業大臣をトップとする政府代表団に加え、中部電力、東京ガス、国際協力銀行の他エンジニアリング会社、船舶会社など多彩な顔ぶれであった。

会議を主催した経済産業省は、このような国際会議を日本で開催した理由として、アジア・太平洋地域を中心にLNGを取り巻く環境が激変しており、今後もLNGの取引はますます活発化し拡大していくことが見込まれるためとしている(同省ホームページより) 。

 このようなマクロ的な理由に加え、日本独自としても昨年の福島原発事故を契機にLNG輸入が激増し当面のLNG市場が売り手市場になっていること、また原油価格が100ドル(北海Brentの場合)を超えて高止まりしている結果、原油価格にリンクしたLNG価格も高騰、このため日本の国際収支の圧迫要因になっているという事情も無視できない。政府(経済産業省)には今回の会議を通じてLNG生産国とのパイプを太くしたいとの思惑があり、それは日本の国益につながることでもある。

 今回の会議で思い出されるのは2002年9月に大阪で開催された「国際エネルギーフォーラム(IEF)第8回会合」である。IEFはOPEC等の石油生産国と日米欧の消費国のエネルギー担当大臣が一堂に会する産消対話の場であり、今回の会議の石油版と言える。日本はその2年前の2000年初めにサウジアラビアにおけるアラビア石油の利権を失い、石油の長期的な安定確保が当時の重要な課題であった。

  今回の原発事故とLNG、そして10年前の利権失効と石油。両者の事情は異なるが、そこには石油及び天然ガスを100%輸入に依存する(つまり自給率ゼロ)と言うエネルギー問題における日本のアキレス腱が浮き彫りにされている。国際会議による産消対話が日本の抱える問題の解決に直ちに結びつく訳ではない。しかし産消国際会議を通じて産油・産ガス国と日本の二国間の直接対話の道を拓くことが日本の資源外交に求められているのである。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ニュースピックアップ:世界... | トップ | ニュースピックアップ:世界... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

その他」カテゴリの最新記事