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賢い子に育てたい! ~家庭学習で中学受験2018~(2024大学受験終了)

中学受験に向けての学習について書いてきましたが、受験終了。
現在は、中高一貫校の生活などを書いています。

「9歳の壁」とは??

2011年07月18日 | チャイルドコーチング
前回に引き続き、質問にお答えしたいと思います
今回は「9歳の壁」についてです。


まず最初に、「9歳の壁」の本来の意味について書いておきます。
昔、東京教育大学附属聾学校長だった萩原先生が述べられた有名な言葉です。

聾学校の子どもたちについての指摘で、「小学校低学年(9歳頃)までは健聴児と同じように発達はするが、高学年になってくると学習が具体的なものから抽象的な内容になるため、学習面や言語面の発達において乗り越えられない壁につきあたることが多い」というものです。

それがいつからか、一般的に使われる言葉になっていますよね。
それはきっと、発達心理学で言われる「大きな節目」の時期に関係しているからだと思います。
4~5歳と9歳ぐらいの頃に、心の発達面で大きな変化があるからです。


京都大学大学院教授の子安先生がおっしゃっていたことが、とても印象的です。
「9歳になると子供自身の世界、秘密の世界や、それから悪意というか、意地悪な気持ちというものも非常に強く生まれてくる。そういった心の理解の発達過程を私たちが知っていく必要がある。」

子供の精神的な発達に、親がついていけないということが多いのでしょうね…。
だからこそ、そういう心の発達をきちんと知っていなければならないということです。

学習面についても、こんなことをおっしゃっていました。
「9歳ごろになると分数や小数といった抽象的な考え方が入ってくるし、それから子供の作文の質が変わってくる。つまり、きのうどこどこへ行って何々をしましたという、いわゆる身辺雑記、身の回りのことを何となくつづっていくという書き方だけではなくて、例えば友達って何かとか、平和って何かとか、そういう抽象的なテーマでもって作文を書くことができるというふうに、大きく変わっていく。」

簡単に考えると、幼児期は「自己中心的」な見方しか出来なかったのが、「人と自分は違う」という見方ができるようになってくるということなのではないでしょうか。

教育学者のピアジェの「3つの山の課題」というのがあります。
3種の異なる特徴を持った山の模型を用意し、それをどこから見るかによって見え方が違うことの理解を調べるものです。
幼児期にはなかなか理解できないそうです。
自分が見えている山が、反対から見ても同じに見えると思ってしまう。
そういう自己中心性が、7歳ぐらいまでは強いそうです。
7歳以降にやっと、自分から見るのと人から見るのとは違うということが理解できるようになってくるらしいのです。


話は変わりますが、乳幼児は「写真記憶(映像記憶)」で物を覚えると言われていますよね。
「直観像」とも言われますが、この能力は9歳をピークに衰えていくそうです。
これも、「9歳の壁」と言われる原因の一つになっているような気がします。
今までこのような方法で丸暗記することに頼っていた子は、9歳頃から覚えるということがだんだん難しくなってしまうということでしょうか…。

前回の記事にも書きましたが、ただの丸暗記ではなく概念を理解できているかどうか。
そういうことが、9歳を境に変化を起こす可能性があるということだと思います。

確かに、心の発達面では大きな変化があります。
でも、学習面で言われている「9歳の壁」というのは、なんだか違うのではないでしょうか…。
学習というのは、小さい頃からの積み重ねです。
ある日突然できなくなるというわけではありません。
例えば、積み木を積んでいくようなものだと思います。
きちんと、一つ一つ確実に、正確に積んでいけば・・・簡単には崩れませんよね。
でも、ちょっとズレていたり、欠けていたり・・・そうするとどうでしょう?
積み木はだんだんグラグラし、ある日崩れてしまいます。
そういうものだと私は思うのです。

ですから、「先取り学習が危険」なのではなく「やり方を間違った先取り学習は危険」ということですね。


それと、もう一点。
ずっと前に書いた記事「知能教育って…」で少し触れましたが、中学受験に必要な力の基本となるのは「知能教育」だと思います。
小学1~3年生の中学受験対策の授業というのは何をするかというと、知能教育のような内容なんです。
私が実際に教えている生徒も、そういう内容をやっています。
考え方の基本になるからです。

小学4年生からの受験対策の授業は、本格的な内容になっていきます。
知能教育を全くやらずに突然受験対策の授業をやった場合、つまずく可能性が高いです。
これに関しても、時期的に考えると、やっぱり「9歳の壁」と言われる原因なのかもしれませんね…。


幼児期から知能教育をしっかりやってきたタイプの子は、先取り学習をしたとしてもスムーズに進むはずです。
知能教育というのは、ペーパー学習ではありません。
知能を伸ばす教育です。
遊びを通して、いろんな力を伸ばしてあげることです。
幼児期は、多くの経験をさせてあげて下さい。
遊びや生活経験を通して、自分で物事を解決する方法を見つけられる子にしてあげましょう



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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (まこ)
2011-07-18 13:47:15
いつも興味深く拝読させていただいています。わかりやすくて参考になります!我が子はまだ2才ですが、いろんな経験をさせていきたいと思います。ブログを読んで刺激になります。ありがとうございます☆
返信する
まこ様 (kotetsumaman)
2011-07-18 22:51:31
コメントありがとうございます!
嬉しいです

お子様、2歳なんですね
いろいろ大変なことも多いと思いますが、成長の早さに驚くこともいっぱいの時期ですよね~

また遊びに来てください
返信する
Unknown (ikko)
2011-08-17 21:00:11
こんばんわ~
コメントが大変遅くなりすみません!
以前に読ませていただいて、その時にコメントをしたつもりだったのですが、きちんと送信できていなかったようで…。
ほんと、すみません!
9歳の壁、非常に勉強になりました。
もとは、聾学校の先生の言葉だったのですね。
自分もなんとなく記憶の中でですが、小学校5~6年から変わってきたというか、それまで何にも疑問に思わなかったことを考えたり、自分と他者との違いとか考えたりしていたな~と思いだしました。うすらぼんやりですが 笑
そして、少数と分数に苦労した覚えが…。
でも、生活の中で沢山経験できた子は、
2分の1と3分の1のサイズのケーキがあったら、どっちが大きいのか?とかがわかったり、
紐が一本あって、2分の1に切るってことがイメージできたり、
するのかな~って思いました。
そういうのが、生活で豊富に体験できていることが、大切なんでしょうね。

返信する
Ikko 様 (kotetsumaman)
2011-08-18 22:13:51
わざわざ再コメントありがとうございます!

そうなんですよね、生活の中でどれだけのことを学んでこれたかがポイントなのだと思います。
ペーパー学習ばかりやってたり、詰め込み学習をしてしまったり、そういうことをやってきた場合は壁にぶち当たってしまうんでしょうね…。
私も気を付けなくては
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