旅倶楽部「こま通信」日記

これまで3500日以上世界を旅してきた小松が、より実り多い旅の実現と豊かな日常の為に主催する旅行クラブです。

アルクティクム~ペツァモの「霧の鐘」

2020-01-15 12:10:54 | フィンランド
「ARCTIC」は北極圏という意味。

ロバニェミだけでなく、北極圏全般について科学的と文化的と二方向から展示している。
印象的な建物はデンマーク人の建築家によってデザインされたモノで「夏は温室みたいになって暑い」という評もあるそうだが、冬はとにかく美しいのです↓

↑入り口からまっすぐに続くガラスの屋根の回廊の先には川が見える。
ケミ川とオウナス川の合流点に向かってまっすぐに突き出した建物なのだ。


入口↓

そのの前の階段↓今年はやっぱり雪がすくない

↓こんな時もありました

↓建物自体が地面にもぐりこむようにつくられているので、入り口が道路のずっと下にあるのです↓

↓「この鐘はなんですか?」

↑以前からあったが、そう質問されてはじめてちゃんと解説を読むと、ペチェンガにあった「霧の鐘」とあった。

それって何?
調べていくと20世紀初め、フィンランドがたどった苦難の歴史がわかった。

↓フィンランドの国土は「片手をあげて手を振っているようなカタチだ」と形容される↓※ウィキペディアの地図より

しかし、実は↓1921年から1944年までは「両手」があった↓

右の手の部分が「ペツァモ=ペチェンガ」と言われるエリアで、ソビエトから独立をかちとった第一次大戦後にはフィンランド領だった。
↓霧が出やすいこの場所を航行する船の為、難所には二十秒に一回鳴らすこのような鐘が設置された。

鐘はそのころにヘルシンキの工房でつくられたことがわかっている。
1940-44ソ連の侵入を防ぐために心ならずもナチスドイツと同盟を結んでいたフィンランド。
ドイツ軍はこの地域からソ連領の大都市ムルマンスクへの侵略戦争をはじめた。
1944年、戦局が逆転しソ連の勝ちがみえてくると、フィンランドは領地の一部をソ連に割譲して平和条約に同意してもらった。
ソ連領になる前に、この鐘はフィンランド領に避難してきたというわけだ。
なるほど。
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サーモン漁はもちろん大きな産業だった

ケミ川では毎日トン単位のサケがとれたそうである。
↓毛皮とサケとがロバニェミの交易で重要な産業になっていた。

ところが、この状況は1948年に激変する。
↓ケミ川に発電所が建設されはじめたのである。

フィンランド最長550㎞のケミ川は河口から上流まで十四のダムが出現し、サーモンがあがってくることはなくなってしまったのだった。
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エルク↓は北米では「ムース」と呼ばれている。トナカイとはまったくちがう。

北極圏の生き物の展示もいろいろあります。
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寝転んでオーロラを見上げることができるこんなコーナーもあります↓

空にはこんな↓

↓こんなすごいのが見られると良いですね(^.^)
↓あれ?何か覗き込んでいる姿になった↓

北極圏のサーメの人々の伝説では、雪原を走るキツネがまきあげる雪煙がオーロラになるとされているのです。
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ロバニェミ図書館

2020-01-15 11:08:48 | フィンランド
終日ロバニェミで自由行動の今日。スキー場の上にあるオウナスヴァアラ・スカイ・ホテルから町に行くバスを手配会社が用意してくれていた。
「ロバニェミの図書にちょっとだけ寄ってくれる?」と頼むと快くOK

観光で訪れる事はほとんどないけれど、一見の価値がある図書館なのです↓

↑三角形のデスクとその間に立つライト
↓高い天井からの自然光を最大限利用できる空間↓

外側から見るとこんな形状↓

↑向こうに見えるのがコンサートホール。市庁舎もすぐとなりにある。
第二次世界大戦末期に撤退するドイツ軍に町の九割を焼き払われたロバニェミ。
アルバート・アアルトという現代フィンランドを代表する建築家が1960年代に都市計画を実現させたのだ。
※2017年にはじめて訪れた時の写真をこちらに載せています
ハードとしての建築もすばらしいけれど、我々のような明らかによそ者の外国人もノーチェックで入ることができるのが実にフィンランド。
図書も自由に見ることができる。ここは日本に関するの本セクション↓

ムーミンももちろん(^.^)

検索できる言葉にサーメ語もあった↓


★ストックホルム市立図書館を思い出す。
1928年にグンナール・アスプルンドによってデザインされたギリシャ神殿のような図書館を、アルバート・アアルトが見ていなかったはずはない。
十四歳年上のアスプルンドが出現させていた「神々しい」と形容したくなるあの空間を、小なりといえどもこのロバニェミ図書館に再現しているように感じるのだ。 勘違いなのかもしれませんが<(_ _)>
※ストックホルム市立図書館を訪れた時のブログをこちらからごらんください


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