山内 圭のブログ(Kiyoshi Yamauchi's Blog)

英語教育、国際姉妹都市交流、ジョン・スタインベック、時事英語などの研究から趣味や日常の話題までいろいろと書き綴ります。

虎よ虎、爛々と燃ゆる

2012-06-12 23:36:59 | 日記
先日紹介した(『爛々と燃ゆる』観劇
参照)スタインベック原作の『爛々と燃ゆる』、原題は、Burning Brightといいます。

このBurning Brightというタイトルは、英国の詩人ウィリアム・ブレイク(William Blake)の「虎」(Tyger, Tyger)(*現代英語で書けば、Tiger, Tigerとなるところ)の詩の一節から取られたものです。

この度の演劇で、幕間にこのウィリアム・ブレイクの詩の朗読をしたいという提案がプロデューサーの塚原英志さんからありました。

ついては、他人が訳したものを勝手に舞台で使うわけにはいかないので、僕に訳してくれという要請がありました。

そこで、訳したのが、以下のものです。


「虎」 William Blake作  山内 圭 訳

虎よ虎、そなたの眼(まなこ)は爛々と燃ゆる
夜の森の中で
いかなる神の手や眼(まなこ)が
そなたの恐ろしい均整のとれた身体(からだ)を作り出すことができたのであろうか?

いかなる深い海や遠い空に
そなたの眼(まなこ)の火は燃えていたのか?
いかなる翼で創造主は天を登ったのか?
いかなる手でその火をつかみ取ったのか?

いかなる肩や技が
そなたの心臓の筋肉をひねり出したのか?
そしてそなたの心臓が鼓動し始めたとき
いかなる恐ろしい手が、いかなる恐ろしい脚が?

いかなる金槌が、いかなる鎖が使われ?
いかなる溶鉱炉でそなたの脳髄は作り出されたのか?
いかなる金床(かなとこ)が、いかなる恐ろしい手が
そなたの恐ろしい身体(からだ)を作り出したのか?

星たちが光の矢を放ち
その涙で天をしめらせるとき
創造主は創造したそなたを見て微笑んだのであろうか?
仔羊を作った同じ創造主がそなたをも作ったのか?

虎よ虎、爛々と燃ゆる
夜の森の中で
いかなる神の手や眼(まなこ)が
そなたの恐ろしい均整のとれた身体(からだ)をあえて作り出したのか?

(以上)

この詩は、虎の均整のとれた力強い体つきを、そしてその爛々と燃ゆる眼をたたえるものです。

ブレイクの詩においては、虎の眼の光る様子をBurning Brightと表現していますが、スタインベックの『爛々と燃ゆる』で燃ゆる眼をしているのは、誰でしょう?

僕の解釈では、登場人物4人の眼は、全て爛々と燃ゆるものだと思います。

今回の舞台では、自分が上のように訳した詩を、浅井透麻さん、青山 碧さん、岡田純一さん、そして塚原英志さんの4人の俳優さんたちが、朗々と諳んじてくれました。



自分の訳した詩が、舞台で読まれるのを聞く、初めての経験でしたが、鳥肌が立つほど感動しました。


コメント
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