碓井広義ブログ

<メディア文化評論家の時評的日録> 
見たり、読んだり、書いたり、時々考えてみたり・・・

もしも、夏目漱石が”隣人”だったら!?

2016年10月15日 | 本・新聞・雑誌・活字


面白く見てきたNHK土曜ドラマ『夏目漱石の妻』が、間もなく終了する。全4回はちょうどいいけど、あっという間だ。原作は、妻・鏡子の語りを筆録した『漱石の思い出』(文春文庫)である。

このドラマを見ていて、漱石夫妻が暮らしている「家」に興味がわいた。というか、単純に「いいなあ、こういう家」と思ったのだ。かつては普通に散見できた日本家屋だが、今どきは、そうはいかない。

漱石が東京・千駄木で暮らしたのは、英国留学から戻った直後の明治36年から、日露戦争をはさんで39年の年末までだ。東京帝国大学や第一高等学校の教壇に立ちながら、徐々に作家へと移行していく時期だ。この間に書いたのが『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕』などである。

森まゆみさんは、著書『千駄木の漱石』(筑摩書房)の中で、漱石を自らの故郷に迎えた“隣人”の如く、その軌跡を丁寧に追っていく。借家だった住居の歴史。生真面目に準備された講義。帝大での学生たちとの軋轢。寺田寅彦など弟子たちとの交流。そして家庭における夫や父としての漱石。

中でも興味を引くのが、小説『道草』で描かれた人間模様と、漱石とその周辺にいる実在の人々との重なり具合。作品は実在の姉、兄、妻、養父などとの確執を浮き彫りにしているのだ。森さんは『吾輩は猫である』を滑稽小説にして近隣憎悪小説、また『道草』を心理小説にして近親憎悪小説と呼んでいるが、卓見である。

さらに本書では、妻である鏡子との“せめぎ合い”も読みどころの一つだ。神経質で夢見がちな夫とヒステリーの妻がいる環境から、なぜいくつもの名作が生まれたのか。「僕は世の中を一大修羅場と心得ている」という漱石自身の言葉が実に味わい深い。

【気まぐれ写真館】 すっかり、あきのそら

2016年10月15日 | 気まぐれ写真館

南海電鉄「不適切アナウンス」騒動をめぐって・・・

2016年10月15日 | メディアでのコメント・論評



フジテレビのネット放送局「ホウドウキョク」に、電話で生出演。

「あしたのコンパス」で、南海電鉄「不適切アナウンス」騒動について解説しました。













大島由香里アナウンサーと古市憲寿さん



*今回の放送を、「あしたのコンパス」のサイトで、視聴することができます。

南海電鉄で車掌が不適切アナウンス「外国人多くご不便を」
http://www.houdoukyoku.jp/pc/archive_play/00042016101201/4

【気まぐれ写真館】 秋曇りの横浜みなとみらい

2016年10月15日 | 気まぐれ写真館