遊心逍遙記

読書三昧は楽しいひととき。遊心と知的好奇心で本とネットを逍遥した読後印象記です。一書がさらに関心の波紋を広げていきます。

『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Beach』 Houghton Mifflin Company

2022-09-29 14:56:35 | レビュー
 本書の内表紙に ”Illustrated in the style of H.A.REY by Vipah Interactive" と記されている。前回ご紹介した英語絵本・電子書籍版の後に出版されたシリーズの1冊でナレーションが付いている。こちらは1999年のコピーライトと表記されている。こちらもお話は実質22ページの絵本。

 ジョージの友達、黄色帽子の男は、ジョージへのサプライズとして彼を海水浴に連れて行った。そこで好奇心旺盛のジョージが引き起こしたエピソードが話材になっている。
 黄色帽子の男は、大きなビーチパラソル、昼食を詰めたバスケットや飲み物を持って行き、砂浜に拠点を据える。海辺でジョージは友だちのベッツィと彼女のおばあさんが来ているのを見つける。
 憩いの場所を整えると、昼食までには時間があるので、ジョージはいろんな遊びを始める。そこから、ジョージがやったエピソードが続く。
1.櫓の上から海水浴場を監視する救護員(lifeguard)の真似をする。
2.ちょっと食べたくなったジョージがバスケットからクラッカーやチーズを取り出すのだが、その都度海カモメ(sea gull)にかすめ取られる。ジョージは海カモメがお腹を空かしているんだと知り、一群れの海カモメたちに、バスケットの中身を振る舞いはじめる。そこに、ベッツィが加わる。
3.夢中になっていると、潮が満ちてきて、バスケットが沖に流されていく。知恵を絞ったジョージがビート板(float)を使い、バスケットを追っかけて、取り戻す。
4.その様子を監視していた救護員から、ジョージは声を掛けられる。
 ”That was some rescue!" と。ジョージはちょっと誇らしくなる。
5.昼食を無くした黄色帽子の男とジョージは、ベッツィのおばあさんから自分が持参した昼食に加わるように誘われる。ジョージのおかげで、ベッツィが海に入るのを怖がらなくなった御礼だと。

 海辺でのジョージのエピソードは、子供たちにとって想像力が膨らんでいくことだろう。海辺に行った経験のある子は自分の経験と重ねていくだろうし、海辺を知らない子はイラストを見ながら海と海水浴場そのものへの想像を膨らませることだろう。

 このジョージ・シリーズを読み継いできてわかったのは、友達の黄色帽子の男は、ジョージをある場所、状況に導き入れる役割だけを担っていることだ。そして、ジョージが主役となりさまざまなことをしでかす。エピソードは、楽しくハッピー・エンドに収まる。最後に黄色帽子の男が現れ、一緒に家に帰るという大枠の設定となっている。

 This is George. という一文から始まる。地の文は殆どが過去形の文。所々で過去完了形の文が現れる。会話の中で現在形の文と未来形の文が出てくる。その範囲で文がまとめられていて平易な文で綴られているので読みやすいし、分かりやすい。年齢の低い子供たちに向いている絵本と言える。

 絵本から、子供たちがこんなフレースを学ぶのだな・・・というので目に止まったもの:
set aside(わきに置)、before long(まもなく)、hungry for a snack(軽い食事をしたくなって)、if only(ただ・・・・だけとしても)。
 
 また、知っている単語だけれど、そんな意味での使い方があるのかと知った単語もある。一つは、miss。ここでは「<・・・・が>ないのに気づく」という意味で使われている。上記エピソード2に出てくる。
   No one would miss just one cracker, thought George.
もう一つは、treat。動詞の意味を知って使ってきたものの、名詞としては、「(めったにない)楽しみ、とてもいいもの」「ごちそう」「おごり;おごる番」などの意味を持つそうだ。私には新しい気づき。
Now George saw who was taking his treats.
It was a sea gull --- and he was still hungry!
という文で、エピソード2に登場する。
 絵本に出てくる単語の意味での使い方を、この年になって初めてて知るとは・・・・。
 私には英語絵本読み/聞きは英語リハビリになっていて、気楽におもしろく楽しめる。

 序でに、過去完了形がどのように出てくるか。抽出してみよう。
She had never been in the ocean before.
She still had not been in the water.
  Soon a whole flock had gathered.
George felt bad --- he hadn't meant to lose the basket.
The lifeguard, who had seen everything from his chair, said ~~~
このような記述が出てくる。上記のエピソードのどれに出てくるか、大凡推測できることだろう。

 絵本を通じて、過去形も過去完了形もこんな風に、自然に身近なものになって行くのだろう。子供たち自身の体験と想像力を絵本の世界で絡ませて行きながら・・・・・。

 英語絵本から学べることがあって、おもしろい。

 ご一読ありがとうございます。

 こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Makes Pancakes』 Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Zoo』 HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT
『Curious George's First Day of School』 Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George Goes to the Hospital 』 MARGRET & H.A.REY Houghton mifflin Harcourt
『Curious George Learns the Alphabet』 H.A.REY Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George and the Birthday Surprise』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company
『Curious George Goes to a Movie』 MARGRET & H.A.REY Houghton Mifflin Company