山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

TPPについて(14)-農業への新規参入の難しさ

2013-04-11 | 農業

 農業への新規参入障壁が主張されております。その中でも農地取得の困難さが挙げられております。「新規就農者(新規参入者)の就農実態に関する調査結果」によれば、新規参入者が就農時に苦労したことの1位が「農地の確保」(57%)で、2位が「資金の確保」(47%)となっております。そして、実際に就農したときの農地確保方法は、借入が65%、購入が15%となっており、圧倒的に借入れが多くなっております。これは農地法の問題で農地取得が困難なこともあるでしょうが、新規参入者が就農時に苦労したことの第2位の「資金の確保」(47%)といったことに起因している可能性もあります。農地は農業にとって必要不可欠なものです。その農地の確保が最大の課題ということは、参入障壁と言われても仕方のないことでしょう。また、この資料には就農以前に参入を断念した方々の情報は含まれておりません。この方々にとっても農地取得の困難さが最大の参入障壁となったのではないかということも想像に難くありません。ただ、農地取得の困難さが農地法によるとものと即断することはできません。一般的には、農地を購入するほどの資金を用意して参入することは少ないとみるべきであろうと思われるからです。

 新規就農後の状況については、「農業所得で生計が成り立っている割合が39%、農業所得で生計が成り立っていない割合が60%」といった数字となっております。また、「農業所得で生計が成り立つ目処をみると、「今後、目処が立ちそう」が56%(目処が立つのは平均2.8 年後)。一方、「いつ目処が立つか見当がつかない」が42%」となっております。これは、新規参入後、現在も就農している方々の数字です。従いまして、離農した方々の数字は含まれておりません。「農業の担い手の現状と課題」によれば、「新規参入者の2~3割は5年以内に離農」しているというのが現実のようです。

 このように新規参入に対して参入障壁が高く、就農したらしたでなかなか生活の目処が立たないといったことでは、ますますなり手が減少するのではないかと危惧されます。

 さて、農業所得で生計が成り立っている方々の平均農産物売上高が約800万円(除く北海道)となっております。とりあえず成功した方々の平均売上が800万円程度ということですので、とても給与所得者の平均給与に及びません。しかも3Kの長時間労働を強いられた結果です。高い志がなければ、なかなか続けられるようには思えません。

 就農時の平均農地面積が約86a(北海道を除く)ですから、とりあえず農業所得で生計を成り立たせるためには10a当り100万円程度の売上が必要ということです。これは米作では実現できない数字です。従って、施設園芸等の集約化農業でなければ実現できないものと考えられます。逆にいえば、集約化農業でなければ農業所得では生計が成立たないことを意味します。

 一方で、農業の大規模化が叫ばれております。農地を集積して諸外国並みに大規模化することにより生産コストを引下げようといった試みですが、「TPPについて(3)-経営規模拡大で対抗できるか?」や「TPPについて(12)-朝日新聞社説にいう農地の集約化とは」で述べておりますが、これはこれで実現するには一部の地域を除いて大変困難なことであろうと考えます。

 新規参入者に関する先の資料が示すとおり、個人レベルでは小規模・集約化した農業が一つの道でないかと思っております。しかし、規模を拡大するには資金的な制約が伴います。それではということで、農業生産法人や一般企業による大規模集約化した農業を目指すといった方向性もあろうかと思います。これについては、「企業等の農業参入について(農林水産省)」のように既に取組みが始まっております。5年後、10年後どのようになっているかを見極める必要があるように思います。

 何れにしても「TPPについて(2)」で述べておりますように三極分化が進むのではないかと考える次第です。私は、これが良くて、これは悪いといっている心算はありません。必要なものは残るべくして残るということかと思っております。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。