茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記30年12月27日「妊活・冷え性の治療。」

2018-12-27 07:32:59 | 日記

本格的な冬の寒さが訪れました。

「妊活」のため当院の鍼灸治療を定期的に受けている患者さんから

『治療を受けるようになって、夫から今年の冬は私の体が去年に比べて温かいと言われました。』とお話がありました。

当院では「妊活」には「冷え」「お血」「ストレス」の改善が重要と考えていますが、冷え性の原因の一つとしては「腎の温煦作用」の低下が考えられます。温煦作用とは身体を温める働きの事です

この方の場合は手足と腰・お腹の冷えが強く感じられ、腎の気が虚している「腎虚証」として治療していました。

「腎虚証」の中の「腎陽虚」であるため温煦作用、気化作用の低下が起こり腰や膝の軟弱化と冷え、四肢の冷えが起きたようです。

鍼灸では「手足の症状には体幹部を刺し」「体幹部の症状には手足を刺す」というのが基本です。

「冷え」の症状が強く、体幹部と手足の症状が出ているので「本治法」は積聚治療で五臓の気を補い局所は「澤田流太極療法」を使い治療しています。

鍼を刺すと患者さんから「手足がじわ~として来ました。暖かい物が指先に動いていくのが分かります。」と言われます。

背部の腎のツボに鍼と灸をして、更に「ビワの葉温湿布」をすると手足の先まで気血が流れ「ぽかぽか」します。

鍼灸治療は気血水の滞りによる、各種の痛みや冷え性によく効きます。


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壽堂日記30年12月18日「妊活・脾虚証と不正出血。」

2018-12-18 08:55:53 | 日記

ことぶき堂鍼灸院では東洋医学的な人体観に基づいて妊活・不妊症の治療に取り組んでおります。

「卵巣過剰刺激症候群」による不正出血を治療した患者さんから当院で「鍼灸による妊活」を受けたいと相談を受けました。

排卵誘発剤を使用したことで体が「脾陽虚」の状態でしたので継続して鍼灸治療を受け「脾虚」を補う事は「妊娠し易い体を造る。」第一歩になると思います。

不正出血治療は腹診して証として「脾陽虚」で治療しました。

東洋医学の理論では「脾気」が虚して統血機能が低下すると各種の出血症が起きるとされています。

統血とは血を脈外に漏らさず体内を巡らす働きのことで「脾」がその働きを担うと考えています。

「脾気」が衰えると出血傾向が現れやすく、吐血、血便、血尿、皮下出血、鼻血、月経過多、不正出血などの症状がでます。

その場合は「脾気」を補う治療を行うと「統血機能」が回復して出血が止まります。

「脾陽虚」は「脾気虚」が進行して「脾陽虚」となったケースと「腎陽虚」が影響を及ぼして「脾陽虚」になったケースの2種類があり、それを「四診」を使って判断するわけです。

大元の「虚している臓」の気を補うのを「本治法」と言いますが、当院では先ず「積聚治療」で「本治法」を行い、虚している気を補い、個々の症状に合わせて標治法として様々な配穴を使用しています。


東洋医学において、大きく分けて肝・脾・肺・腎の4つが、妊娠に影響すると言われています。

脾の気が不足すると、妊娠の障害となる様々な症状が出てきます。

患者さんと先ず「脾虚」の状態を治し「妊娠し易い体を作りましょう。」と治療方針を決めました。


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壽堂日記30年12月17日「東洋医学的な考えに基づく妊活・不妊症の治療とは。」

2018-12-17 08:28:11 | 日記

「ことぶき堂鍼灸院」で妊活をされていた方から『無事生まれました。母子ともに順調です。』と連絡を頂き

ました。赤ちゃんのご誕生、心からお慶び申し上げます。

 

「ことぶき堂鍼灸院」では医学的な人体観に基づき鍼灸による「妊活・不妊症」治療を行っております。

当院では冷え・お血・ストレスが妊娠に影響を与える大きな要因と考え、鍼灸治療で母体となる女性の体調を管理・調えることを目的とした治療を行っております。

卵巣・子宮の存在する骨盤腔の中の血流を良くすることは当然のことながら、生殖に関係するホルモンの分泌を調え、消化器系の機能を調える事が卵の発育には欠かせません。

現代の様なストレス社会において、人は常にストレスに曝されています。ストレスは気・血・水の流れの変調をもたらします。

ストレスが不妊症の原因となるのは「ストレスによってホルモンバランスが崩れる。」のが原因で、実はストレスに対抗するホルモンを分泌する器官と、生殖活動を行う際に必要となるホルモンを分泌する器官は同じことが多いのです。

モントリオール大学のハンス・セリエ教授が提唱した「ストレス学説」によれば、過度のストレスにさらされると人間の体は防衛反応として視床下部にある自律神経の中枢が興奮を起こし、副腎髄質がホルモンを分泌して「防衛行動=緊急反応」をとります。

妊娠に必要な性腺刺激ホルモンも、この視床下部を通して分泌されています。

そのため、ストレスへの防衛行動が優先されて、生殖活動に必要なホルモンが十分に分泌されない場合があります。そうなると、ストレスで妊娠しづらくなり、その不妊によってさらにストレスが溜まると言う悪循環になります。

妊活・不妊症の改善に、ストレス解消が欠かせないのはその様な理由があるからです。

鍼灸治療は気・血・水の流れ・陰陽バランスを調える治療であり、また自律神経の興奮を鎮静化させる効果があります。

東洋医学では肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれ肝はストレスが影響を与えやすい臓腑であると考えられます。

肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・お血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

このお血の状態が進むと、軽い症状としては頭痛・肩凝り・月経前のイライラ・めまい・足の冷えとして現れます。

鍼灸を用いて、経脈上のツボを刺激することによって女性が本来持っている力を引出し、卵巣と子宮の機能が高まると、妊娠し易い体質へと改善されていきます。

また黄体機能不全、卵巣過剰刺激症候群などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。


当院では東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては現代医学との併用が有効と考えます。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い、「ストレス」「お血」「体の冷え」を治療し妊娠し易い体を造ることを目標とし治療をしております。


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壽堂日記30年12月12日「坐骨神経の走行ラインが痛む?」

2018-12-12 08:47:43 | 日記

『腰痛で足が痺れます。』と患者さんが見えられました。お話を伺うと病院で腰椎の癒着があると診断されたそうです。

病院では痛み止めと湿布が処方されたそうですが、外科的な措置は難しい様です。

触診すると足の親指と小指の痺れ、足関節前面と下腿前面の前脛骨筋の痛みが強く出ているようです。

経穴で考えれば太衝・俠谿・解谿・条口・足三里に該当する付近です。

ここで反応が強い部分を整理してみると

①太衝は足の厥陰肝経の原穴で前脛骨動脈幹が弓状動脈を形成する分岐部に当たります。

太衝部分の筋肉は第一背側骨間筋で運動神経は外側足底神経、知覚神経は深腓骨神経です。

②俠谿は足の少陽胆経に属し筋肉は第四背側骨間筋で運動神経は外側足底神経(内側足底神経)、知覚神経は浅腓骨神経です。

③解谿は足の陽明胃経の経火穴で筋肉は前脛骨筋腱・長母指伸筋腱・長指伸筋腱で運動神経は深腓骨神経、知覚神経は浅腓骨神経で血管は前脛骨動脈です。

④条口は足の陽明胃経に属し筋肉は前脛骨筋で運動神経は深腓骨神経、知覚神経は外側腓腹神経で血管は前脛骨動脈です。

⑤足三里は足の陽明胃経の合土穴で筋肉は前脛骨筋で運動神経は深腓骨神経、知覚神経は外側腓腹神経で血管は前脛骨動脈です。

痛みが強いのはいずれも坐骨神経の走行ライン上の様です。坐骨神経の走行は、腰仙骨神経叢を出た後、梨状筋の前面を通り大坐骨孔を通り大胆後面を下降し膝窩の上方で総腓骨神経と脛骨神経に分かれさらに脛骨神経は踝の付近で足底神経に分枝します。

伏臥位で背部を軽擦すると腰部の脊椎に数か所突出している部分が観察され腰神経叢にトラブルが考えられます。*腰神経叢は第12胸神経~第4腰神経の前枝から構成されています。

また肩部は筋肉が固まっていて脊柱起立筋が頸から腰までが厚く固くなり、両方の臀部の筋肉が固く小野寺臀部点に著明な圧痛があり下腿も筋肉の緊張と圧痛が認められました。

痛む場所は坐骨神経の走行ラインと合致している様であり、足の痺れも坐骨神経の症状の様に思えます。

当院では「経絡治療」が確立される前の古流の鍼灸術である「澤田流鍼灸術」と「経絡治療」とを併せて使用して治療しています。

今回は先ず「腎虚証」で証を立て虚している「腎の気」を補い、その後に澤田流鍼灸術を使い肩部と腰部と下腿の凝りを緩め腰陽関と仙骨周りを箱灸で温めた後に脊椎の腰神経叢部分にビワの葉灸を行いました。

背面で治療を終えて、今度は仰臥位で治療、両足の太衝・俠谿・解谿・条口・足三里に鍼と灸をして最後に貼る鍼をして経絡の流れを調えました。

患者さんは治療を終えて『腰の痛みが全然違います、足の痺れが無くなりました。』と喜んでお帰りになりました。

 

 

 


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壽堂日記30年12月10日「鍼灸治療は免疫力を高める?」

2018-12-10 07:54:20 | 日記

当院では鍼灸によるがんの患者さんに疼痛緩和ケアを行っております。

患者さんから『鍼灸は免疫作用を高めますか?』と質問されました。

鍼灸施術の治療的作用の中には「鎮痛作用」「防衛作用」「免疫作用」があります。

「鎮痛作用」は内因性モルヒネ様物質あるいは下行性抑制などの機序により、鎮痛作用が発現するとされています。

「防衛作用」とは白血球や大貪食細胞などを増加させて、各種疾患の治癒機能を促進させ、生体の防御機能を高めるとされています。

「免疫作用」とは免疫能を高める作用ですが、鍼刺激による免疫系への影響は神経系、内分泌系および免疫系の応答による末梢の反応に加えて、中枢の関与による相補的な効果と考えられています。

血液中の生体防御機構として働く補体系、肥満細胞、プロスタグランジン、サイトカイン、B細胞、T細胞、リンパ球に対するβーエンドルフイン、NK細胞など様々な要素がありますが、鍼刺激により血中へのT細胞やNK細胞の移行が促進することが動物やヒトで報告されています。

鍼灸刺激による免疫系への作用は自律神経を介した作用である可能性が示唆されています。

自律神経は免疫組織に分布しており、免疫組織の血管を支配する事により組織内の血流を調節する関接作用と、免疫担当細胞に直接作用する働きがあります。

鍼灸治療は鍼・灸により自律神経系、内分泌系、免疫系に刺激を与え生体の恒常性維持機構の賦活を導きだす治療法とされています。

ですから鍼灸で直接「がん」が治癒することは残念ながらありませんが、免疫系が活性化することで体調が良くなることはあります。


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