茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記30年4月28日「腰痛・殿筋の痛み・トレンデレンブルグ徴候・足先の麻痺。」

2018-04-28 06:28:20 | 日記

『腰とお尻の筋肉が痛く足がしびれ歩けません。』と患者さんがお見えになりました。脊椎すべり症があり整形外科で薬を処方されているとの事ですが、痛み止めだけだそうです。

「痛み止め」で痛みは軽減されますが殿筋や足の痺れは改善されない様です。

視診すると歩行時にトレンデレンブルグ徴候が見られます。腹診すると腸骨内側の下腹部に圧痛点があり、大腿前面・大腿外側・下腿外側に圧痛点があります。

腰神経叢のL2~L4の神経は大腿内側から前面の筋肉を支配しているので腰から何らかの影響が来ていると考えられます。

背部を診察すると脊椎のL2・L3・L4が少し飛び出しており脊椎がJの型に曲がっています。臀部の筋肉が固く小野寺臀部点や太陽膀胱経に沿って圧痛点があります。

視診・触診した限りでは脊椎が癒着した後にすべり症を起こしたように見受けられます。また中殿筋の麻痺もあるようです。

治療としては腎虚証として先ず「本治法」を行い「虚している腎の気を補い」体全体の気血の流れを調えます。

積聚鍼で健側に鍼を当て患側に気を流すイメージで治療すると「反対側に響きます。とても不思議です。」との事です。鍼で全身の気血の流れを調えてから澤田流鍼灸術を用いて「補助治療」を行います。

癒着している腰椎に鍼を刺すのでは無く伏臥位で膀胱経の二行線に軽く鍼とお灸をしてからL2・L3付近をビワの葉温灸でじんわりと温めて、臀部と大腿・下腿の膀胱経のラインに鍼とお灸をして更に仰臥位で外側広筋・大腿直筋・前脛骨筋の経穴に鍼とお灸をして気血の流れを調えました。

腰陽関にお灸をすると「とても気持ちが良いです。両足の先まで温かさが染み透ります。」との事でした。

東洋医学では「不通即痛」と言われ気血の流れが滞ると痛みが生ずると考えられています。

全体の気血の流れを調える治療をしたところ腰の痛みが和らぎ、殿筋の痛みも取れ、足の痺れが良くなり、ゆっくりですが歩けるまでに回復しました。

 

 


 


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壽堂日記30年4月24日「むち打ち損傷の鍼灸治療。」

2018-04-24 07:36:49 | 日記

交通事故で「むち打ち損傷」になられた方から治療についてお問い合わせがありました。

当院では交通事故による「むち打ち損傷」の自賠責保険による鍼灸治療を行っております。

「むち打ち損傷」の治療で鍼灸治療と思われるかも知れませんが、「頸椎症」や「むち打ち症」には鍼がとても効果的です。
整形・整骨などで行う、牽引は頸の椎骨動脈が「むち打ち」の衝撃で折れ曲がっているときやヘルニアでは、牽引によって頸椎を引き伸ばし、椎骨動脈を真っ直ぐにしたり、椎間板内を陰圧にしてヘルニアを引っ込めたりします。「むち打ち損傷」=外傷性頸部症候群(TCS)の治療について、ケベックWAD(むち打ち症関連障害)重症度分類では頸椎牽引は他の治療法との併用を推奨しております。
治療についてお医者さんの指示に従うのは当然ですが、頸椎牽引・物理療法(温熱、マッサージ、低周波)の他に鍼灸治療も選択肢に入れておくと良いと思います。 

交通事故による「むち打ち損傷」ではありませんが、スポーツ傷害による「頸椎症」で何十年も辛い症状に悩まされていた方が、当院で鍼灸治療を受けられ良くなっていく例を間近で見ても鍼灸治療は「外傷性頸部症候群(TCS)」の治療に非常に有効であると思います。

患者様個々の症状に合わせて治療するのが、なにより重要です。

当院では熟練の手技と鍼と灸のみで、常に患者さんの傍らに付き添い治療いたします。

頑固になった「むち打ち損傷」の症状は、なかなか簡単にほぐれたり、治ったりするものではありません。

1治療方針
当院では「むち打ち損傷」=外傷性頸部症候群(TCS)の治療について、ケベックWAD(むち打ち症関連障害)重症度分類により治療計画を作成しております。 
GradeⅡまでは鍼灸治療を併用するのが非常に効果的です。GradeⅢ以上は外傷性頸髄・神経根損傷にカテゴライズされておりますので当院ではGradeⅡまでの外傷性頸部症候群(TCS)の治療を行っております。

2受傷機序
効果的な治療をするには「むち打ち損傷」の受傷機序について考えて治療することが非常に重要です。
まず 、追突衝撃により、体幹が前上方に投げ出される様な力がかかり、頭部は慣性によりその場に残るため、相対的に上位頸椎は屈曲位、下位頸椎は伸展位となり、その後に全頸椎が伸展位を取るという、頸椎椎間関節への圧迫負荷による障害を受けます。
さらに、上位頸椎後方を支えている後頭下筋群や、大小後頭神経等の軟部組織も急激な屈曲に伴う過伸展に大きなダメージを受けます。当院の「むち打ち損傷」の治療ではこの受傷機序を前提に患者様の体を診ながら適切な場所に治療いたします。

3治療内容
受傷機序から、まず「後頭下筋群」に対する治療を行います。
後頭骨と頸椎からは様々な神経が出ています、大後頭神経・小後頭神経・大耳介神経・頸横神経・顔面神経などが代表的な物ですが、こうした神経は筋肉が痙攣すると圧迫されおかしくなります。
これらの神経の根部を締め付けているのは、上頭斜筋・後頭直筋 ・大後頭直筋・下頭斜筋などになりますので、これらの筋肉を緩めて神経の圧迫を取り除くため、その筋肉に対してアプローチいたします。
次に「頸部浅層筋」に対する治療を行います。僧帽筋・胸鎖乳突筋 ・頭半棘筋・頭板状筋・頭最長筋などは急性期の筋痛が改善した後も、凝り感が続く場合が多く、その場合は緊張や循環の改善を目的として「頸部浅層筋」に対するアプローチをいたします。
当院では、ごく細い鍼を使用し筋肉を緩め、頸部の血流を改善する治療を行い、さらに円皮鍼を使用し鍼の効果を持続させる治療をしております。なぜ鍼で痛みが軽減し、筋肉が緩み、血行が良くなるのかは、以前ブログで御紹介したのでそちらを御覧下さい。
当院では土日も開院しておりますので、安心して治療に専念出来ます。
当院では個々の患者様に合わせた治療計画を考え、早期回復、早期職場復帰を目指し治療しております。

多くの方が事故後、当初は痛みがそれほどで無かったとしても、運が悪く示談後の1~6ケ月後に症状が出てくるケースもありますので、まずは少しの痛みだけだったとしても、示談前にしっかりとした鍼灸治療を受けられることを当院では強くお勧めしておりま


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壽堂日記30年4月19日「つわりの鍼灸治療。」

2018-04-19 07:02:07 | 日記

当院で「妊活」の治療を受けられ妊娠された患者さんが「悪阻(つわり)」の治療を受けに来られました。

吐き気・背痛・腰痛が辛く『鍼灸でつわりを何とかして欲しい。』とのご希望でした。

東洋医学的には「つわり」は脾胃虚弱体質のため、妊娠後に下焦に血が盛んとなり衝脈の気が上逆して、胃を犯し、胃が和降を失い発症すると考えられています。

当院では刺さない鍼を使用する「本治法」で体全体の治療を行い、体全体の陰陽バランスを調えた後に腸と胃の調和を図る治療をします。

今回は本治法は「脾虚証」で行いました。

「つわり」の処方は多くありますが膻中(だんちゅう)と背面の脊柱上の貫抜き灸と内関の組み合わせを採用しました。

先ず背部の督脈経の陶道から身柱・筋縮までを按圧して反応の強い所にお灸をして、次に前胸部の任脈経を璇璣(せんき)から膻中(だんちゅう)・中庭まで按圧して反応の強い所にお灸をします。

膻中(だんちゅう)の作用の一つに調気降逆作用があり、内関は胃・心・胸に通じ寧心安神、理気降逆の作用があります。

この二つのツボの相互作用が「つわり」に効果を発揮します。

当院では不妊症の鍼灸治療を行っておりますが、妊娠された後はつわり・妊娠浮腫・逆子など出産までの体調管理も行っております。


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壽堂日記30年4月14日「妊活・生理不順・お血とは?」

2018-04-14 06:40:04 | 日記

当院では鍼灸による妊活・不妊症の治療を施術していますが、不妊症の原因の多くは「冷え」と「瘀(お)血」と「ストレス」と考えます。

「生理不順」と言う事で治療にみえられた方のお腹を診察したら下腹部が硬く冷たく「冷え」と「瘀(お)血」が強く、典型的な「瘀(お)血」の証でした。

再度お見えになられ『先週治療を受けてから程無く生理が来ました。』と報告を頂きました。

治療は「腎虚証」で全体治療を行い、ビワの葉温灸や標治法で四満・腰陽関・血海などを使用しました。

今回は「瘀(お)血」について簡単に説明してみたいと思います。

「瘀(お)血」は悪血・古血とも呼ばれています。


当院では腹診で証を立てそれに従い鍼灸治療をしていますが、肩こり・のぼせ・冷え性・生理不順・不妊症等の症状で来院される方の中には左下腹部に圧痛や硬血や冷感域があることが多く「瘀(お)血」の症状が見られることがあります。

東洋医学では流れが悪く滞りがちな血液を「瘀(お)血」と呼び、血液が正常な状態に比べて粘度が強く流れが悪く、よどんだ状態の事を言います。

また東洋医学では左下腹部の圧痛や硬結や冷感域を特に「瘀(お)血の証」と呼んでいます。


不妊症の治療では「肝・腎・脾」の3臓を調えることが重要となります。

「瘀(お)血」の関係が深い臓も「肝・腎・脾」となりますが、肝は血を蔵し(肝蔵血)、肝血が不足すると月経量が少なくなりひどい場合は閉経したりします。

また肝不蔵血の場合は月経量が多くなりひどいと不性器出血が起きます。

肝の血流調節の機能は蔵血と疏泄機能のバランスが保たれて初めて正常に行われるもので、肝の疏泄機能が衰えると生理不順・生理痛が起きやすく、「瘀(お)血」が出来やすいのです。

肝は血を蓄え、体の血量を調節する働きをしています。

東洋医学では「肝は血を蔵する」と言われています。

肝は過度の怒り(怒る・イライラするということ)が起きると、精神上の激しい刺激を受けてその正常な働きができなくなり、酷いときは吐血まで引き起こすことがあるといわれています。

つまり肝経の血の流れ、特に、骨盤内の流れが悪くなることにより、冷え症・瘀(お)血が出現します。

女性の場合、骨盤内に子宮という血液を集めたり、出したりを繰り返す臓器があるために、月経がスムーズに繰り返さなければ、瘀(お)血という形で滞った悪い血が溜まってきます。

この瘀(お)血の状態が進むと、頭痛・めまい・肩凝り・のぼせ・生理不順・生理痛・月経前のイライラ・冷え性等の症状が現れ、また不妊症の原因ともなります。

当院では鍼とお灸を使い体の陰陽バランスを調え、妊娠しやすい体造りをお手伝いします。


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壽堂日記30年4月12日「不眠症・頸凝り・肩凝りの鍼。」

2018-04-12 07:22:04 | 日記

「不眠症・頸凝り・肩凝り」の患者さんが見えられました。

お話を伺うと「肩こりが辛く、神経が昂って夜眠れない。肩凝りと興奮した神経を穏やかにする鍼をして欲しい。」と云うことでした。

三月の年度末から忙しく仕事をされているそうです。お仕事による肉体的な疲れと精神的なストレスとが蓄積されていると拝察されます。

今回の治療方針は先ず「虚を補い」その後に「寧心安神」の処方を行う事としました。

「寧心安神」は簡単に言うとを精神不安状態を安定させることになります。

当院では妊活中の方に「ストレス」の緩和の施術を行う事が多いわけですが「寧心安神・ストレス緩和」の治療は得意とするところです。

現代医学的には「睡眠」は延髄にある「睡眠中枢」でコントロールされているのですが東洋医学では「神不安、則不寝」といい、「神」が不安定になると眠れないとしています。

「神」というのは、広義には姿形、顔色、眼光、語勢など体の外に現われる生命現象を指しますが、狭義には意識、思考、思惟などの高次神経機能を指します。こうした「神」の働きが乱れると眠れないというのです。

「不眠」の原因は心脾不足・心腎不交・腎水不足・心火不降・水火不済・陰虚火旺など多く考えられます。

今回は四診を総合して判断すると「心脾両虚」による「不眠症」のようです。

 「脾積脾虚証」で本治法を行い標治法は四神聡穴+百会穴と安眠穴を用いその後にMT温灸を経絡に沿って丁寧に掛けました。

標治法で使用した四神聡穴(百会の前後左右親指の幅1本)の「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。

 

 


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