茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和2年2月9日「妊活・不妊症の鍼灸治療。」

2020-02-09 07:41:27 | 日記

当院では「妊活・不妊症治療」を施術しております。

当院の「妊活・不妊症治療」の目標は「母胎を妊娠し易い状態に改善すること。」です、基本的に「積聚治療」で体全体を治療するので、その日の体調により「証」がことなります。

「症」と「証」の違いですが、文字で説明いたしますと、
「症・症候」とは頭痛・肩凝り・腰痛・不妊症など患者様の訴える具体的な病的な状態、自覚的な症状を言います。


「証」とは、望診・聞診・問診・切診と呼ばれる診断方式(四診といいます)によって、患者さんが表す具体的な病状から、どの経絡が変動し、その経絡が「虚しているか」「実しているか」を判断し治療方針を決定することを言います。
そして治療方針を決定することを「証を立てる」と言います。

「積聚治療」の場合「証」は「肝虚証」「心虚証」「脾虚証」「肺虚証」「腎虚証」の五種類があり、その証を決定するために「腹診」を用います。(腹部に「五臓」の状態が現れるという考えは東洋医学の古典『難経』16難に書かれています。)

一例をあげますと「不妊症」の症状がある場合「腹診」によって腹部の脾のエリアに圧痛・硬いしこり・動脈の異常な拍動がある場合は、「不妊症」の原因が「脾の気の虚」であると考え「脾虚証」として「証を立て」脾虚の治療方式に従い鍼灸治療を行います。

治療により「脾の虚」が補われると経絡の変動が調整され、脾のエリアの圧痛・硬いしこり・動脈の異常な拍動が解消し、同時に「不妊の症状」も改善されて行きます。

今回は「脾虚証」の例をあげましたが「脾」という臓腑は「胃」とペアになっており、「脾・胃」は東洋医学では「後天の精」を食物から生成する重要な器官です。


西洋医学的に言えば「食物から栄養を摂取し生命活動に必要なエネルギーを供給する工場」ですので、この臓器の不調によりエネルギー不足で体の「冷え」が起き、体が「冷え」ていることが原因で「不妊症」などの症状が出ていると考えます。

母胎の環境を調え妊娠し易い体に改善するためには、総合的な体力向上が必要ですので、一回の治療で「不妊症」が全て改善と言うわけには行きません。少しずつ着実に母胎の状態を調えていくことが妊娠するために必要です。


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壽堂日記令和2年2月8日「不眠症・頸こり・肩こりの鍼灸治療。」

2020-02-08 07:47:02 | 日記

「不眠症・頸こり・肩こり」の患者さんが見えられました。

お話を伺うと「肩こりが辛く、神経が昂って夜眠れない。肩凝りと興奮した神経を穏やかにする鍼をして欲しい。」と云うことでした。

お仕事による肉体的な疲れと精神的なストレスとが蓄積されている様です。

今回の治療方針は先ず「虚を補い」その後に「寧心安神」の処方を行う事としました。

「寧心安神」は簡単に言うとを精神不安状態を安定させることになります。

当院では妊活中の方に「ストレス」の緩和の施術を行う事が多いわけですが「寧心安神・ストレス緩和」の治療は得意とするところです。

現代医学的には「睡眠」は延髄にある「睡眠中枢」でコントロールされているのですが東洋医学では「神不安、則不寝」といい、「神」が不安定になると眠れないとしています。

「神」というのは、広義には姿形、顔色、眼光、語勢など体の外に現われる生命現象を指しますが、狭義には意識、思考、思惟などの高次神経機能を指します。こうした「神」の働きが乱れると眠れないというのです。

「不眠」の原因は心脾不足・心腎不交・腎水不足・心火不降・水火不済・陰虚火旺など多く考えられます。

今回は四診を総合して判断すると「心脾両虚」による「不眠症」のようです。

 「脾積脾虚証」で本治法を行い標治法は四神聡穴+百会穴と安眠穴を用いその後にMT温灸を経絡に沿って丁寧に掛けました。

標治法で使用した四神聡穴(百会の前後左右親指の幅1本)の「神」は精神の意味、「聡」は聡明の意味で、精神状態を落ち着かせることができ、自律神経のバランスが是正され、頭の感じをスッキリさせる効果があるツボです。

 

 


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壽堂日記令和2年2月7日「脊椎すべり症と足の痺れの鍼灸治療。」

2020-02-07 08:24:36 | 日記

『腰が悪く足がしびれ歩けません。』と患者さんがお見えになりました。整形外科で薬を処方されている訳ですが、痛み止めだけだそうです。

「痛み止め」で痛みは軽減されますが足の痺れは改善されない様です。

腹診すると腸骨内側の下腹部に圧痛点があり、大腿前面・大腿外側・下腿外側に圧痛点があります。

腰神経叢のL2~L4の神経は大腿内側から前面の筋肉を支配しているので腰から何らかの影響が来ていると考えられます。

背部を診察すると脊椎のL2・L3・L4が少し飛び出しており臀部の筋肉が固く太陽膀胱経に沿って圧痛点があります。

視診・触診した限りでは脊椎が癒着した後にすべり症を起こしたように見受けられます。

治療としては腎虚証として先ず「本治法」を行い「虚している腎の気を補い」体全体の気血の流れを調えます。

その後に澤田流鍼灸術を用いて「補助治療」を行います。

癒着している腰椎に鍼を刺すのでは無く伏臥位で膀胱経の二行線に軽く鍼とお灸をしてからL2・L3付近をビワの葉温灸でじんわりと温めて、臀部と大腿・下腿の膀胱経のラインに鍼とお灸をして更に仰臥位で外側広筋・大腿直筋・前脛骨筋の経穴に鍼とお灸をして気血の流れを調えました。

東洋医学では「不通即痛」と言われ気血の流れが滞ると痛みが生ずると考えられています。

全体の気血の流れを調える治療をしたところ痛みが和らぎ、足の痺れが良くなり、ゆっくりですが歩けるまでに回復しました。

外因として寒さも体に影響を与えている様です。

 

 


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