茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和2年1月27日「踵の痛みの鍼灸治療。」

2020-01-27 07:55:48 | 日記

「大寒」が過ぎて「立春」まで一年で一番寒い時季に入りました。

『踵が痛くて足を床に着くことが出来ません。鍼灸で治療できますか?』と患者さんがお見えになりました。

診察すると数十年前に骨折の経験があり、足首から踵骨までが硬く太く、足底が氷の様に冷えており、足の痺れもあり、腎経の然谷付近の圧痛が著明で、何年も前から痛くて数メートル歩くのも辛いということです。

「踵の痛み」の鍼灸処方は多くありますが、鍼灸が初めてと言う事なので、本治法は「積聚治療」の腎虚証で腎の気を補い、標治法は澤田流鍼灸術を使用して「崑崙・太谿・大鐘・承山」に鍼をした後に四畔(しはん)と然谷にお灸をして治療を終え、様子を見てもらう事にしました。

治療後には症状が改善し『足を床に着けることが出来ます。』と喜んで頂きました。

今回は腎の気が虚しているところに、ここ数日の寒さが影響して、痛みが増悪したようです。


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壽堂日記令和2年1月25日「妊活・胚移植の前後に鍼灸治療。」

2020-01-25 07:33:27 | 日記

「胚盤胞による体外受精」をされた患者さんが鍼灸治療を受けに見えられました。 気血の流れを調え、ストレスを緩和することが目的です。

「胚移植」の直前と移植後に鍼灸治療を受けると妊娠率や出産に至る確率が高まる事はよく知られており「胚移植」前後に治療を受けられる患者さんは多いのです。

この元になった研究はアメリカのメリーランド大学医学部統合医療センターの研究員らの調査で「体外受精時の胚移植の前後に鍼治療を受けることで、その後の妊娠率や出産に至る確率が高まることが明らかになった。」と報告されています。

こ の報告は欧米4ヶ国で実施された1366名の女性を対象に、体外受精時の胚移植の前後に、伝統的な鍼治療を受けた女性のグループ、にせの鍼治療を受けた女 性のグループ、そして、何も施されなかった女性のグループのその後の成績を比較したところ、伝統的な鍼治療を受けたグループは他のグループに比べて、妊娠 した割合が65%、そして、出産に至った割合が2倍であることが分かったそうです。

体外受精時の胚移植の前後の鍼治療は、その後の妊娠率や出産率を向上させることがデータで裏づけたられた訳ですね。

鍼灸治療が不妊治療に有効であることを示す各国の論文としてはその他に代表的なものとして

・胚移植日にはり治療を行うと体外受精、顕微受精の妊娠率を上昇させる。
 273例を研究対象とし、はりを行わない群では22%の妊娠、はり治療群では36%の妊娠率であり、はり治療群が妊娠率が高かった。(アメリカ生殖医学学会誌2006年 デンマークでの研究結果)

・体外受精と顕微授精例の黄体期には、はり治療を行うと、はり治療群に妊娠率が高かった。
 225例を対象とした、はりを行わなかった群では13.8%、行った群では28.4%の妊娠率ではり治療群に妊娠率が高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 ドイツでの研究結果)

・体外受精例にハリ治療を3回行い、ハリ治療群に妊娠率が高かった。
228例を対象に、HMG(排卵誘発剤)注射時、採卵前、採卵直後にハリを行い。行わない群では23%、ハリ治療群では31%の妊娠率で、ハリ治療群に妊娠率は高かった。
(アメリカ生殖医学学会誌2006年 オーストラリアから研究結果)

などがありますし、国内でも同様な研究成果が報告されています。

鍼治療がどのようなメカニズムで不妊治療の成功率を高めるのかはよく分からないとしていますが、ストレス緩和の効果も大きいのではないかとされています。

ストレスを受けることで、人の気血水の流れが変調します。

胚移植の前後の気血の流れの変調は、胚が着床し、妊娠が継続することに、何らかの影響を及ぼしていると考えられます。

体外受精を受ける女性にとって、胚移植の前後に鍼灸治療を受けて、気血の流れを調え、ストレスを緩和することはとても大切です。

当院では体外受精の胚を戻す前と後に鍼灸治療を受けることをお勧めしております。


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壽堂日記令和2年1月16日「鍼灸治療とアンチエイジング。」

2020-01-16 06:20:43 | 日記

「鍼灸治療と老化」=アンチエイジングについて考えてみたいと思います。 

東洋医学では、老化現象は腎気(腎精)の衰えによって起こると考えます。
つまり腎に蔵されている先天の精が少なくなることにより老化が起こります。
腎気不足の症状として骨や歯がもろくなる、腰痛、下肢のだるさ、下腹部の無力などがあります。
では腎気を補えば老化現象が止まるのか?止まることはないけれども、老化の速度が遅くはなるのではと思います。

先天の精は、食物から創られる後天の精で補充されていますが、病気などで気・血・陰陽が消耗すると老化が早まります。
病気が原因で「精気の虚」が起きた場合は、気を補うと、本来の年齢のレベルまで「精気の虚」は回復しますが、年齢が老化の原因の場合は「精気の虚」はその年齢以上に回復はしません。
しかし、鍼灸治療で全身の気血の流れを調える事で、臓腑の機能を活性化し、「後天の精」を補う事である程度の年齢まで若々しい体を保つ事は可能です。
鍼灸治療はアンチエイジングの思想の原点であるかも知れませんね。

私が治療するのは60代・70代の方が多いのですが、年齢に比べ外見が若々しい方が多いですね。
毎週何回か鍼灸治療を受けているのが秘訣であろうと思います。

では具体的に何を目的に鍼灸治療をするのかを考えますと
1、廃用性症候群の予防:腰、膝の痛みを軽減することで活動性を高める。
2、未病を治す:全身調整により免疫力、自然治癒力を高める。
3、生活の質を高める:心身の状態をより快適に保つ。
4、心身の安らぎをはかる:心理的な安心巻、充足感を与える。
などをが上げられます。

私は上記の四点を目的に鍼灸治療を行っていますが、具体的には「腎虚」であれば本治法で腎気を補い、さらに標治法で局所の症状に対して治療を行います。

鍼灸治療で痛みを軽減するだけで、生活の質(QOL)は格段に向上するし、活動的な生活を送れると思います。
慢性の疼痛でお悩みの方は、一度、鍼灸治療を受けて見られることお勧めいたします。


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壽堂日記令和2年1月13日「妊活・冷え性の治療。」

2020-01-13 07:19:51 | 日記

「寒中」で寒い日が続きますね。

「妊活」のため当院の鍼灸治療を定期的に受けている患者さんから

『治療を受けるようになって、夫から今年の冬は私の体が去年に比べて温かいと言われました。』とお話がありました。

当院では「妊活」には「冷え」「お血」「ストレス」の改善が重要と考えていますが、冷え性の原因の一つとしては「腎の温煦作用」の低下が考えられます。温煦作用とは身体を温める働きの事です

この方の場合は手足と腰・お腹の冷えが強く感じられ、腎の気が虚している「腎虚証」として治療していました。

「腎虚証」の中の「腎陽虚」であるため温煦作用、気化作用の低下が起こり腰や膝の軟弱化と冷え、四肢の冷えが起きたようです。

鍼灸では「手足の症状には体幹部を刺し」「体幹部の症状には手足を刺す」というのが基本です。

「冷え」の症状が強く、体幹部と手足の症状が出ているので「本治法」は積聚治療で五臓の気を補い局所は「澤田流太極療法」を使い治療しています。

鍼を刺すと患者さんから「手足がじわ~として来ました。暖かい物が指先に動いていくのが分かります。」と言われます。

背部の腎のツボに鍼と灸をして、更に「ビワの葉温湿布」をすると手足の先まで気血が流れ「ぽかぽか」します。

鍼灸治療は気血水の滞りによる、各種の痛みや冷え性によく効きます。


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壽堂日記令和2年1月11日「冷え性を治して妊娠に備える。」

2020-01-11 08:02:26 | 日記

治療院に「冷え症」の患者さんがお見えになり「冷え症」を治して体調を調え妊娠に備えたいとの事です。

「冷え症」の方は一般的に虚弱体質で貧血の人、胃腸が弱い人、骨盤内臓器の疾患があるとおこりやすく、骨盤内に充血(お血)があるとこの「冷え」の傾向が助長されます。

東洋医学的に「冷え症」を捉えると、冷えの原因は陽虚・血虚・お血・寒湿などです。

気の温煦作用(おんくさよう)・血の温養作用が低下する事により、気血の流れが不足し「冷え」となると考えられています。

温煦作用(おんくさよう)とは内臓が体を温める作用を言います。

東洋医学には気の概念があり、真気(正気)の作用の一つが、温煦(おんく)作用(臓腑器官などの組織を暖め、体温を保持する働き)となます。

実際の治療は当院では「冷え症」はまず本治法を用いて治療します。本治法により治療すると体が温まって来ます。

本治法で治療し気血水の流れが良くなれば他の肩こり・頸凝り・腰痛などの症状も改善します。

「冷え症」に対する特効穴もありますが、「気」を補い、「冷え症」を治療するには最初に本治法を行う事が重要です。

当院では本治法の後に漢方成分入りのお灸による標治法と「ビワの葉温灸」・「ネパール棒灸」等を併用して「冷え症」の治療を行っております。


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