「ことぶき堂鍼灸院」は「積聚治療」という流派に属し「積聚治療」で患者さんを治療しています。
どの様な治療法か、腰痛の治療を例に説明いたします。
積聚治療の最大の特徴はその使用する鍼にあります、専用に開発された「積聚鍼」という銀製の鍼一本で基本治療(本治法)と補助治療(局所治療)を行います。
また基本的には体への刺入をしません。
①最初に望診・聞診・問診・切診を行います。診察は治療室に入ってくる段階から始まっています。
②主訴の腰痛以外に下肢から経絡に沿って観ていくと、足先の痺れ・足底痛・下腿外側の痺れ・膝関節の凝り・大腿前面の痛み・腸脛靭帯の痛み等がありその部分の経穴を指標として「気を動かして冷えを取る」治療を行います。
③まず腹部の観察をして、硬結、圧痛、冷え、熱感、肌の色艶などを観察し、その後腹部に接触鍼を行い、腹部の浅い気を調えます。
④脈診をして虚脈に補法の鍼をして脈状を調えます。今回は大陵に鍼を当て静かに気が至るのを待ちます。脈調整の間に「鍼が足先まで響きます。」と患者さんから答えがありましたので気が動いたと判断し、脈調整を終了し次の段階に移ります。
⑤脈を調えた後に、腹診をして証を立てます。胸骨部分から触診していくと腸腰筋の部分に固さが見られます。
腸腰筋の部分を押すと「昨日はここが痛かったです。」患者さんが答えてくれました、曲骨上の圧痛が一番強かったので「腎積腎虚証」の治療方針を立てます。
⑥証を立てた後に背面になって貰い、積聚治療の手順に従い、背部接触鍼を行います。接触鍼の段階で「足先まで鍼が響きます。」との事ですので慎重に治療を進めます。
背部接触鍼を終了し今度は背部兪穴に鍼を軽く当て、気が至るのを待ちます。鍼は深く刺すことはありません、深くても切皮程度で多く場合は跡が残る程度です。
⑦鍼を背部の兪穴に当てる程度の刺激ですが、兪穴から仙骨を通り足の指先まで響くと患者さんから報告がありました。丁寧に背部兪穴に鍼をすると「足先まで緩んできました。」と患者さんが教えてくれたので、最後に百会に鍼をして治療終了としました。