茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和3年6月7日「顔面神経麻痺の治療。」

2021-06-07 05:50:22 | 日記

東洋医学では「顔面神経麻痺」のことを「面癱(めんたん)」と呼びます。 

一側または両側の顔面筋が弛緩して起こる病証で口や眼が歪斜することから中医では「口眼喎斜」とよばれ「中風病」の範疇に入ります。

「霊枢」経脈篇には「顔面神経麻痺」に関する記述があり、「医部全録」にも記述がありますが半身不随を伴わず単独で「口眼喎斜」となるものは陽明経が病んで起こった病証とされ、本病の治療は手陽明、足少陽、陽明の3経の関連穴を取得して治療を行います。

「顔面神経麻痺」の治療に際してはしっかり証型を把握して治療を行う必要があり、実証であれば去邪通絡を主として治療方針を立て全身または患部に虚の症状が現れている場合は補を施します。

治測としては「舒筋活絡」「養血去風」「通調面絡」「清熱熄風」「補益帰血」などの適用を考えます。

治療としては「病的共同運動」を起こさせない様に患部に対するアプローチは行わず遠位治療から始め「合谷」「足三里」「三陰交」「陽陵泉」「申脈」「照海」などを配穴します。

「人中」+「翳風」の組み合わせが「口眼喎斜」の治療穴として有名ですが、自分では刺すのは難しいので代わりに「申脈」+「照海」は陽蹻脈・陰蹻脈が目の内眼角で交わるので配穴の中に入れてみました。

「申脈」の主治の中に「口眼喎斜」の治療もあります。

局所治療としては、「陽白」「四白」「太陽」「地倉」「牽正」「魚腰」などの経穴を使用します。

 

 

 


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壽堂日記令和3年6月4日「備忘録:顔面神経麻痺・ベル麻痺とラムゼイハント症候群」

2021-06-04 07:38:28 | 日記

「顔面神経麻痺」の代表的な疾患として「ベル麻痺」と「ラムゼイ・ハント症候群」の二つがあります。

統計的には「ベル麻痺」が多く10万人当たり200人から500人の発生。

「ラムゼイハント症候群」は10万人当たり5人の発生のデータがあります。

「ベル麻痺」は第7脳神経(顔面神経)の機能不全を原因とする顔の片側に起こる突然の筋力低下または麻痺のことです。

「ラムゼイハント症候群」は水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)によって生ずる顔面神経麻痺を主徴とする疾患です。

水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)が再活性化することで神経炎が生じ腫脹した神経が骨性顔面神経管の中で自己絞扼を生じ顔面神経麻痺、顔面半側の表情筋運動障害が発症し加えて周囲の脳神経にも波及し、耳介の発赤、水疱形成、耳痛、難聴、めまい等を合併する特徴があります。

稀に下位脳神経炎や脳炎をきたし重篤化することがあります。

参考までに上記の波及する周囲の脳神経とは

第7脳神経(顔面神経)

第8脳神経(内耳神経=前庭神経・蝸牛神経)

第9脳神経(舌咽神経)

第10神経(迷走神経)

となります。

「ベル麻痺」と「ラムゼイ・ハント症候群」の大きな相違点は「ハント症候群」は「ベル麻痺」と比較して一般的に予後不良、自然治癒は30%、初期から十分に治療を行っても治癒は60%程度しか望めず一旦罹患すると麻痺が残存する可能性が高い点です。

また顔面神経の変性は発症後も進行を続け、7~10日で完成し、その時点で麻痺の予後が決まる。

リハビリは「病的共同運動」を出現させないように「ミラーバイオフィードバック療法」を行う。

マッサージは筋の拘縮を防ぐのを目的として掌で優しく行う。

額のしわ寄せなどは、無理に行わない。

「病的共同運動」は発症後4か月位から出現する。

 


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