東洋医学では「顔面神経麻痺」のことを「面癱(めんたん)」と呼びます。
一側または両側の顔面筋が弛緩して起こる病証で口や眼が歪斜することから中医では「口眼喎斜」とよばれ「中風病」の範疇に入ります。
「霊枢」経脈篇には「顔面神経麻痺」に関する記述があり、「医部全録」にも記述がありますが半身不随を伴わず単独で「口眼喎斜」となるものは陽明経が病んで起こった病証とされ、本病の治療は手陽明、足少陽、陽明の3経の関連穴を取得して治療を行います。
「顔面神経麻痺」の治療に際してはしっかり証型を把握して治療を行う必要があり、実証であれば去邪通絡を主として治療方針を立て全身または患部に虚の症状が現れている場合は補を施します。
治測としては「舒筋活絡」「養血去風」「通調面絡」「清熱熄風」「補益帰血」などの適用を考えます。
治療としては「病的共同運動」を起こさせない様に患部に対するアプローチは行わず遠位治療から始め「合谷」「足三里」「三陰交」「陽陵泉」「申脈」「照海」などを配穴します。
「人中」+「翳風」の組み合わせが「口眼喎斜」の治療穴として有名ですが、自分では刺すのは難しいので代わりに「申脈」+「照海」は陽蹻脈・陰蹻脈が目の内眼角で交わるので配穴の中に入れてみました。
「申脈」の主治の中に「口眼喎斜」の治療もあります。
局所治療としては、「陽白」「四白」「太陽」「地倉」「牽正」「魚腰」などの経穴を使用します。