茂原市ことぶき堂鍼灸院

茂原市で鍼灸治療院を営んでおります。
東洋医学や日常生活のあれこれを日々綴っています。

壽堂日記令和元年9月19日「気象病と鍼灸治療。」

2019-09-19 06:58:49 | 日記

台風15号が千葉市に上陸して各地に大きな被害を与えました。

猛暑や台風が日本に接近する時に体調が悪くなり治療院にお見えになる方が多くなりました。

東洋医学では病の原因を「内因・外因・不内外因」に分けて考え、外因は六淫(外邪)と疫癘(急性伝染病)に分けられます。


六淫(外邪)とは風・暑・湿・燥・寒・火の6種類の外邪の総称ですが、気候の変化が異常な場合を外邪と言います。

猛暑や台風が日本に接近する時の気象の変化で体調が悪くなる多くは外因(外邪)が原因である事が多いのです。

この考え方は宋代の1174年に序文が書かれた古医学書『三因極一病証方論(さんいんきょくいちびょうしょうほうろん)』に述べられています。


この様な症状は現代医学でも「気象病」と呼ばれ、近年認知されつつあります、気象の変化によって症状が出現する、あるいは悪化する疾患の総称とされます。

代表的なものとして、「天気が悪いと古傷がうずく」天気痛、メニエール病、喘息、眩暈症、うつ病、頭痛、腰痛、肩こり、神経痛、関節炎、リウマチ、じんましん、吐き気、心臓発作、脳出血などが知られています。

メカニズムの詳細は不明とされ、気圧を感じるセンサーからの信号により自律神経系のバランスが交感神経優位となり、それがストレス刺激となってさまざまな疾患のメカニズムを惹起するという推論がされています。

また、気圧の低下により人体の押される力が減り血管が拡張しやすくなるのが原因とされています。

主な治療法は、「規則正しい生活」、「十分な睡眠」や「正しい食生活」などがあげられています、また体力のない人が「気象病」になりやすいとされています。


東洋医学的には猛暑や台風が接近する時に体調が変化する場合は「暑邪」や「湿邪」を先ず疑います。

暑邪」は「湿邪」を伴いやすく、湿邪を伴うと頭や体が重く、四肢倦怠感、体重節痛(湿邪が関節に滞り関節が痛み腫れる。)、胸苦しさ、悪心嘔吐、下痢などを引き起こし、また湿は「脾胃」を犯しやすく、尿量減少、腹水、、水腫が起こりやすいとされています。

「気象病」の概念は東洋医学では「病因論」の基本であり多くの処方が存在しています。

「気象病」でお悩みの方は鍼灸治療を受けて見ては如何でしょうか、鍼と灸で気血水の流れや自律神経のバランスを調えストレスを緩和して症状を緩和することが出来ます。





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壽堂日記令和元年9月18日「手と足が同時に痺れる?」

2019-09-18 07:25:36 | 日記

患者さんから「頸椎が原因で手と足が同時に痺れる病気はありますか?」と質問されました。手指の巧緻障害も出ているようです。

同側の手足が痺れる場合は脳梗塞・脳出血などの脳血管障害が疑われますが、頸椎が原因の場合は考えられる病気としては「頚椎症性脊髄症」があります。

病院でMRI検査を受け診察を受けるように勧めました。

「頚椎症性脊髄症」を簡単に説明すると、脊椎には体をささえる柱としての役割がありますがそのほかに、脊柱管という骨のトンネルの様な構造をもっていて、その なかに脊髄という神経が通っています。

脊髄は四肢や体幹と頭のなかの脳とを連絡する神経や、手足の筋肉を支配する運動神経の細胞がつまっています。


椎間板を中心に、椎体・椎間関節・靭帯などが退行変性すると、変性脊柱管狭窄を生じます。

頚椎で脊柱管狭窄が著 しくなり脊髄が圧迫されると、頚椎症性脊髄症が発症します。

症状としては、手掌全体のしびれや足のしびれ・手指巧緻運動障害・四肢の筋力低下・痙性歩行障 害・排尿障害などがあります。


安静やカラー固定が有効な場合もありますが、症状が進行性で麻痺が懸念されたり、手指の運動障害や歩行障害が強く、日常生活に支障をきたすような場合に は手術が必要となります。

まず病院での検査を受け原因を特定することが最優先であります。


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壽堂日記令和元年9月15日「妊活・子宮内膜が厚くならない。」

2019-09-15 11:15:38 | 日記

妊活中の患者さんから「子宮内膜が厚くなりません。」と相談を受けました。

体外受精を目指しで病院でホルモン治療を受けているそうですが子宮内膜厚が増えないのだそうです。

子宮内膜の厚みの変化について整理してみると

1回の月経周期が始まると脳下垂体から、卵を包んでいる卵胞を刺激する卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されはじめ、卵胞は大きくなると同時に女性ホルモン(エストロゲン)を分泌しエストロゲンが新しい子宮内膜を成長させていきます。

内膜厚は着床し易さに影響する重要な因子とされ、子宮内膜の厚さは一般的に7mm以上の厚さがあったほうが着床しやすいといわれています。

体外受精の場合「子宮内膜厚」が基準に達しないと移植しないクリニックが多い様です。

患者さんの体を拝見すると腹部が冷たく、足底も冷たく汗が出ている状態で「冷え」が感じられます。心窩部の硬結が一番強く「ストレス」が感じられます。

治療は「心積心虚証」で行いましたが、治療後は体全体が温まり、足底の汗も収まりました。

後日「子宮内膜の厚みが増えて移植の予定が決まりました。」と連絡を頂きました。



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壽堂日記令和元年9月12日「東洋医学的に不妊症を考える。」

2019-09-12 07:17:17 | 日記

茂原市「ことぶき堂鍼灸院」では妊活・不妊・不育症治療を行っております。

当院では不妊は、体内の「気・血・水」の状態と「腎・肝・脾」の3臓が重要な影響を与えていると考えます。

腎経・肝経・脾経のいずれかが弱っている事により、不妊症の諸症状が出てくるのです。

中国の古典医書『黄帝内経』という書物の中では、腎気の年齢的消長を次のように述べています。


女子では、「七歳で腎気の働きが活発化し、歯が生え替わり、髪も長くなる。14歳で天癸が充満し、任脈と衝脈の流通が増進し、月経が始まる。21歳で体格は頂点に達し、28歳で筋骨は充実して引き締まり、毛髪は最も長く豊かになる。しかし、35歳になると陽明経脈の機能が衰え、白髪が進行し、49歳で任脈が空虚になり、月経が停止する」
CMでよく見る女子は7年ごとに節目を迎えるとの出典はこの『黄帝内経』の記載です。
生殖能力において腎は非常に大切であり、どんなに年齢が若くても、生活環境や食生活などで腎の力が不足して来ると、生殖能力が衰え、次第に卵巣機能や子宮機能が低下し、無排卵や無月経、子宮内膜が薄くなり、着床しにくいなどの症状が出てきます。

現代のストレス社会において、人それぞれ気・血・水の流れの変調は必ずあります、ですから鍼灸治療は全ての人に効果があるといっても過言ではありません。
 
鍼灸を用いて、特に腎経・肝経・脾経のツボを刺激することによって、女性が本来持っている力を再び取り戻すと、卵巣と子宮の機能が高まり、妊娠しやすい体質へと改善されていくわけです。

卵巣機能不全などのホルモンのバランスの崩れには、東洋医学が非常に効果的です。けれども東洋医学だけに全てを頼るのではなく、症状によっては西洋医学との併用が有効です。

当治療院では鍼灸治療により不足している五臓の気を補い「気・血・水」のバランスを調え「体の冷え」を治療し妊娠しやすい体質に改善する事を目標といたしております。



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壽堂日記令和元年9月11日「自律神経失調症の鍼灸治療。」

2019-09-11 07:26:35 | 日記

患者さんから『自律神経失調症に鍼灸は効果がありますか?』とお問い合わせがありました。

WHO(世界保健機関)で鍼灸療法の有効性を認めた病気には

【神経系疾患】では 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリーが挙げられており、「自律神経失調症」も含まれています。

当院では東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」に経絡的な治療を行っております。

ここで簡単に自律神経について説明すると。

自律神経には「交感神経系」と「副交感神経系」の二つの神経が存在します。

全身のほとんどの器官はこの二つの神経系がバランス良く働くことで適正に保たれています。

呼吸・血液循環・消化吸収・排泄・生殖・内分泌など、自分の意志ではコントロールできない部分のシステムを調整し、生命維持に必要な体内循環を整えるのが自律神経の役割であり、こうした自律神経がうまく機能しなくなった状態が「自律神経失調症」です。

自律神経をコントロールする中枢は視床下部という脳の一部です。

ここは同時にホルモンの分泌中枢の役目もあるため、急激なストレスを受けて自律神経のバランスが崩れると、成長ホルモンや性ホルモンなどのホルモン分泌にも影響がでてきます。

また反対に、更年期に生じる、急激なホルモンバランスの変化は「のぼせ(ホットフラッシュ)・火照り・冷え・不眠・精神不安」などの自律神経失調症状をもたらすことにもなります。

鍼灸やマッサージなどの外的刺激は、過緊張状態に陥った自律神経の働きを和らげることが出来ます。

さらに、皮膚刺激を通して脳の視床下部にも良い影響を与えて、ホルモン分泌のバランスを整えることにもつながります。

最近の研究では、「気持ちいい」という快刺激が脳内のβエンドルフィン等の神経ペプチドの分泌を活性化させ、自律神経の機能を正常化させる働きがあることが分かっています。

鍼やお灸の気持ちの良い治療を受けた後、眠くなったり、ふぅっと楽になるのは、治療の気持ちよさがβエンドルフィンを活性化させ、自律神経の働きを効果的に和らげるからだと思われます。

「自律神経失調症」は、目眩・肩こり・冷え性・不眠症・下痢・便秘・食欲不振やどの場所が悪いかはっきり分からない「不定愁訴」などの症状を一緒に伴っている場合が多くみられます。

当院は、東洋医学的な人体観に基づき「自律神経失調症」の患者さんが抱える具体的な症状に合わせて、お一人お一人に合わせた治療いたしております。


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