*『東京ブラックアウト』著者:若杉冽
「第7章 メルトダウン再び」を複数回に分け紹介します。13回目の紹介
( Amazon カスタマーレビュー )から
恐ろしい本です。小説という体裁はとっていますが、帯に「95%ノンフィクション」とあるように、限りなく現実に近い話でしょう。これを読んでも、原発再稼働に賛成と言えるでしょうか。一人でも多くの国民に読んでほしい本です。
作中に登場する資源エネルギー庁次長の日村直史は、経産官僚の今井尚哉氏だと、国会議員の河野太郎氏がTwitterで言及しています。現在、安倍首相の政務秘書官を務めている人物です。
( 「東京ブラックアウト」)から
「バ、バカ野郎!おまえは知っているのか? かつて新潟県の泉田知事が、たった400人を対象に避難訓練をしただけでも、その地域には大渋滞が起こったんだぞ!・・・あと数時間で、東京の都市機能は失われるっ。いいか、これは命令だ・・・」
・・・玲子は絶句した。いつも冷静でクールな夫が、15年の結婚生活で初めて見せる取り乱しぶりだったからだ。
過去に紹介した記事(【原発ホワイトアウト】終章 爆弾低気圧(45) )から
救いがあるとすれば著者・若杉冽氏の次の言葉だ。
「まだまだ驚くべき事実はたくさんあるのです。
こうした情報が国民に届けば、きっと世論のうねりが起きる。
私が役所に残り続け、素性を明かさないのは、情報をとり続けるためです。
さらに第二、第三の『若杉冽』を世に送り出すためにも」
----------------
**『東京ブラックアウト』著書 「第7章 メルトダウン再び」の紹介
全国に放映されているテレビ画面には、6号機の建屋が全壊し、その隣の7号機の建屋も半壊している姿が、無残にも映し出されていた。
6号機の格納容器が爆発したことを示している・・・こうなると7号機の格納容器も時間の問題だろう。
すると、原子力規制庁から駆けつけた原子力のプロである緊急事態対策監が冷静に通告した。
「・・・雲と雨の行方次第では、首都圏が壊滅するな。6号機、7号機と、2炉心分の放射性物質が大気中に放出されたら、風向きを考えなくったって、170キロ圏内くらいは、年間50ミリシーベルトの強制移住レベルになる。
北西の風に乗って放射性プルームが関東平野を襲ったら、250キロ離れた東京だって、まず間違いなく、人っ子一人住めなくなる」
ー 官邸のオペレーションルームにいるすべての人間が凍り付いた瞬間だった。
(26)
「ちょ、ちょっと、すごい線量なんで、退避、退避させてください。死にますー」
新崎原発の所長代理が叫んでいた。正月休みで帰省した所長が恨めしかった。まだ到着しないのだろうか。
「退避ったって、どうすんだ?」と官房長官。
「どうするも、こうするもありません。とにかく打つ手がありませんから」
「決死隊でも組んでやれ!」とは加部総理だ。
かつてのフクシマ原発事故で歴史に残った名台詞だ。加部も同じことをいってみたのだ。
「決死隊っていったって、何をするんですか? もう打つ手がないんですから、このままここにいても、犬死です!」
フクシマのときの決死隊は、手動でベントをするための決死隊であった。今回は、格納容器が爆発し、メルトダウンした燃料や瓦礫を拾い集めろ、ということなのだろうか。
所長代理の勢いに圧倒されて、総理はもう何も言い返せない。これも、その人生で踏んだ修羅場の数の少なさがなせる業だ。
「6号機、7号機の中央操作室と、連絡がとれません!」
中央操作室は、荒れ狂う6号機と7号機の最前線基地である。格納容器と建屋が爆発したのだから、常識的に考えれば、所員は爆死しているであろう・・・。
すると所長代理の声が再び入った。何か達観したような声音に変わっている。
「・・・あたり一面、瓦礫のようなんで、まずホイールローダーで片付け始めてみます」
6号機と7号機の建屋が破壊されたということは、使用済み核燃料プールを覆う構造物がなくなっていることを意味する。電源がないということは、数時間後にはプールが沸騰し、使用済み核燃料がむき出しのまま、大気中に晒されることになる。何が何でも電源を繋がなくてはいけない。
※続き「第7章 メルトダウン再び」は、4/23(木)22:00に投稿予定です。
|
|